おむつ交換のとき、お尻に赤い跡を見つけてしまった。あわてて調べると、多くの本やサイトに「体位変換は2時間おきに」と書かれている。けれど、仕事や家事もあるなかで、夜中に2時間おきに起きる生活はとても続けられません。
自分の介護が足りないせいで、親の体を傷つけているのではないか。そう、ご自身を責めてはいないでしょうか。
先にお伝えすると、床ずれ(褥瘡)の予防は、ご家族の「がんばり」の量で決まるものではありません。決め手になるのは、無理のない仕組みづくりです。福祉用具を正しく選び、介助の手順を整え、専門職の力を借りて「続けられる形」を作れるかどうかにかかっています。
さらに、標準的なケアを尽くしても防ぎきれない床ずれがあることを、日本褥瘡学会は2025年に「不可避褥瘡(UPI)」として正式に定義しました。床ずれができたからといって、ご家族の努力が足りなかったとは限りません。
寝たきりの親を介護するご家族が今日から実践できる予防と対策を、学会のガイドラインや厚生労働省の資料をもとに整理しました。
- 結論:床ずれ予防を組み立てる「3つの柱」
- 床ずれは、家族の努力不足のサインではありません
- なぜ床ずれはできるのか|4つの引き金が重なるとき
- どこを・いつ見るか|家族が気づける初期サイン
- 【柱1】圧を逃がす|マットレスは「寝返りができるか」で選びます
- 【柱2】ずれを断つ|体位変換「2時間おき」問題にどう向き合うか
- 【柱3】皮膚と栄養を守る|清潔・保湿・食事
- よかれと思って逆効果|家族がやりがちな3つのこと
- 費用|床ずれ防止用具は介護保険で借りられます
- 用具にも限界があります|エアマットレスの落とし穴
- 見つけたらどうする|相談先と、その順番
- 予防を続けられる住まい、という視点
- 今日からのチェックリスト
- よくある質問
- まとめ
- 脚注
結論:床ずれ予防を組み立てる「3つの柱」

床ずれ予防を無理なく続けるには、具体的に何を整えればよいのでしょうか。日本褥瘡学会が示す予防の考え方は、ご家族の介護の目線で整理すると、次の3つの柱にまとめられます1。
- 柱1 圧を逃がす:
体圧分散マットレスなどの用具を使い、骨の出っ張りにかかる体重を分散させる。 - 柱2 ずれを断つ:
体位変換やベッドの背上げのやり方を工夫し、皮膚が引っ張られる力を減らす。 - 柱3 皮膚と栄養を守る:
清潔と保湿を保ち、低栄養を防いで皮膚の抵抗力を保つ。
心に留めていただきたいのは、3つとも「気合い」や「介護の回数」の話ではないという点です。道具の選び方、体の動かし方、専門職への頼り方で左右されるものなので、いつからでも組み直せます。
これまで思うようにケアができていなかったとしても、今から仕組みを整えれば遅くはありません。
今夜、確認してほしい4か所
すでにお尻の赤みが気になっている方のために、まず今夜できる確認をお伝えします。次のおむつ交換や着替えのときに、お尻の中央(仙骨部)、かかと、太ももの外側の出っ張り(大転子部)、背中の肩甲骨の4か所を見てください。床ずれは、骨が皮膚のすぐ下に出っ張っている部位にできやすいからです2。
赤くなっている箇所があれば、指で3秒ほど軽く押してから離してみましょう。白くなってから赤みが戻るなら、一時的な充血と考えられます。押しても白くならず赤いままなら、皮膚の下で傷みが始まっているおそれがあるので、様子を見ずにケアマネジャーや訪問看護師へ相談してください3。
今夜の確認は、ここまでで十分です。ただ、用具や介助の手順を整える前に、手放しておきたい思い込みがあります。「親の床ずれは自分のせいだ」という自責の念です。ご自身を責めたままでは、冷静で現実的な対策を組み立てられません。
床ずれは、家族の努力不足のサインではありません

親の体に床ずれを見つけたとき、多くのご家族が真っ先に自分を責めます。「体位変換の回数が足りなかった」「もっと早くおむつを替えていれば」。訪問看護師やきょうだいから「介護が行き届いていない」と思われるのではないかと、強い不安を抱える方も少なくありません。
しかし、そうした自責は事実に基づいていません。
学会が定義した「不可避褥瘡(UPI)」
日本褥瘡学会は2025年1月、「不可避褥瘡(UPI=Unavoidable pressure injury)」という用語の解説文を正式に公表しました。定義は次のとおりです4。
医療提供者が患者の身体状態および褥瘡の危険因子を評価し、褥瘡ガイドブックにある標準的ケアをふまえて、患者の身体状態およびニーズに合致した目標とあらゆる介入策を検討し試み、定期的に計画修正したにもかかわらず、発症した褥瘡をいう。
つまり、医療や介護のプロが危険因子を評価し、標準的なケアを行い、あらゆる手を検討して試し、計画を修正し続けても、なお発症してしまう床ずれがあるということです。学会はその存在を認め、名前を与えました。
この概念は、2019年に日本創傷・オストミー・失禁管理学会が取り上げたことをきっかけに検討が始まりました。2021年には日本褥瘡学会のなかに作業部会が設けられ、学術集会でのシンポジウムなどを経て、2025年1月に和訳と解説文が決定されました5。何年もかけて議論された、専門家の共通認識です。
専門職が整った環境で手を尽くしても防ぎきれないことがあるのですから、専門職ではないご家族が、24時間続く日々の暮らしのなかで完全に防ぐことは、もともと難しいことです。
ただし「だから予防しなくていい」ではありません
誤解のないように補足すると、不可避褥瘡は「標準的なケアを尽くしたうえで、なお」生じるものを指しています6。「どうせ防げないのだから、対策をしなくてもいい」という意味ではありません。
だからこそ、ご家族が考えたいのは「もっと身を削ってがんばるべきか」ではなく、「無理なく続けられる仕組みになっているか」です。自分を責めるエネルギーを、福祉用具の見直しやケアマネジャーへの相談に向けるほうが、親御さんの皮膚を守ることにつながります。
なぜ床ずれはできるのか|4つの引き金が重なるとき

床ずれは、ある日突然できるわけではありません。体の外から加わる力と、体の内側の状態が重なったときにできます。
日本褥瘡学会は、床ずれの要因として、圧迫、ずれや摩擦、排泄物や汗による皮膚のふやけ、栄養状態の悪さ、加齢やむくみによる皮膚の弱さなどを挙げています7。これらは、大きく次の「4つの引き金」に整理できます。
引き金1:圧迫
体重で骨の出っ張りの上の皮膚が押しつぶされると、血管も一緒に押しつぶされて血流が途絶えます。酸素や栄養が届かない状態が続くと、皮膚やその下の組織が傷んでいきます。
引き金2:ずれ・摩擦
見落とされやすいのが、この「ずれ」です。たとえばベッドの背を起こすと、体は少しずつ足元へ滑り落ちます。このとき、皮膚の表面はシーツとの摩擦でその場に留まろうとする一方で、体の内側の組織だけが下へ引っ張られます。
皮膚と内部が逆方向にずれるため、その境目の血管がねじれて傷ついてしまうのです。じっと寝ているときよりも、体を動かすときに強く働く力です。
引き金3:湿潤
尿や便、寝汗で皮膚が湿った状態が続くと、皮膚はふやけて弱くなります。ふやけた皮膚はもろく、わずかな擦れでも傷つきやすくなります。
引き金4:体の内側の弱り
低栄養、やせによる骨の突出、むくみ(浮腫)、関節の拘縮(関節が固まって動きにくくなること)、加齢による皮膚の菲薄化(薄くなること)は、皮膚が圧力に耐える力そのものを下げます。同じ「2時間の圧迫」でも、健康な方と、栄養状態が落ちて骨が浮き出ている方とでは、皮膚が持ちこたえられる限界がまったく違います。
とくに引き金3と4の多くは、ご家族の介護の手だけではコントロールしきれない、体の内側の問題です。ここに、「床ずれは家族のせいとは限らない」と言える理由があります。
ご家族ができるのは、用具と介助の手順で引き金1(圧迫)と引き金2(ずれ)を減らしつつ、引き金3と4については医師や看護師、管理栄養士などの専門職へつなぐことです。この役割分担が現実的です。
どこを・いつ見るか|家族が気づける初期サイン

床ずれの悪化を防ぐいちばんの手立ては、早く気づくことです。日々の介護のなかで無理なく続けるには、見る場所、判断の仕方、見るタイミングの3つを押さえておけば足ります。
どこを見るか|姿勢によって危ない場所は変わります
床ずれができやすい場所には、共通点があります。日本褥瘡学会は、骨が突き出した部位は強く圧迫されるため、床ずれができやすくなると説明しています8。そして、どの骨の出っ張りがマットレスに当たるかは、本人がとっている姿勢によって変わります。
姿勢ごとに見るべき場所は、次のとおりです。
| 姿勢 | 見るべき場所 | なぜ注意が必要か |
|---|---|---|
| 仰向け | お尻の中央(仙骨部)、かかと、後頭部、肩甲骨 | 仰向けで最も体重が集中するのが仙骨部で、床ずれができる場所として最も多いとされています。かかとは皮下脂肪が薄く、血流が届きにくい場所です |
| 横向き | 太ももの外側の出っ張り(大転子部)、腰骨、くるぶしの外側、耳 | 横を向くと、これらの骨が直接マットレスに当たって圧迫されます |
| 座った姿勢 | お尻の左右の骨(坐骨結節部)、尾骨 | 車いすに長く座っているときや、ベッドの背上げでずり落ちるときに、体重とずれが同時にかかります |
日中、ベッドの背を起こして過ごす時間が長い方は、「仰向け」と「座った姿勢」の両方の危険を同時に抱えている状態です。お尻の骨や尾骨のまわりは、とくに念入りに見てください。
どう判断するか|「押しても消えない赤み」
赤みを見つけたときに、ご家族が覚えておきたい判定の仕方はひとつだけです。赤くなっている部分を人差し指で3秒ほど軽く押し、離します9。
- 押すと白くなり、離すと赤みが戻る:
一時的に血液が滞っていただけの状態(反応性充血)と考えられます。 - 押しても白くならず、赤いまま:
皮膚の下でダメージが始まっている可能性があります。様子を見ずに相談してください。
なお、これは「床ずれかどうかを家族が診断する方法」ではなく、相談するかどうかを決めるための目安です。深さの判断や処置は医療職の領域なので、迷ったらケアマネジャーや訪問看護師に相談しましょう。
「まだ大丈夫だろう」と様子を見ることが、いちばん避けたい対応です。
いつ見るか|新しい習慣を増やさない
「毎日、全身の皮膚をくまなく確認しましょう」と言われても、すでに手一杯の在宅介護では続きません。そこで、皮膚の観察は新しい作業にせず、いつもの介助の動作に組み込みます。
おむつ交換や清拭(体を拭くこと)、着替えの介助など、どのみち肌が見えるタイミングで、上の表の部位(お尻の中央やかかと、太ももの外側など)をついでに見るようにすれば、手間も時間もほとんど増えません。
【柱1】圧を逃がす|マットレスは「寝返りができるか」で選びます

床ずれ対策の基本になるのが、体圧分散マットレスです。とはいえ、インターネットで探すと製品やランキングが数多く並び、どれを選べばよいのか迷うご家族も多いはずです。
けれども、選ぶときに見るべき点は、実はひとつしかありません。
分岐はひとつだけ|自力で寝返りが打てるかどうか
日本皮膚科学会のガイドラインは、自力で寝返りが打てない場合は圧の分散を、打てる場合は本人が体を動かせることを優先して選ぶ、という考え方を示しています10。
| 親御さんの状態 | 考え方 | 選択肢の方向性 |
|---|---|---|
| 自力で寝返りが打てない | 圧の分散を優先する。自分で姿勢を変えられないため、用具の力で圧を逃がす必要があります | 空気の圧力を自動で切り替えるタイプ(圧切替型エアマットレスなど) |
| 自力で寝返りが打てる | 本人が動けることを優先する。体が沈み込みすぎると、寝返りを妨げてしまいます | 沈み込みの少ないタイプや、ウレタンフォームなどの静止型 |
「高機能なエアマットほど安心」と思われがちですが、そうとは限りません。
自力で寝返りや起き上がりができる方に、深く沈み込むマットレスを入れると、その動きを妨げてしまうことがあります。動く機会が減れば体の力は落ちていくので、予防のつもりが別の問題を生みかねません。
「いちばん良い製品」は存在しません
もうひとつ、知っておくと選ぶときの迷いが減る事実があります。日本皮膚科学会の『褥瘡診療ガイドライン(第3版)』は、体圧分散マットレスについて次のように述べています11。
製品同士の比較は非常に数多くの試験が行われているが、どの製品が常に良いという優劣について結論は得られていない。したがって、患者の自立度や病態、環境や社会生活も考慮に入れた上で体圧分散マットレスを選択することが大切である。
数多くの比較試験が行われてもなお、「これを選べばいちばん」と言える製品は見つかっていないのです。ですから、ランキングの上位を追いかける必要はありません。親御さんの体の状態や生活の様子をケアマネジャーや福祉用具専門相談員に伝え、合う候補を絞ってもらうのが確実です。
今日できるチェック|「底付き」していませんか
すでに体圧分散マットレスを使っているご家庭で、今日確認していただきたいのが底付きです。
空気圧の設定が体重と合っていなかったり、マットレスがへたっていたりすると、体が沈み込みすぎて、骨の出っ張りが底に当たってしまいます。この状態では、体圧分散の効果はほとんど出ていません。
確認の手順は次のとおりです12。
- 手のひらを上に向けて、マットレスの下(仙骨部など、いちばん沈み込んでいる部分の下)に手を差し込みます。
- 人差し指か中指を、2.5cmほど曲げてみます。
- 指を2.5cmほど曲げたところで骨に軽く触れる程度なら、適切です。
- すぐに骨に触れる、あるいは指を曲げる余地がないなら、底付きしています。福祉用具の担当者に連絡し、設定を見直してもらいましょう。
あわせて確認したいのが、シーツの張り方です。シーツをぴんと張りすぎると表面がテントのように突っ張り、体が沈み込めなくなります。これを「ハンモック現象」と呼び、マットレスの効果を失わせてしまいます13。シワは伸ばしつつ、シーツには少しゆとりを持たせてください。
ベッド本体やマットレスの選び方、レンタルと購入の考え方は、介護ベッド・車椅子の選び方|費用を抑える賢い借り方・買い方で詳しく整理しています。
【柱2】ずれを断つ|体位変換「2時間おき」問題にどう向き合うか

「体位変換は2時間おきに」。在宅介護が始まると、多くのご家族がこの言葉に出会います。そして、真面目なご家族ほど追い詰められていきます。
日中は仕事や家事があるのに、夜中も2時間おきにアラームで起きて体の向きを変える。そんな生活を続ければ、介護する側が先に心身を壊してしまいます。
目安は「2時間を超えない範囲」。ただし一律の決まりではありません
「2時間おき」という数字には、もとになる学会の記述があります。日本褥瘡学会は、体位変換について「基本的に2時間を超えない範囲で行います」としています。そのうえで、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使用する場合は、体位変換の間隔を4時間を超えない範囲で行ってもよいとしています14。
同学会の『褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版』でも、「体圧分散マットレスを使用したうえでの4時間をこえない体位変換間隔を提案する」という推奨が示されています15。
つまり、適切な体圧分散マットレスを使っているなら、2時間おきという数字に縛られる必要は必ずしもないのです。この事実を知らないまま、睡眠を削って夜通し2時間おきの介助を続けているご家族は少なくありません。
でも「マットレスを入れたから4時間でいい」と自己判断してはいけません
4時間までの延長を認める記述だけを読むと、用具さえ入れればよいように思えます。しかし実は、体位変換の間隔については、学会のあいだでも見解に幅があります。日本皮膚科学会の『褥瘡診療ガイドライン(第3版)』は、次のように慎重な見方を示しています16。
体位変換の時間については、身体状況が許せば2時間以内の体位変換が推奨されている。しかしながら、静的体圧分散マットレスの素材や厚さによる機能格差、のみならず低圧保持エアマットレスの圧切替機能にも質的格差があること(中略)体圧分散マットレスと言っても一概に論じることはできないため、その体位変換の時間に関する明確な答えは現在のところないと言わざるを得ないのが現状である。
さらに同じガイドラインは、「圧切替型体圧分散マットレスを用いても一定時間毎の体位変換は行うべきである」とも明記しています17。
つまり、「マットレスを入れれば体位変換は不要になる」わけではありません。何時間まで延ばせるかは、用具の種類や質、親御さんの体の状態によって違うため、専門家でもひとつの数字で言い切れないのが実情です。
正しい出口は「専門職と一緒に決める」こと
では、ご家族はどうすればよいのでしょうか。体位変換の間隔は、使っている用具の種類と親御さんの体の状態の両方を見なければ決められません。そこで、実情をそのまま話して、ケアマネジャーや訪問看護師に一緒に決めてもらいます。相談するときは、次のように伝えてみてください。
- 「いま使っているマットレスは、どの種類にあたりますか」
- 「このマットレスなら、体位変換は何時間おきが妥当でしょうか」
- 「夜間に2時間おきは続けられません。用具の見直しを含めて、現実的な組み方を一緒に考えてもらえませんか」
「夜間に2時間おきは続けられない」と伝えることに、後ろめたさを感じる必要はありません。介護する人が倒れてしまう計画は、続けられる計画とは言えないからです。本音を伝えることは、介護の放棄とは違います。共倒れを防いで介護を続けるための一歩です。
専門職の側には、より機能の高いマットレスへの変更、日中のデイサービスの利用による家族の休息、夜間対応型訪問介護の活用など、さまざまな選択肢があります。
やり方のコツ|30度と「背抜き」
体位変換では、回数と同じくらい「動かし方」も大切です。まず、体を横に向けるときは30度を目安にします。日本褥瘡学会は30度側臥位を推奨しており、できれば2人で行うことをすすめています18。
真横まで倒すと、太ももの外側の骨(大転子部)に体重が集中してしまいます。背中に三角形の体位変換クッションなどを入れて、ゆるやかな傾きを保ちましょう。
次に、ベッドの背上げをしたあとは、必ず「背抜き」を行います。背を起こすと、背中の皮膚がシーツに引っ張られたまま固定され、皮膚の奥にずれの力がたまるからです。背上げが終わったら、上半身を一度軽く前へ起こすか、背中とシーツの間に手を入れてそっと滑らせ、引っ張りを逃がしてあげてください。
背抜きは、摩擦とずれを解消するのに有用な手段とされています19。引きずらずに持ち上げる、背抜きを忘れない。この2つを意識するだけでも、皮膚にかかる負担はかなり違ってきます。
体位変換を1日の流れのどこに組み込むかは、【実録】在宅介護の一日のスケジュール|要介護1・4の2例と7つの工夫で、実際のタイムラインとあわせて紹介しています。
【柱3】皮膚と栄養を守る|清潔・保湿・食事

3つ目の柱は、皮膚が自らを守る力を保ち、圧迫に耐えられる体を維持することです。床ずれの4つの引き金のうち、引き金3(湿潤)と引き金4(体の内側の弱り)への対策にあたります。
清潔と保湿は、セットで考える
排泄物が皮膚に付いたままだと、皮膚はふやけて弱くなります。そのため、陰部やお尻のまわりを清潔に保つことが欠かせません。ただし、「洗いっぱなし」は禁物です。洗浄で皮脂まで落ちると皮膚の乾燥が進み、かえって守る力が落ちてしまいます。
日本褥瘡学会は、皮膚の洗浄後に、肛門・外陰部から周囲の皮膚へ、皮膚保護のためのクリーム等を塗ることをすすめています20。洗ったら、塗る。この流れを習慣にしましょう。拭き取るときもこすらず、やわらかいタオルなどで押さえるように拭くのが基本です。
入浴は推奨されます。ただし抱え込まないでください
「床ずれがあるとお風呂に入れないのでは」と心配される方もいますが、日本皮膚科学会のガイドラインは「褥瘡患者の入浴は推奨される」としています21。
とはいえ、寝たきりの方の入浴介助は体への負担が大きく、転倒などの危険も伴います。ご家族だけで無理をして、毎日湯船に入れることにこだわる必要はありません。体調に合わせて温かいタオルでの清拭や部分浴に切り替えたり、介護保険の訪問入浴介護やデイサービスの入浴を使ったりしながら組み立ててください。
安全な入浴介助の手順や便利な用具は、入浴介助の手順|安全を守る3鉄則と便利グッズ・サービスで詳しく整理しています。
栄養は「予防そのもの」です
見落とされがちですが、低栄養を避けることは、日本褥瘡学会が挙げる予防の基本のひとつです。必要に応じて、高エネルギー・高たんぱく質の補給も行われます22。皮膚を作り直す材料が体に足りなければ、外側からどれだけ圧を逃がしても追いつきません。
ですから、「最近、食事を残すことが増えた」「急に体重が落ちてきた」という変化は、床ずれのリスクが上がったサインと受け止めてください。ただし、自己判断で市販の栄養食品やサプリメントを多く与えるのは避けましょう。食事量の変化に気づいたらケアマネジャーに伝え、管理栄養士や医師につないでもらうのが確実です。
よかれと思って逆効果|家族がやりがちな3つのこと

親のために少しでも何かしてあげたいという気持ちから行ったケアが、かえって皮膚を傷めてしまうことがあります。とくに、家族がやりがちで、けれど勧められていない対応は、次の3つです。
1. 円座(ドーナツ型クッション)を使う
穴の部分が当たらなければ圧がかからないはず、と直感的には思えます。しかし、円座は用いないよう勧められています23。
その理由は、穴のまわりにあります。たしかに中心の圧は逃げますが、穴を取り囲む輪の部分に圧が集中するため、その輪の下で血流が妨げられ、かえって新しい床ずれを作ってしまうことがあります。ドラッグストアなどで手軽に買えるだけに、とくに注意が必要です。
2. 赤くなった部分をマッサージする
血行をよくしてあげようと、赤みのある場所を揉みたくなるかもしれません。しかし、骨の出っ張り部分へのマッサージは行わないよう勧められています24。
すでに弱っている皮膚を揉むと、そこに外から摩擦とずれを加えることになります。つまり、床ずれの4つの引き金のうちの「ずれ・摩擦」を、自分の手で引いてしまうのです。
3. 水ぶくれをつぶす
靴ずれと同じ感覚で、水ぶくれをつぶして中の水を出したくなるかもしれません。しかし、水ぶくれの膜は、傷口を細菌から守るはたらきをしています。そのため、破いてしまうと、感染の入り口を自分で作ることになります。
あわせて、手持ちの消毒液や市販の軟膏を自己判断で塗ることも避けてください。皮膚の状態によって必要な対応は変わり、それを見極めるのは医療職の仕事です。水ぶくれや皮膚の破れを見つけたら、触らず、つぶさず、何も塗らずに、そのまま相談してください。
費用|床ずれ防止用具は介護保険で借りられます

「エアマットレスを買うと高いのでは」と費用を心配される方は多いでしょう。しかし、体圧分散マットレスなどの床ずれ防止用具と体位変換器は、介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象です。購入せずに、月々の自己負担で借りる形が基本になります。
原則は「要介護2以上」。でも、あきらめないでください
介護保険では、一部の福祉用具に、利用できる要介護度の決まりがあります。厚生労働省の資料によれば、床ずれ防止用具・体位変換器・特殊寝台(介護ベッド)・車いすなどは、要支援1・2と要介護1の軽度者に対しては、介護保険給付が原則として対象外とされています25。
そのため、「うちの親は要介護1だから借りられない」と言われて、あきらめてしまうご家族が少なくありません。しかし、これには例外があります。
例外給付|「日常的に寝返りが困難」なら対象になりえます
床ずれ防止用具と体位変換器については、軽度者であっても「日常的に寝返りが困難な者」に該当すれば、例外的に給付が可能とされています。具体的には、要介護認定の基本調査で「寝返り」の項目が「できない」と判定されている場合が該当します26。
寝返りが打てない状態は、まさに床ずれのリスクが高い状態です。本当に必要な人には、制度の上でもきちんと道が用意されているということです。
基本調査の結果が該当しない場合でも、道が閉ざされるわけではありません。厚生労働省の資料には、次のようなケースが示されています27。
- 病気などにより、状態が日によって、または時間帯によって変わる場合(例:パーキンソン病の治療薬によるオン・オフ現象)
- がん末期のように、状態が急速に悪化し、短期間のうちに該当することが確実に見込まれる場合
- 身体への重大な危険や、症状が重くなることを避けるという医学的な理由がある場合
手続きの入口は、ケアマネジャーです
ただし、家族が申し出れば通るというものではありません。基本調査の結果が当てはまる場合は、その結果に基づいて判断されます。当てはまらない場合は、医師の所見とサービス担当者会議などでケアマネジャーが必要性を判断し、市町村が書面等で確認したうえで要否を決めます28。ご家族が直接役所の窓口へ出向いて手続きするものではありません。
ですから、ご家族がすべきことはシンプルです。「最近、自分で寝返りが打てなくなってきました」とケアマネジャーに伝えること。それが手続きの入口になります。
なお、月々の自己負担額は負担割合・製品・事業者によって変わります。相場をうのみにせず、事前に見積もりで確認しましょう。制度の運用には自治体による差があり、制度自体も改定されることがあります(要確認)。
レンタルと購入の比較、費用の考え方、手続きの全体像は、介護ベッド・車椅子の選び方|費用を抑える賢い借り方・買い方で詳しく整理しています。
用具にも限界があります|エアマットレスの落とし穴

福祉用具は心強い味方ですが、「エアマットレスさえ入れれば安心」というわけではありません。正しく使うために、用具の限界と注意点も知っておきましょう。
動ける人には、マイナスに働くことがあります
圧切替型のエアマットレスは、体圧を逃がす力に優れる一方で、体が深く沈み込み、体を支える面が不安定になりやすいという特性があります。そのため、まだ自力で身動きがとれる方の場合、寝返りや端座位(ベッドの端に座ること)がしにくくなることがあると考えられます。
体を動かす機会が減れば筋力は落ち、かえって寝たきりに近づくおそれもあります。だからこそ、導入の前に「寝返りが打てるか」を確かめる必要があるのです。
機械ならではのリスクもあります
- 作動音:マットレスに空気を送るポンプの音が、本人の眠りを妨げることがあります
- 停電・故障:空気が抜けると、体圧分散の機能は失われます
- 設定のずれ:本人の体重と違う設定になっていたり、チューブが押しつぶされていたり、つなぎ目が外れていたりすると、期待した効果は得られません29
- 揺れによる不快感:空気の膨張と収縮による独特の揺れを、船酔いのように感じて落ち着かない方もいます
いずれも、導入したあとに家族や福祉用具の担当者が気づけば対処できるものです。気になる点があれば、担当者に早めに伝えましょう。
最大の落とし穴は「入れたから大丈夫」と思うこと
先に触れたとおり、日本皮膚科学会のガイドラインは「圧切替型体圧分散マットレスを用いても一定時間毎の体位変換は行うべきである」と明記しています30。
用具の役割は、体位変換を「なくすこと」ではなく、間隔に「余裕を持たせること」です。この違いを押さえておくことが肝心です。ですから、マットレスを入れたあとも、日々の皮膚の確認や、底付き(骨の出っ張りがマットレスの底に当たる状態)・シーツの張り具合の確認を続けてください。
見つけたらどうする|相談先と、その順番

押しても消えない赤みや水ぶくれを見つけたとき、どこへ、どの順番で連絡すればよいのでしょうか。相談先はおもに4つあり、それぞれ役割が違うので、順番を知っておくとあわてずに動けます。
順番は「ケアマネジャー → 主治医 → 訪問看護」
| 相談先 | 役割 | いつ |
|---|---|---|
| ケアマネジャー | 介護生活全体の調整役。福祉用具の手配と、訪問看護の導入の調整を同時に進められます | 最初に連絡する先。皮膚の異変に気づいた時点で連絡 |
| かかりつけ医(主治医) | 医学的な判断を行います。訪問看護の利用に必要な指示を出します | ケアマネジャー経由、または受診時に相談 |
| 訪問看護師 | 実際の処置と、家族へのケア方法の指導を行います | 導入後、継続的に |
| 地域包括支援センター | 高齢者の介護についての総合相談窓口 | まだ要介護認定を受けていない、または担当のケアマネジャーがいない場合の最初の窓口 |
どこに連絡するか迷ったら、まずは担当のケアマネジャーに連絡してください。ケアマネジャーは、用具の手配と医療との連携を、両方まとめて動かせる立場にいるからです。
相談は「逃げ」ではなく、正規の手順です
覚えておいていただきたいのは、基本調査の結果が当てはまらない場合の例外給付(原則は対象外の軽度者でも、条件に当てはまれば床ずれ防止用具などを借りられる仕組み)が、医師の所見とサービス担当者会議を通じたケアマネジメントを前提に組み立てられていることです31。言いかえれば、制度そのものが、チームで判断する仕組みになっています。
そのため、ご家族が一人で抱えて判断することは、そもそも想定されていません。ですから、専門職に頼ることは、弱音でも介護の放棄でもなく、制度が予定しているとおりの手順を踏んでいるだけなのです。
家族の役割は「治すこと」ではなく「気づいて、つなぐこと」
床ずれの深さを見極めることも、処置を選ぶことも、医療職の領域です。そのため、ご家族がそこまで背負う必要はありません。在宅介護での家族の役割は、小さな異変に早く気づき、専門職へつなぐことにあります。
また、連絡するときは、スマートフォンで皮膚の様子を撮影しておくと、状況が正確に伝わります。どの部位か分かる少し離れた写真と、赤みの様子が分かる近くからの写真の2枚があれば、相談がスムーズに進みます。
反対に、いちばん避けたいのは、「大したことはないかもしれないから、何日か様子を見よう」という先送りです。床ずれは、様子を見ているあいだに進むことがあるからです。ですから、押しても消えない赤み、水ぶくれ、皮膚の破れのどれかを見つけたら、その日のうちに連絡しましょう。
予防を続けられる住まい、という視点

ケアが続くかどうかには、用具や介助の方法のほかに、住まいの間取りもかかわっています。
続かない理由は、意志ではなく間取りにあることがあります
「教わったとおりの体位変換がうまくできない」「夜中に何度も親の部屋へ様子を見に行けない」。そう自分を責めている方に、一度立ち止まって考えていただきたいことがあります。それは本当に、意志や愛情が足りないせいでしょうか。
たとえば、介護ベッドを部屋の隅に寄せ、長い辺を壁にぴったり付けていませんか。片側からしか手が届かない配置では、奥側へ体を向ける体位変換が難しくなり、介助する人の腰にも無理がかかります。ベッドの両側から手が届くかどうかで、体位変換の負担は大きく違ってきます。
また、親の寝室が2階にあれば、夜中に階段を上り下りして様子を見る回数は、どうしても減ります。冬に冷えて乾燥しやすい部屋や、夏に熱がこもって蒸れやすい部屋も、皮膚にとっては不利に働くと考えられます。
つまり、介護を無理なく続けられるかどうかは、住まいの条件に大きく左右されます。「もっと努力しなければ」と思い詰める前に、いまの介助の動線や部屋の環境を見直してみてください。
選択肢を、同じ土俵で比べる
住まいの環境を見直す方法はいくつかあり、それぞれに向くケースがあります。どれかひとつが正解というわけではありません。
| 選択肢 | 費用 | 工期・手間 | プライバシー | 介護負担 | 将来の扱い |
|---|---|---|---|---|---|
| 今の部屋のまま工夫する | かからない | なし | 変わらない | 間取りによっては負担が重いまま | 特になし |
| 母屋のリフォーム | 規模による。介護保険の住宅改修費には上限がある(要確認) | 工事中の生活に影響が出る | 間取りによる | 動線を改善できる | 建物に残る |
| 完全同居 | 比較的抑えられる | 引っ越しや荷物整理の手間 | 互いに確保しにくい | 目は届きやすいが、精神的な負担は増えやすい | 特になし |
| 施設 | 月額の費用が継続して発生 | 入居待ちの場合あり | 確保しやすい | 大きく軽減 | 特になし |
| 庭に別棟を置く | 初期費用がかかる | 方式による | 確保しやすい | 近い距離で介助できる | 方式による |
費用を抑えたいのか、互いの生活を分けたいのか、介助の負担を減らしたいのか。何を優先するかによって、向く選択肢が違ってきます。
選択肢のひとつ:庭に置く別棟「C’ZBシニアリビング」
住まいの選択肢には、私たちが手がけている「シニアリビング」のような、庭に置く介護専用の別棟もあります。
仕様
- 母屋には手を加えず、庭に設置する介護専用の別棟です。工場で仕上げたユニットをクレーン付きトラックで運んで設置するため、リフォーム工事は行いません(母屋のリフォームは取り扱っていません)。
- 1ユニットは6.0m×2.4mです。介護用ベッド1台と洗面、簡易トイレを置くことができ、給排水を接続すればトイレやお風呂も設置できます。2連棟にすれば、お風呂や来客スペースも設計できます。
- 高断熱仕様です。冬の寒さや夏の暑さによる体への負担を抑えることを重視しています。
- 使い終わった後は買取も可能です。従来の建物で発生しがちな解体費用(約150〜300万円)がかかりません。
向き・不向き
平屋のワンルームとして間取りを組めるため、ベッドの周囲に介助スペースを取りやすく、母屋との行き来も近い距離で済む点は、日々の体位変換や夜間の見守りを続けるうえで有利に働くと考えられます。
一方で、向かないケースもはっきりしています。トラックで搬入して設置できる広さの庭がなければ導入できません。設置には建築基準法などの法規制の確認が必要になる場合があり、条件は土地によって異なります。また、本人が長年過ごした部屋から離れたくないと感じている場合は、環境の変化そのものが負担になることもあります。
いまの部屋の家具の配置を変えるだけで介助が楽になるなら、住まいを変える必要はありません。手すりの設置や段差の解消といった小規模なリフォームで動線が整うなら、それがいちばん手軽です。「家族の努力が足りない」と思い悩む前に、住まいという条件も見直しの選択肢に加えてみてください。
今日からのチェックリスト

やることを、今夜・今週・長く続けるための3段階に分けると、次のとおりです。
今夜やること
今週やること
長く続けるために
よくある質問
- Q体位変換は、本当に2時間おきにやらないとダメですか?
- A
必ずしも2時間おきとは限りません。日本褥瘡学会は「基本的に2時間を超えない範囲」としたうえで、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使う場合は、4時間を超えない範囲で行ってもよいとしています。ただし、日本皮膚科学会のガイドラインは間隔について明確な答えはないとしているため、自己判断で延ばさず、ケアマネジャーや訪問看護師と相談して決めましょう。
- Qエアマットレスを入れれば、体位変換はしなくていいですか?
- A
いいえ、体位変換は引き続き必要です。日本皮膚科学会のガイドラインは「圧切替型体圧分散マットレスを用いても一定時間毎の体位変換は行うべきである」と明記しています。つまり、用具の役割は体位変換をなくすことではなく、間隔に余裕を持たせることです。また、空気圧が合わずに骨が底に当たる「底付き」が起きると効果が出ないため、導入後も手を入れて確かめてください。
- Q要介護1ですが、床ずれ防止用具は借りられませんか?
- A
介護保険で借りられる可能性があります。要支援1・2と要介護1の方は、床ずれ防止用具が原則として給付の対象外ですが、「日常的に寝返りが困難な者」に該当すれば例外的に給付が可能とされています。たとえば、要介護認定の基本調査で「寝返り」が「できない」と判定されている場合です。手続きの窓口は担当のケアマネジャーなので、まず寝返りが難しくなってきたことを伝えてください。
- Q赤みを見つけたら、市販の軟膏を塗ってもいいですか?
- A
自己判断で塗ることは避けてください。皮膚の状態によって必要な対応は変わり、それを見極めるのは医療職の仕事です。また、水ぶくれができていても、膜が傷口を細菌から守っているので、つぶさずにそのままにしておきます。そのうえで、指で3秒ほど押しても赤みが消えないときは、何も塗らずに写真を撮っておき、その日のうちにケアマネジャーや訪問看護師へ連絡しましょう。
- Q床ずれができたのは、介護している家族の責任ですか?
- A
いいえ、そうとは限りません。日本褥瘡学会は2025年1月に「不可避褥瘡(UPI)」の解説文を定め、専門職が標準的なケアを尽くし、計画を修正し続けても、なお発症する床ずれがあることを公式に認めています。実際、床ずれの要因には、低栄養やむくみ、皮膚のもろさなど、家族の努力では防ぎきれないものも含まれます。だからこそ、自分を責めるより、用具の見直しや専門職への相談に力を注いでください。
まとめ
床ずれ予防に必要なのは、夜中に何度も起き続ける精神力ではありません。圧を逃がす、ずれを断つ、皮膚と栄養を守るという3つの柱を、福祉用具と専門職の力を借りて、無理なく回る形に整えることです。
そして、専門職が標準的なケアを尽くしても防ぎきれない床ずれがあることは、日本褥瘡学会も正式に認めています。介護が思うようにいかない夜があっても、それはあなたの愛情が足りないからではありません。
- 観察は、いつもの介助に組み込む。おむつ交換や着替えのついでに骨の出っ張りを見て、押しても消えない赤みは様子を見ずに相談する。
- マットレスは、商品ではなく体の状態で選ぶ。分かれ道は「自力で寝返りが打てるか」で、ランキングの順位は選ぶ根拠にならない。
- 体位変換の間隔は、チームで決める。専門家の間でも答えが分かれる問題を、家族が一人で背負う必要はない。
- 費用であきらめない。要介護1以下でも、寝返りが困難なら床ずれ防止用具を借りられる道がある。
- よかれと思った手当てを、一度疑う。円座、マッサージ、水ぶくれをつぶすことは、どれも勧められていない。
読み進めるうちに、「やるべきことは分かった。でも、うちの家では物理的に難しい」と感じた方もいるかもしれません。
たとえば、ベッドの片側が壁に接していて手が届かない、親の寝室が2階にあって夜の動線が遠い、といった場合です。その感覚は、気のせいではない可能性があります。介護が続くかどうかは、意志より先に、間取りや介助の動線で決まっていることが少なくないからです。
まずは担当のケアマネジャーに、「寝返りの状態」と「夜間は2時間おきが難しいこと」を伝えるところから始めてください。それが、用具の見直しや夜間対応型訪問介護などを検討してもらう出発点になります。
そのうえで、住まいそのものが介助の足かせになっていると感じるなら、選択肢のひとつとして庭に置く別棟「C’ZBシニアリビング」も検討してみてください。ベッドのまわりに介助スペースを取りやすく、家族との距離も近く保てる平屋の空間が、介護のしやすさにどう働くのか。
いまの住まいと比べる材料として、気軽に確かめていただければと思います。
脚注
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/prevention/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/about/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/about/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「防ぎきれない褥瘡に関する『和訳名称変更』と『解説文』のお知らせ」(2025). https://www.jspu.org/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「防ぎきれない褥瘡に関する『和訳名称変更』と『解説文』のお知らせ」(2025). https://www.jspu.org/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「防ぎきれない褥瘡に関する『和訳名称変更』と『解説文』のお知らせ」(2025). https://www.jspu.org/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/about/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/about/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/about/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/prevention/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)」(2022). https://www.jspu.org/medical/guideline/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/prevention/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/prevention/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」(2026年7月17日閲覧). https://www.jspu.org/general/prevention/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)」(2022). https://www.jspu.org/medical/guideline/ ↩︎
- 一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)」(2022). https://www.jspu.org/medical/guideline/ ↩︎
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(2026年7月17日閲覧). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf ↩︎
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(2026年7月17日閲覧). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf ↩︎
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(2026年7月17日閲覧). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf ↩︎
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(2026年7月17日閲覧). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」日本皮膚科学会雑誌 133巻12号 2735-2797頁(2023). https://www.dermatol.or.jp/ ↩︎
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(2026年7月17日閲覧). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf ↩︎