「高齢になった親が、大切にしている犬や猫と、これからも一緒に暮らせるだろうか」
「もし親に介護が必要になったら、あのペットの世話は誰がするのだろう」
そんな不安を抱えていませんか。親にとってペットはかけがえのない家族であり、生きがいそのもの。でも、介護とペットの世話を両方背負うのは現実的に難しい――その板挟みに、ひとりで悩んでいる方は少なくありません。
最初にお伝えしたいのは、「諦めなくて大丈夫」ということです。高齢者とペットの問題の多くは、元気なうちに「託す先」と「資金」を決めておくだけで、最悪の結末を防げます。大切なのは、ペットを手放すことではなく、備えておくこと。そして、あなたひとりで抱え込まないことです。
この記事では、在宅介護を考え始めた40〜50代の方に向けて、高齢の親とペットが安心して暮らし続けるための備えと対策を、時間軸に沿ってわかりやすく解説します。
高齢者とペットの暮らし|得られる効果と、いま増えている「問題」
犬や猫などのペットは、高齢の親にとって、かけがえのない家族の一員です。日々の生活に潤いと癒しを与えてくれる、大切な存在ですよね。まずは、高齢者がペットと暮らすことで得られる効果を、簡単に整理しておきましょう。
- 精神的な効果:無条件の愛情が孤独感をやわらげ、「この子のために元気でいたい」という生きがいや前向きな意欲につながります。動物とのふれあいによる癒し(アニマルセラピー効果)も期待できます。
- 身体的な効果:犬の散歩は適度な運動習慣になり、足腰の維持に役立ちます。食事や散歩の時間が決まることで、規則正しい生活リズムも保たれやすくなります。
- 社会的な効果:散歩中の会話など、ペットを通じて地域とのつながりが生まれやすくなります。
こうした効果は、高齢になっても変わりません。
実際、70代の犬・猫の飼育率は16.5%(犬8.9%、猫7.6%)と、全世帯の平均と同じ水準を保っています1。年齢を重ねても、ペットと暮らしたいという気持ちは強いということです。2024年の調査では、全国で犬は約679.6万頭、猫は約915.5万頭が飼育されています2。
その一方で、飼い主である高齢者の健康状態が変わると、これまで通りの世話が難しくなる現実もあります。近年は、高齢者の入院や死亡をきっかけにした「飼育放棄」が、保健所への動物収容理由の上位を占めるようになってきました3。
「親が飼っているこの子は、これからどうなるのだろう」という不安は、決してあなただけのものではありません。だからこそ、早めに知って備えておくことが大切なのです。
「高齢者とペット 問題」は3つの立場で起こる
高齢者とペットの問題は、立場によって見える景色が違います。ここでは「飼い主(高齢者)」「ペット」「介護者(家族)」の3つの視点で、起こりうることを整理します。ご自身が今いちばん気になる立場から読んでみてください。
飼い主(高齢者)側が抱える課題
- 体力低下による世話の負担増:毎日の散歩、餌やり、トイレ掃除、ブラッシングが体力的に重くなります。重いフードの袋を運ぶ、動物病院へ連れて行く、といったことも難しくなりがちです。
- 認知症による世話の乱れ:餌を与えたことを忘れて何度も与えてしまう、逆に与え忘れる、薬の管理ができなくなるなど、適切な世話が難しくなる場合があります。
- 入院・施設入居時の預け先問題:急な入院や施設入居が決まったとき、預かってくれる人がいない、ペットと一緒に入れる施設が見つからない、という問題は深刻です。
- 経済的な負担:年金生活の中で、フード代・医療費・トリミング代などが家計を圧迫することがあります。特に高齢のペットは医療費がかさみがちです。
- 自分の死後への不安:「もし自分に何かあったら、この子はどうなるのか」という不安は、多くの高齢の飼い主が抱える大きな悩みです。
ペット側が抱える課題
- 飼い主の体調変化によるストレス:散歩や遊びが減ると、ペットにとっても大きなストレスになり、無駄吠えや粗相といった問題行動につながることがあります。
- 世話の質の低下:運動・食事・衛生が十分でなくなると、ペットの健康状態が悪化するリスクがあります。
- 飼育放棄のリスク:適切な引き取り手が見つからないと、最悪の場合、行き場を失ってしまうこともあります。
介護者(家族)側が抱える課題
- 介護とペットの世話の二重負担:親の介護だけでも大変なのに、その親が飼うペットの世話まで担うことになり、負担が過重になりがちです。
- ペットアレルギーの問題:手伝う家族にアレルギーがある場合、同じ空間で過ごすこと自体が難しくなります。
- ペットが介護の妨げになる可能性:足元にまとわりついて転倒の原因になる、介護スペースを占領する、といった心配もあります。
- 施設入居時の引き取り問題:親が施設に入る際にペットを引き取らねばならないが、自宅では飼えない、という板挟みも起こり得ます。
これらに共通して立ちはだかるのが、「ペットは法律上『モノ(動産)』として扱われる」という壁です。たとえ親が倒れて救急搬送されても、本人の同意や身内の承諾がなければ、ケアマネジャーや近所の人がペットを保護することは、住居侵入や窃盗にあたるおそれがあります4。
「いざとなれば誰かが助けてくれる」とは限らない。この点が、後ほど説明する「事前の準備」が欠かせない最大の理由です。
結論:「諦める」前に、「準備」で最悪は防げる
ここで、この記事でいちばんお伝えしたい結論を先にお話しします。
高齢者とペットの問題の本質は、「高齢者がペットを飼うこと」そのものではありません。「飼えなくなったときのバックアップが用意されていないこと」にあります。逆に言えば、元気なうちに次の2つを決めておくだけで、悲しい結末の多くは防げます。
- 託す先:自分が世話できなくなったとき、誰に・どこに託すか
- 資金:その世話にかかるお金を、どう確保しておくか
専門家の間でも、「最後まで飼えないなら飼うな」と年齢で一律に線を引くのではなく、「最後まで飼えなくなったときの備えを用意したうえで飼う」という適正な飼育への考え方が広がっています5。大切なのは、諦めることではなく、備えることです。
この記事では、次の3つの時間軸に沿って、具体的な備えと対策を解説していきます。
- 【元気なうちに】将来に備える準備
- 【介護が始まったら】共生を支える対策
- 【入院・施設入居の緊急時】ペットの行き先を確保する
【元気なうちに】将来に備える5つの準備
課題に直面してから慌てるのではなく、飼い主が元気なうちに準備を進めておくことが、人もペットも安心して暮らし続けるための鍵です。「まだ大丈夫」と思っている今こそ、親子で話し合うタイミングです。具体的には、次の5つに取り組みましょう。
1. ペットの将来を託せる人・場所を決めておく
自分で世話ができなくなったときに備え、信頼して託せる人や場所をあらかじめ見つけておくことが最も重要です。親族や友人に相談する、動物愛護団体や保護施設に問い合わせる、後述するペット信託やペット後見を検討するなど、選択肢は複数あります。
具体的な比較は次の章で詳しく解説します。
2. ペット版エンディングノートを作っておく
他の人に世話を頼むことになったときのために、ペットの情報をまとめておきましょう。「ペット版エンディングノート」を作っておくと、世話をする人が変わっても、ペットのストレスを最小限に抑えられます。
| 項目 | 記載しておく内容 |
|---|---|
| 基本情報 | 名前、年齢、犬種・猫種、性別、マイクロチップの有無・番号 |
| 性格・特徴 | 人懐っこい/臆病、怖がるもの、好きな遊び、癖 |
| 健康状態 | 既往症、治療中の病気、アレルギー、飲んでいる薬 |
| かかりつけ医 | 動物病院名、担当医、連絡先 |
| 食事 | フードの種類・量・回数、好き嫌い、おやつ |
| トイレ・散歩 | トイレの場所・用品、散歩の時間・回数・コース |
| その他 | 予防接種の記録、血統書の保管場所、苦手なこと |
3. ペットのための資金を確保しておく
世話を誰かに託すときには、その費用が必要になります。後で見るように、託す先によっては100万円以上のまとまった資金が必要になることもあります。
ここで大切なのは、親自身の資産(預貯金・年金・生命保険など)からペット専用の資金を確保しておくことです。そうすることで、子世帯にお金の負担が一気にのしかかる事態を防げます。高齢のペットは医療費がかさみやすいため、ペット保険への加入も選択肢になります。
4. しつけと健康管理を続けておく
基本的なしつけ(無駄吠え・噛み癖・トイレ)と、定期的な健康診断・予防接種・ノミダニ予防を続けておきましょう。これは、いざ新しい飼い主や預け先を探すとき、受け入れてもらいやすくなるという点でも重要です。
5. 「緊急保護計画」を家族で共有しておく
先ほど触れた「ペットは法律上モノ」という壁を乗り越えるために、元気なうちに緊急時の段取りを決めて共有しておくことが有効です。
具体的には、「誰が親の家の鍵を預かるか」「親が急に入院したら、誰が最初に駆けつけてペットに餌をやるか」を、親・子世帯・ケアマネジャーの間で話し合い、書面にしておきます。事前に本人の同意を得ておけば、いざというときに合法的かつスムーズに保護へ動けます6。
【比較表】ペットを託せる5つの選択肢
「託す先を決める」とはいっても、どんな選択肢があるのか分かりにくいものです。ここでは代表的な5つを、費用感・法的な拘束力・特徴・向いているケースで比較します。
※費用はいずれも事業者が公表する目安であり、地域や条件によって変わります。最新情報は各窓口でご確認ください。
| 選択肢 | 費用の目安 | 法的拘束力 | 特徴・向いているケース |
|---|---|---|---|
| 親族・知人に依頼 | 当事者間で調整 | 口約束は弱い | 身近に引き受け手がいる場合。ただし口約束は反故になりやすいため、書面化や後述の信託との併用が安心。 |
| 老犬・老猫ホーム | 一時預かり:犬 日額約7,700円/猫 約4,400円。終生:中型犬で月8〜15万円、3年で300〜600万円の例7 | 契約による | 世話を施設に任せたい場合。緊急時の一時預かりにも使える。高額になりやすく、送迎や報告の有無を要確認。 |
| ペット信託 | 初年度 犬 約52.5万円/猫 約44.5万円(契約書作成・公正証書・年間ケア費等を含む目安)8 | 強い(信託契約) | 世話を引き受ける親族・知人がいる場合。資金の使い道がペットの飼育に限定され、監督人による監視も可能。 |
| ペット後見(互助会) | 入会金10万円、月会費1,000円、将来の飼育費 最低100万円〜(NPO「とものわ」の例)9 | 強い(契約) | 身内に引き受け手がいない場合。NPO等が緊急保護・終生飼育・譲渡まで担うワンストップ型。 |
| 里親・保護団体 | 団体により異なる(無償〜実費) | 譲渡契約による | 新しい飼い主に引き継ぎたい場合。事前に情報収集・相談を。地域差が大きい。 |
「ペット信託」と「ペット後見」の使い分け
迷ったときの判断軸はシンプルです。世話を引き受けてくれる親族・知人がいるなら「ペット信託」、身内に頼れる人がいないなら「ペット後見(互助会)」を軸に検討するとよいでしょう。
ペット信託は、ペットの世話をする人(受託者)を決め、信託したお金から飼育費を支払う仕組みです。お金の使い道が「ペットの飼育」に限定されるため、使い込みを防げます。さらに「信託監督人」(行政書士などの専門家)を置けば、きちんと飼育されているかを定期的にチェックできます10。
一方のペット後見は、引き受け手がいない場合の受け皿です。NPO法人などが、飼い主の入院・死亡時に緊急保護を行い、新しい飼い主探しや提携施設での終生飼育までを担います11。
手軽に見える「負担付遺贈」(ペットの世話を条件に遺産を譲る遺言)には注意が必要です。相続人が遺産だけ受け取って世話をしない「使い込み」や、相続放棄によって飼育義務まで消えてしまうリスクがあるためです12。確実性を求めるなら、信託や後見の仕組みを検討しましょう。
【介護が始まったら】ペットとの共生を支える具体策
実際に親の介護が始まっても、工夫しだいでペットとの暮らしは続けられます。ポイントは、一人で抱え込まず、使えるサービスと周囲の協力を組み合わせることです。
家族・親族で役割を分担する
まず、誰がどの世話を担えるかを家族で話し合いましょう。散歩・餌やり・トイレ掃除・通院などを具体的に割り振り、一人に負担が集中しないよう協力体制を組みます。経済的な支援の分担も、あわせて話し合っておくと安心です。
介護保険の「対象外」を、自費サービスで補う
ここで知っておきたいのが、ペットの散歩や世話は介護保険の対象外だということです13。訪問介護のヘルパーにペットの世話を頼むことはできません。だからこそ、足りない部分は自費の民間サービスで補う発想が必要です。
- ペットシッター・散歩代行:体調が悪い日や家を空ける日に、散歩や世話を代行してもらえます。
- ペットタクシー・往診:通院が難しいときは、ペット専用タクシーや往診対応の動物病院、オンライン健康相談が役立ちます。
福祉用具・便利グッズを活用する
飼い主と介護者の負担を減らす道具も、上手に取り入れましょう。
| グッズ | 役立つ場面 |
|---|---|
| 自動給餌器・自動給水器 | 決まった時間に自動で餌や水が出るため、餌やり・水交換の手間を減らせます。 |
| ペット用スロープ・ステップ | 足腰が弱ったペットの昇り降りや、抱き上げの負担をやわらげます。 |
| 清掃しやすいトイレ・ケージ | 掃除の負担を軽減できます。 |
| ペットカメラ | 外出先からペットの様子を確認でき、安心です。 |
地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
「ペットの世話まで手が回らない」という悩みも、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。地域のボランティア団体やNPO法人など、役立つ情報につないでくれることがあります。
そして何より、無理は禁物です。介護とペットの世話を一人で背負い込むと、心身ともに限界が近づきます。「もう限界かもしれない」と感じたら、介護ストレスの限界サインと解消法をまとめた記事もあわせてご覧ください。
【入院・施設入居の緊急時】ペットをどうするか
「親が急に入院した」「施設入居が決まった」――。そんなとき、ペットの行き先をどう確保すればよいのでしょうか。慌てないために、対応の順序を知っておきましょう。
- STEP1.まず「一時預かり」で時間を稼ぐ
急なときは、まず一時的な預け先を確保して時間を稼ぐのが第一歩です。老犬・老猫ホームのショートステイ、ペットホテル、泊まり込み対応のペットシッターなどが選択肢になります。
恒久的な行き先が決まるまでの「中継地点」と考えましょう。だからこそ、ショートステイに対応している施設を、元気なうちにいくつか調べておくと安心です。
- STEP2.並行して「恒久的な行き先」を手配する
一時預かりで時間を確保したら、その間に長期的な行き先を決めます。前章で準備したペット信託やペット後見があれば、それを実行に移します。里親探しを始めるのもこの段階です。
- STEP3.「ペット可の施設」は唯一の頼みにしない
親自身の施設入居にあたり、「ペットと一緒に入れる施設(ペット共生型の有料老人ホームなど)」を希望する方もいます。ただし、こうした施設は全国的にまだ数が限られ、入居条件も厳しい傾向にあると考えられます。
「自分で世話ができること」「無駄吠えや噛み癖がないこと」などが求められ、費用も高額になりやすいためです。施設だけを唯一の頼みにせず、信託や後見と組み合わせて備えておくのが現実的です。
- STEP4.
人もペットも安全・快適な住環境の工夫
高齢者とペットが同じ家で暮らすなら、住環境の工夫も欠かせません。ちょっとした配慮で、人もペットも格段に暮らしやすくなります。
安全対策
- 転倒防止:床の電気コードを整理し、滑りにくい床材を選びます。立ち入ってほしくない場所にはペットゲートを設け、つまずきや回避による転倒を防ぎます。
- 誤飲・誤食の防止:人間の薬・食べ物・小さなオモチャは、ペットの届かない場所や鍵のかかる場所に保管します。
- 脱走防止:玄関や窓からの脱走を防ぐため、二重扉や網戸ストッパーを活用します。
衛生・におい対策
- トイレの配置:換気がよく掃除しやすい場所に置き、消臭効果の高い用品を選びます。
- 空気清浄機の活用:においや抜け毛、フケはアレルギーの原因にもなります。高性能な空気清浄機で室内を清潔に保ちましょう。
- 抜け毛対策:掃除しやすいフローリングを選び、こまめなブラッシングとロボット掃除機を組み合わせます。
居場所づくりと「動線の共存」
ペットが安心できる居場所(寝床やケージ)を用意してあげましょう。高齢者のベッドや車椅子の近くに安全な寝床を設ければ、お互いの存在を感じながら過ごせます。あわせて、介護者がスムーズに動ける「介護動線」と、ペットが動き回る「ペット動線」が共存できるレイアウトを考えることが大切です。
なお、家族にペットアレルギーの人がいる場合、同じ空間で過ごすこと自体が難しくなります。その有力な解決策が、生活空間を物理的に「分ける」という発想です。次章で詳しく見ていきましょう。
同居・近居の悩みを「分ける」選択肢:別棟という住まいの形
「今の家では、親の介護とペットの世話を両立するスペースが足りない」「鳴き声やにおい、アレルギーが心配で、母屋での同居に踏み切れない」――。そうした悩みを、住まいの工夫で解決する選択肢のひとつが、庭などの敷地内に独立した別棟を設けるという方法です。
私たち株式会社アイデアがご提案する介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」も、その一例です。ここでは、ペットとの暮らしという観点から、仕様と向き不向きの両面をお伝えします。
別棟がペットとの暮らしに向く理由
- 生活空間を分けられる:母屋とは別の建物になるため、ペットの鳴き声・におい・抜け毛、生活時間の違いを物理的に分離できます。アレルギーのある家族も、母屋で安心して過ごしやすくなります。
- 段差のないフラットな床:足腰の弱った高齢者にも、高齢のペットにも安全です。床材や、ペットドアなどのカスタマイズにも対応できます。
- リフォーム不要で設置できる:工場で完成させた建物をクレーン付きトラックで運び、設置します。既存の自宅を工事する必要がありません。
- 高断熱で快適:冬は暖かく夏は涼しい仕様で、ヒートショック対策にもなります。人にもペットにも過ごしやすい室内環境です。
- 将来の扱いに柔軟:使い終わった後は買取も可能で、移設や用途変更もしやすい構造です。
向くケースと、慎重に検討したいケース
どんな選択肢にも、向き・不向きがあります。次の整理を、ご自身の条件に当てはめて判断してください。
- 向いているケース:設置できる庭や敷地がある/鳴き声・におい・アレルギーを空間の分離で解決したい/母屋とは程よい距離を保ちつつ、ペットと一緒の親を見守りたい。
- 慎重に検討したいケース:設置スペースや給排水の引き込みに制約がある/用途地域などの設置条件を満たすか未確認/24時間つきっきりの見守りが必要な重度の状態にある。
住まいを選ぶときは、費用(初期・運用)/工期・手間/プライバシー/介護負担/将来の扱い(買取・移設)/設置条件といった観点で、リフォームや施設などと並べて比較することをおすすめします。設置条件や費用は土地・地域によって異なるため、必ず最新情報をご確認ください。
また、ペットの問題をきっかけに「そもそも親の一人暮らしを、いつまで続けられるのか」と感じ始めた方は、親の一人暮らしの限界サインと次の住まいの選び方をまとめた記事もあわせてご覧ください。住まい全体を見直すヒントになります。
よくある質問
- Q親に万が一のことがあったら、飼っているペットはどうすればいいですか?
- A
親が元気なうちに「誰に・どこに託すか」を決めておくことが最も重要です。身近に引き受け手がいればペット信託、いなければNPOなどのペット後見(互助会)が選択肢になります。間に合わなかった場合は、自治体の動物愛護センターや保健所、動物保護団体に相談しましょう。近年は殺処分ではなく譲渡を前提とした引き取りが進んでいます。
- Qペットを託すには、どのくらいの費用がかかりますか?
- A
託す先によって幅があります。事業者公表の目安では、ペット信託は初年度で犬約52.5万円・猫約44.5万円、NPOのペット後見「とものわ」は入会金10万円・月会費1,000円に加え将来の飼育費として最低100万円程度が必要です。老犬ホームでの終生預かりは数百万円に及ぶ例もあります。費用は地域や条件で変わるため、親自身の資産から専用の資金を確保しておくと、子世帯への負担を防げます。
- Q親が急に入院し、ペットの預け先がありません。どうすればいいですか?
- A
まずは一時預かりで時間を稼ぐのが第一歩です。老犬・老猫ホームのショートステイ、ペットホテル、泊まり込み対応のペットシッターなどを活用しましょう。そのうえで、信託やペット後見の実行、里親探しなど恒久的な行き先を並行して手配します。元気なうちに、ショートステイ対応の施設をいくつか調べておくと安心です。
- Q高齢の親に、このままペットを飼い続けさせて大丈夫でしょうか?
- A
年齢だけを理由に一律で諦める必要はありません。専門家の間でも、「飼えなくなったときの備え(託す先と資金)を用意したうえで飼う」という考え方が広がっています。70代でもペットの飼育率は全世帯平均と同水準で、ペットは生きがいや健康の支えになります。問題は飼うこと自体ではなく、バックアップがないことだと考えましょう。
- Q介護を手伝いたいのですが、家族にペットアレルギーがいます。良い方法は?
- A
親とペットの生活空間と、家族の生活空間を物理的に分けるのが効果的です。同じ家の中では空気清浄機やこまめな清掃で対策しつつ、庭に独立した別棟を設けるといった「分ける」発想も有効です。空間を分ければ、アレルギーのある家族もアレルゲンとの接触を抑えながら実家を訪ねやすくなります。
まとめ:諦めないための準備と、頼っていい選択肢
高齢の親とペットの問題は、いざ直面すると重くのしかかります。けれど、その多くは「飼えなくなったときの備え」があれば防げるものです。鍵となるのは、元気なうちに「託す先」と「資金」を決めておくこと。そして、あなたひとりで抱え込まず、使える仕組みに頼ることです。
この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 問題の本質は「飼うこと」ではなく「備えがないこと」。元気なうちの準備が最大の対策になります。
- 託す先には、ペット信託・ペット後見・老犬老猫ホームなど複数の選択肢があり、費用と特徴で比較して選べます。
- 介護が始まったら、介護保険の対象外を自費サービスで補い、家族や専門家と分担しましょう。
- 入院・施設入居の緊急時は、まず一時預かりで時間を稼ぎ、並行して恒久的な行き先を手配します。
- 同居の不安は、住環境の工夫や「生活空間を分ける」という発想でやわらげられます。
「親も、ペットも、自分たちも無理をしない暮らし」は、正しい知識と少しの準備で十分に実現できます。もし、鳴き声やにおい、アレルギーやプライバシーが気になって同居に踏み切れないなら、庭に独立した別棟を設けて「程よい距離」で見守るという選択肢もあります。
私たち株式会社アイデアの介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」が、その一例です。まずは気軽に、どんな住まい方ができるのかをのぞいてみてください。人もペットも家族みんなが笑顔で暮らせる方法を、一緒に見つけていきましょう。
脚注
- 株式会社ハルメクホールディングス「シニア女性のペット飼育に関する意識と実態調査」(2022年)。70代の犬猫飼育率等。 https://www.halmek-holdings.co.jp/news/press/2022/5j5heqoc89p4/ ↩︎
- 一般社団法人ペットフード協会「2024年 全国犬猫飼育実態調査」(文永堂出版 JVM NEWSによる報道)。犬約679.6万頭・猫約915.5万頭。 https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20250107-001 ↩︎
- NPO法人人と動物の共生センター「独居高齢者がペットを飼育する上での3つの準備とは」。高齢者の入院・死亡による飼育放棄、緊急保護の考え方等 https://human-animal.jp/activity/pet-kouken/6912.html ↩︎
- かわさき高齢者とペットの問題研究会/川崎市市民活動センター。ペットが法律上「動産」として扱われることに伴う保護介入の難しさ。 https://www2.kawasaki-shiminkatsudo.or.jp/volunt/1740/ ↩︎
- 同上(NPO法人人と動物の共生センター)。「飼えなくなったときの備えを用意したうえで飼う」適正飼育の考え方。 https://human-animal.jp/activity/pet-kouken/6912.html ↩︎
- NPO法人人と動物の共生センター「独居高齢者がペットを飼育する上での3つの準備とは」。高齢者の入院・死亡による飼育放棄、緊急保護の考え方等 https://human-animal.jp/activity/pet-kouken/6912.html ↩︎
- 老犬ホームの費用相場(事業者公表の目安。地域・条件により変動)。 https://friendoggy.com/column/rouken-home/ ↩︎
- VSGグループ「ペット信託の料金とメリット」。信託の初期費用の目安、信託監督人、負担付遺贈のリスク等。 https://vs-group.jp/sozokuzei/pettrust-priceandmerit/ ↩︎
- NPO法人人と動物の共生センター「ペット後見互助会とものわ」。入会金・月会費・将来の飼育費用の目安。 https://human-animal.jp/activity/pet-kouken/6912.html ↩︎
- VSGグループ「ペット信託の料金とメリット」。信託の初期費用の目安、信託監督人、負担付遺贈のリスク等。 https://vs-group.jp/sozokuzei/pettrust-priceandmerit/ ↩︎
- NPO法人人と動物の共生センター「ペット後見互助会とものわ」。入会金・月会費・将来の飼育費用の目安。 https://human-animal.jp/activity/pet-kouken/6912.html ↩︎
- VSGグループ「ペット信託の料金とメリット」。信託の初期費用の目安、信託監督人、負担付遺贈のリスク等 https://vs-group.jp/sozokuzei/pettrust-priceandmerit/ ↩︎
- かわさき高齢者とペットの問題研究会「介護職の方向けQ&A」。ペットの世話が介護保険の対象外である点。 https://kawasaki-sepw.localinfo.jp/pages/7583805/questionsandanswers ↩︎
- 環境省の動物愛護管理行政に関する統計資料。犬・猫の引取り数・殺処分数の推移(令和4年度)。 https://www.env.go.jp/content/900471859.xlsx ↩︎
- かわさき高齢者とペットの問題研究会。行政・地域包括支援センター・ボランティアの連携モデル。 https://kawasaki-sepw.localinfo.jp/ ↩︎