【実録】在宅介護の一日のスケジュール|要介護1・4の2例と7つの工夫

仕事と休息を先に置き、空いた時間にデイサービスや訪問介護をはめ込む在宅介護の一日のスケジュールのイメージ 介護者の悩み・メンタルケア

「在宅介護が始まったら、毎日はどんな生活になるんだろう」
「仕事を続けながら、本当に介護と両立していけるのかな」

親の退院が近づいたり、要介護認定の結果が手元に届いたりすると、介護への不安は急に現実味を帯びてきます。日々の生活リズムが思い描けないまま、何から手をつければいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

在宅介護の1日に、たったひとつの「正解」はありません。そして、家族だけで何から何まで完璧にこなす必要もありません。まずはほかの家庭のスケジュールを参考に1日の流れをつかみ、ご自身の仕事の時間や休息を先にカレンダーへ確保したうえで、空いた枠に介護サービスを当てはめていくと、無理なく回しやすくなります。

この記事でわかること
  • 要介護1・要介護4の2つの事例に見る、1日のタイムスケジュール
  • 要介護度によって1日の流れはどう変わるのか
  • 在宅介護で多くの家族が直面する負担とその実態
  • 自分に合ったスケジュールを組み立てる4つのステップと、負担を軽くする3つの工夫

在宅介護の1日は何で変わる?|要介護度と、介護する人の働き方

要介護1と要介護4で「ほとんど終日」介護する人の割合を比べたグラフと、1日に入ってくる介助と段取りの図解

要介護度が上がるほど、介護に拘束される時間は長くなる

在宅介護の1日の流れを大きく左右する要因のひとつが、親の要介護度です。厚生労働省の2025(令和7)年 国民生活基礎調査によると、同居して主に介護を担っている家族のうち、介護時間が「ほとんど終日」と答えた人の割合は、要介護1では10.6%にとどまるのに対し、要介護4では48.5%にのぼります1。

この「ほとんど終日」には、食事や排泄といった直接の介助だけでなく、転倒や徘徊が心配で目を離せない見守りの時間も含まれていると考えられます。そのため、要介護度が高くなるほど、介護する人が自分のために使える時間は削られていきます。

1日の予定に入るのは「直接の介助」と「日々の段取り」の2種類

毎日のスケジュールに並ぶのは、食事・排泄・入浴・服薬・着替えの手伝いや、寝たきりの場合の体位交換(床ずれを防ぐために体の向きを変えること)といった直接の介助だけではありません。ケアマネジャーや介護事業者との連絡、通院の付き添い、紙おむつなどの介護用品の買い出し、介護記録の記入といった段取りも毎日の生活に入り込み、少しずつ時間を取られていきます。

また、1日の組み立て方は、介護する家族が仕事をしているかどうかによっても大きく異なります。同居して主に介護を担う家族のうち、約4割(41.0%)は仕事をしながら介護を続けています2。

そこで今回は、仕事と両立しながら軽度の母親を支える娘の1日と、仕事をせず専業で重度の夫を介護する妻の1日という、対照的な2つのケースをご紹介します。どちらの家庭も、すべてのケアを家族だけで抱え込んでいるわけではありません。時間表の右の列を見ると、デイサービスや訪問看護など、介護サービスに任せている時間があることがわかります。

実録ケース1:日中独居・軽度認知症の母親(要介護1)を娘が仕事と両立しながら介護する1日

要介護1の母を、パートで働きながら近くから支える娘の1日のタイムライン

1つ目は、軽度の認知症がある母親を、パートで働く娘が近くから通って支えるケースです。

  • 母(Aさん):82歳・要介護1。軽度の認知症により物忘れや日付の取り違えが見られ、日中は一人で過ごすことが多い状態です。足腰は比較的しっかりしているものの、一人での外出には不安が残ります。
  • 娘(Bさん):55歳。パートで週4日勤務。実家から車で20分ほどの距離に夫と暮らしています。

Bさん(娘)のある1日のタイムスケジュール(パート勤務の日)

時間Bさん(娘)の行動Aさん(母)の様子・利用サービス
7:00起床、自身の朝食準備、身支度起床
8:00実家へ移動
8:20朝食準備、服薬確認、今日の予定の声かけ朝食、服薬
9:00母をデイサービスへ送り出し(送迎車)デイサービスへ出発
9:30〜15:30パート勤務デイサービスで入浴・昼食・レクリエーション
16:00実家へ移動
16:20母が帰宅、おやつ準備、今日の様子を聞き取り帰宅、おやつ
17:00夕食準備、一緒に食事、服薬確認夕食、服薬
18:30明日の準備、片付けをして自宅へ戻るテレビを見たりして過ごす
19:00〜自身の夕食、家事、休息
21:00母に就寝確認の電話ヘルパーによる就寝準備(週3回)、または自身で就寝

Bさんの1日は、朝のデイサービスの送り出しから夕方の帰宅までの間に、パートの勤務時間が収まるように組み立てられています。

Bさんが大変だと感じていること

  • 仕事と介護サービスの日程調整:勤務シフト、デイサービスの利用曜日、通院の予約をパズルのように組み合わせる必要があり、急な残業や母の体調不良で予定が狂ってしまうことがあります。
  • 認知症の言動への対応:同じことを何度も聞かれるうちに、つい感情的になってしまい、あとで自己嫌悪に陥ることがあります。
  • 日中一人で過ごす母の安全:デイサービスがない日は、留守中の母が困ったことになっていないかが気がかりです。

Bさんが工夫していること

  • デイサービスで働く時間を確保する:デイサービスは母の楽しみであると同時に、Bさんが安心してパートに出るための土台になっています。
  • 夜の見守りはヘルパーにお願いする:週3回、夕食後の見守りと就寝の準備をヘルパーに頼むことで、18時半には実家を出て自宅へ戻れるようにしています。
  • きょうだいで役割を分担する:遠方に住む兄が費用面を援助し、近くに住む妹が週末の訪問や通院の付き添いを担当しています。母の様子はLINEグループでこまめに共有しています。
  • 離れている時間は機器で見守る:毎日決まった時間に顔を見て話せるビデオ通話を使い、万が一の転倒などに備えて緊急通報システムも設置しています。

デイサービスで行われる入浴・昼食・機能訓練といった施設での1日の流れや、費用と事業所の選び方は、「デイサービスとは?費用・種類・選び方を初心者向けに解説」で詳しく整理しています。

実録ケース2:寝たきりの夫(要介護4)を妻が専業で介護する1日

要介護4の夫を専業で介護する妻の、夜間まで続く24時間の流れと、週末に手伝う長男の家族

2つ目は、日常的に医療的ケアが必要な夫を、妻が専業で介護するケースです。ケース1とは、求められる介助の性質や体への負担が大きく異なります。

  • 夫(Cさん):78歳・要介護4。脳梗塞の後遺症で寝たきりとなり、気管切開をしています。痰の吸引と経管栄養(チューブを通して胃や腸に栄養を送る方法)が必要で、意思の疎通はまばたきやわずかな表情の変化でしか図れません。
  • 妻(Dさん):75歳。介護に専念していますが、持病の腰痛と高血圧があり、自身の健康にも不安を抱えています。
  • 長男の家族:近くに住み、週末や祝日を中心に手伝いに来ます。

Dさん(妻)のある1日のタイムスケジュール

時間Dさん(妻)の行動Cさん(夫)の様子・利用サービス
6:00起床、自身の準備、経管栄養の準備
6:30起床介助、おむつ交換、口腔ケア、体温・血圧測定起床、バイタルチェック
7:30経管栄養(朝)、服薬経管栄養、服薬
8:30体位交換、背抜き、痰の吸引(必要時)
9:00〜11:00清拭または部分浴、着替え。合間に自身の朝食・洗濯などの家事清潔ケア
10:00頃(週2回)訪問看護師が来訪、全身状態チェック・医療的ケア・相談訪問看護サービス
11:30体位交換、痰の吸引(必要時)
12:00経管栄養(昼)、服薬経管栄養、服薬
13:00〜15:00昼寝の見守り。自身の昼食・休憩・買い物。(週1回)訪問リハビリ昼寝、(週1回)訪問リハビリ
15:00おむつ交換、体位交換、痰の吸引(必要時)
16:00〜17:00コミュニケーション(読み聞かせ・マッサージ)。(週1回)訪問入浴(週1回)訪問入浴
17:30経管栄養(夕)、服薬経管栄養、服薬
18:30〜20:00自身の夕食準備・夕食・片付け。夫の口腔ケア
20:30就寝準備、おむつ交換、体位交換就寝
21:00〜自身の自由時間(ほぼなし)、就寝準備
夜間約2〜3時間おきに体位交換、痰の吸引(必要時)、おむつ確認

Dさんの1日は、朝・昼・夕の1日3回の経管栄養を軸に組み立てられ、その合間に体位交換や痰の吸引が入ります。夜間も2〜3時間おきに起きる必要があるため、まとまった睡眠はほとんど取れません。

夜間の体位交換は、つらい床ずれ(褥瘡)を防ぐために欠かせないケアですが、続けられずに思い悩む家族は少なくありません。体圧分散マットレスの選び方や、体位交換の間隔の考え方は、「床ずれ予防と対策の3本柱|マットレスは「寝返り可否」で選ぶ」で詳しく説明しています。

Dさんが大変だと感じていること

  • 24時間途切れない緊張感と睡眠不足:夜間も含めて数時間おきのケアが続くため、常に気が張り詰めていて熟睡できません。
  • 移乗や体位交換による体への負担:夫を支えてベッドから起こしたり向きを変えたりする動作は、腰痛持ちのDさんには大きな苦痛です。
  • 医療的ケアへの不安と孤立感:チューブの管理や痰の吸引に失敗できないプレッシャーを感じる一方で、外出の機会が減り、話し相手もいない孤独を抱えています。

Dさんが工夫していること

  • 長男の家族と分担する:週末や祝日には長男の家族が手伝いに来てくれます。体温・食事量・排泄・ケア内容を記録した介護日誌で、家族とも夫の状態を共有しています。
  • 医療系の介護サービスを組み合わせる:訪問看護(週2回)、訪問リハビリ(週1回)、訪問入浴(週1回)を利用し、専門職のケアと助言で、体の負担と医療的ケアへの不安を和らげています。
  • 福祉用具をレンタルする:電動介護ベッド、体圧分散マットレス、移乗用リフトを借り、夫の楽な姿勢を保ちながら、Dさんの腰にかかる負担を抑えています。
  • ショートステイを定期的に利用する:月に1回、1週間ほどショートステイ(短期間の宿泊サービス)を利用し、その間に自分の休養や通院を済ませています。Dさんはこの時間を、心と体を保つための「命綱」と呼んでいます。

親の一方が介護を担っているとき、子どもができるサポート

重度の在宅介護では、Dさんのように配偶者が主に介護を担っている家庭が多くあります。介護時間が「ほとんど終日」に及ぶ同居の主な介護者の内訳を見ると、配偶者が64.6%、子どもが28.9%3。

親の一方がもう一方を介護している家庭では、日々の介助はすでに親の手で回っていることが少なくありません。そのため子どもの役割は、毎日の介助を代わることより、介護している親が心身を休められる時間をつくることにあると考えられます。

たとえば、週末の見守りの交代や通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談への同席、ショートステイの利用手続きの手伝いは、離れて暮らす子どもでも担いやすい支援です。

要介護度が変わると、1日の流れはどう変わる?

要介護度が軽度・中度・重度と変わるにつれて、見守りから体の介助、医療的ケアへと1日の中心が移る比較図

2つのケースの間には、要介護2〜3の段階にある家庭も多くあります。要介護度に応じた1日の組み立て方の傾向は、次の表のように整理できます。

段階ケアの中心1日の組み方の傾向
軽度
(要支援〜要介護1)
見守り・声かけ・部分的な手助けが中心デイサービスと見守りを組み合わせれば、仕事と両立しやすい。日中ひとりの時間の安全が課題
中度
(要介護2〜3)
食事・排泄・入浴など体の介助が増える訪問介護の回数が増え、通院や服薬の管理も増える。ショートステイの定期利用を考え始める時期
重度
(要介護4〜5)
体の介助・夜間の対応・医療的ケアが前提になる同居して主に介護する家族の約半数が、1日のほとんどを介護に費やす(「ほとんど終日」)4。医療系サービス・福祉用具・休息のためのサービスを組み合わせて支える

この表で最も大きな転換点となるのが要介護3です。

同居して主に介護する家族の介護時間を見ると、要介護2までは「必要なときに手をかす程度」が最も多いのに対し、要介護3になると「ほとんど終日」(1日のほとんどを介護に費やす)が最も多くなります5。そのため、要介護2から3に上がったタイミングは、1日の組み立て方を見直す一つの目安になると考えられます。

本人の状態が変わったときは、1日のスケジュールも、ケアマネジャーが作成するケアプラン(居宅サービス計画)も見直してかまいません。在宅で利用できる介護保険サービスの量の上限(支給限度基準額)は要介護度ごとに定められていて6、要介護度が重くなるほど利用できる枠も広がります。

区分ごとの上限額や心身の状態の目安は、「要介護度とは?8段階の違いと受けられるサービス一覧」にまとめています。

「親の介護度が上がったら、自宅では暮らせなくなるのでは」と不安になるかもしれません。

しかし、状態の変化に合わせてサービス内容や家族の分担を見直していけば、在宅介護を続けられるケースは少なくありません。上限額や使えるサービスは地域や時期によっても違うので、負担を感じたら早めにケアマネジャーに相談してみてください。

2つのケースに共通する負担|重くなりやすいのは「自分の時間がない」こと

同居して主に介護する家族の約6割が悩みやストレスを抱え、「ほとんど終日」介護する人ほど「自由にできる時間がない」を挙げる割合が高いことを示すグラフ

要介護1の母を支えるBさんと、要介護4の夫を介護するDさんは、介護する親の状態も生活環境も大きく異なりますが、どちらも介護のために自分の時間を削っていることは共通しています。同居して主に介護を担う家族の約6割(63.7%)が何らかの悩みやストレスを抱えていて、そのうち8割近く(78.1%)が、原因に「家族の病気や介護」を挙げています7。

なかでも、介護にかける時間の長さと結びつきやすいのが「自由にできる時間がない」という悩みです。悩みやストレスを抱える人のうち、この悩みを挙げた割合は、介護時間が「ほとんど終日」(1日のほとんどを介護に費やす)の人では32.3%で、「必要なときに手をかす程度」の人の14.9%と比べて、約2倍の開きがあります8。

介護に費やす時間が長い人ほど、自分の時間がないことを負担に感じやすい傾向がうかがえます。「空いた時間で休もう」と思っていても、介護が長くなれば休める時間は残りません。だからこそ、自分のための時間は後回しにせず、仕事の予定と同じように先に枠を確保しておく必要があります。

なお、眠れないほど気持ちが張りつめているときは、心の負担への手当ても必要です。介護ストレスの危険信号と心を落ち着かせる方法は「介護ストレスの限界サインと解消法|CBTで心を守る7つの技法」で、「もう限界かもしれない」と追い詰められたときの選択肢は「在宅介護「もう限界かも」と感じたら|3つの解決策と次の一歩」で取り上げています。

自分のスケジュールを組む4つのステップ

介護のタスクを書き出し、仕事と休息を先に押さえ、家族と共有し、余白を残す、スケジュールの組み方4ステップの図解

ほかの家庭のスケジュールを、そのまま自分の生活に当てはめることはできません。そこで、親の状態やご自身の勤務時間、きょうだいとの距離に合わせて、次の4つのステップで計画を立てると整理しやすくなります。

  • Step1
    日々の介護タスクをすべて書き出す

    食事の用意、服薬の確認、通院、デイサービスの送迎準備、日誌の記録など、「やること」を紙やスマホのメモに洗い出します。書き出してみると、ほかの人に任せられることが見えてきます。

  • Step2
    仕事と自分の休息を「先に」カレンダーへ確保する

    勤務時間と休養の時間をまずスケジュールに入れ、残った枠にデイサービスや訪問介護を当てはめていきます。ケアマネジャーにも、勤務の時間帯と休みたい曜日や時間を最初に伝えておくと、その条件を前提にしたケアプランを組んでもらいやすくなります。

  • Step3
    家族や関係者と予定を共有する

    カレンダーアプリなどで「誰が、いつ、何をするか」を見える形にします。主に介護する人の頭の中だけに予定を抱え込まずに済み、「言った・言わない」の行き違いも防げます。

  • Step4
    突発的な出来事に備えて「余白」を残す

    突然の発熱や急な通院など、介護の予定は想定外の出来事で崩れやすいものです。週に半日程度は予定を入れない時間を作っておくと、崩れたときにも落ち着いて立て直せます。

なお、ステップ2で仕事の時間を守るには、会社の両立支援制度も使えます。たとえば介護休業は、自分で介護をするための休みというより、ケアマネジャーと介護の体制を整える準備期間として使うと、職場に戻ってからも両立を続けやすくなると考えられます。

両立支援制度の使い方や会社への相談の手順は「介護離職しないための両立ガイド|6つの制度と介護休業93日の使い方」で、親と離れて暮らす場合の判断の目安は「【遠距離介護の限界】見極めるサインと4つの選択肢を徹底解説」で詳しく整理しています。

1日の介助を、どの時間帯に置くか

1日の時間割を組み立てるときは、毎日必ず発生する主な介助のタイミングを軸にすると組みやすくなります。2つのケースを踏まえると、たとえば次のような置き方が考えられます。

食事

朝・昼・夕の3回の食事時間が、1日のスケジュールの骨組みになります。調理の手間は、配食サービスや訪問介護の生活援助(調理の手伝い)で減らせます。

食べやすい形への工夫や配食サービスの選び方は、「介護中の食事づくり」で扱っています。

入浴

体の負担が大きく、浴室での転倒などにも気を配る必要がある介助です。ケース1のようにデイサービスの利用時に入浴を済ませるか、ケース2のように訪問入浴を利用する日を作ると、家族の負担を減らせます。

安全に入浴介助を進める手順は、「入浴介助の手順|安全を守る3鉄則と便利グッズ・サービス」で順を追って説明しています。

排泄

時間を決めにくく、夜間にも起こりやすい介助です。起床時や食後など、生活リズムに合わせてトイレへ誘う時間を決めておくと、失敗を減らしやすくなります。

おむつ交換やトイレ誘導のコツは、「排泄介助の基本とコツ|おむつ交換・トイレ誘導・ポータブルトイレの選び方」にまとめています。

服薬

ケース1のBさんのように、家族が親のそばにいる朝と夕方に服薬確認を置いておくと、飲み忘れや重複服用を防ぎやすくなります。

お薬カレンダーや一包化(1回分の薬を1包にまとめる調剤)などの管理方法は、「高齢者の薬の管理方法|飲み忘れ防止グッズと家族のサポート術」で紹介しています。

主な介助の時間が固まれば、残りの時間のうち、どこを仕事に充て、どこを自分の休養に充てられるかがはっきり見えてきます。

負担を軽くする3つの工夫|支えを増やす・分担する・自分を守る

支えを増やす、家族で分担する、自分の休みを先に予定へ入れる、在宅介護の負担を軽くする3つの工夫の図解

4つのステップで組み立てたスケジュールも、続けていくうちに疲れがたまったり、思い通りに進まなくなったりします。そうしたときの支えになるのが、BさんやDさんも実践していた次の3つの工夫です。

① 支えを増やす

困りごとは一人で悩まず早めに相談する

ケアマネジャーや地域包括支援センター(高齢者の暮らしに関する総合相談窓口)に小さな困りごとも早めに伝えると、ケアプランの見直しや新しいサービスの提案につながります。自治体によっては、独自の配食や見守りの支援を行っているところもあります。

福祉用具や見守り機器を活用する

介護用ベッドや手すりは、本人の自立を助けるだけでなく、介護する人の腰痛などの体の負担も和らげます。夜間はマットレスの下に敷くセンサーなどを使うと、「念のため」の見回りを減らせる場合もあります。ただし、本人が「監視されている」と感じないよう、事前によく話し合っておくことが大切です。

② 分担する

家族や親族で役割を分ける

通院の付き添い、週末の交代、費用の負担など、それぞれができる役割を話し合って分担します。ケース1のお兄さんのように、遠方に住んでいても費用面や事務手続きなどで力になれます。

介護日誌で情報を共有する

日々の体調、食事の量、排泄の状況、ケア内容などをノートやアプリに記録しておくと、主治医やケアマネジャーへの説明がスムーズになり、家族の間の情報共有にも役立ちます。

③ 自分を守る

自分の休息(レスパイト)をあらかじめ予定に組み込む

疲れ果ててからショートステイ(短期間の宿泊介護サービス)を探しても、空きがなくすぐには利用できないことがあります。「毎月、決まった週末は休む」とケアマネジャーに伝え、あらかじめケアプランに組み込んでもらうと安心です。介護から定期的に離れることは手抜きではなく、共倒れを防ぐための備えだと考えられます。

ショートステイの費用の目安や利用できる日数のルール、予約の取り方は、「ショートステイとは?費用・日数・使い方を完全ガイド」で詳しく整理しています。

同じ境遇の仲間と気持ちを分かち合う

地域包括支援センターなどが開く家族会や、オンラインの介護者の集まりで悩みを打ち明けるだけでも、孤独感が和らぎ、心の支えになります。

100点満点を目指さない

すべての家事や介助を完璧にこなそうとすると、心身が先にすり減ってしまいます。「今日も無事に一日を終えられた」と、自分を認めてあげることが長続きの秘訣です。

外部の支えを増やし、家族で役割を分け合い、生まれた時間を自分の休息に充てる。この循環が、無理なく在宅介護を続ける土台になります。

住まいという視点|住環境が1日の負担を左右する

夜間の見守り、介助の動線、お互いのプライバシーの3つの場面で、住まいのつくりが在宅介護の1日の負担を左右することを示す図解

介護サービスや家族の分担をどれだけ整えても、住まいの間取りやつくりが原因で、日々の負担が残ることがあります。2つのケースの時間表を振り返ると、住環境は特に次の3つの場面で介護の負担に関わっています。

  • 夜間の見守り:
    ケース2のように数時間おきに起きてケアをする生活では、介護する人とされる人の寝室の距離が、そのまま睡眠の質や疲れの取れ方に響きます。
  • 日々の介助の動線:
    段差が多い、廊下やトイレ・浴室が狭いといったつくりでは、車いすへの移乗や移動の介助のたびに、介護する人の腰や腕に負担がかかります。
  • お互いのプライバシー:
    同じ空間で一日中顔を合わせていると、介護する側もされる側も気が張り詰め、気持ちの逃げ場がなくなってしまいます。

住まいを部分的に直したい場合は、介護保険の住宅改修費の支給を利用できます。支給限度基準額は要介護度にかかわらず原則として生涯20万円で、自己負担が1割の人なら18万円まで支給されます(2割・3割負担の人は16万円・14万円まで)9。

ただし、対象は手すりの取り付けや段差の解消、滑り止めの床材への変更、扉や便器の取り替えといった工事に限られ10、間取りの変更や水回りの大規模な改築まではまかなえません。

そのため住環境を根本から見直すときは、部分的なリフォームのほか、大規模な増改築や建て替え、バリアフリー住宅への住み替え、有料老人ホームなどへの入居、敷地内に別棟を設ける方法などを比べることになります。

費用や工期、暮らしへの影響はそれぞれ異なるので、予算や敷地、親の希望とあわせて選ぶことが大切です。

選択肢の一つ|別棟の介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」

母屋のすぐそばの庭に設置した別棟の介護専用ハウス「C’ZBシニアリビング」と、費用・工期・プライバシー・介護負担・将来の扱い・設置条件の6つの観点

同じ敷地に別棟を設ける選択肢として、私たち株式会社アイデアは、庭などに設置できる介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」をご提案しています。

どんな製品か(仕様)

  • リフォーム工事が不要で、設置するだけ:工場で完成させた建物をクレーン付きトラックで運び、敷地に設置します。基礎工事が済んでいれば、最短で搬入当日から使い始められます。
  • コンパクトでも十分な居住空間:1ユニットの大きさは6.0m×2.4m(駐車場1台分より少し大きい程度)です。一人用の単棟から、ユニットを連結して平屋住宅のような広さにするプランまで対応できます。
  • 水回りの設備と高断熱設計:給排水をつなげば、トイレやお風呂も設けられます。断熱性能を重視しているので、冬場の急な温度差で血圧が大きく変動するヒートショックの予防にもつながります。

6つの観点で比較する

観点C’ZB(別棟)の特徴
費用(初期/運用)大規模なリフォームや建て替えに比べて、初期費用を抑えやすい傾向。高断熱仕様のため、冷暖房費の節約にもつながる
工期・手間工場で建てるため現場での工事期間が短く、母屋で暮らす家族の生活リズムが工事で乱れにくい
プライバシー母屋と居住棟が分かれるため、お互いの生活音や生活リズムを気にせずに過ごしやすい
介護負担介助の動線を確保しやすい。母屋のすぐそばにあるため、夜間も「つかず離れず」の距離で見守れる
将来の扱い使い終わったら買取や別の場所への移設ができ、従来の住宅で生じやすい解体費用(約150〜300万円)がかからない。状態によっては買取査定の対象になる
法規制・設置条件建築基準法上の「建築物」にあたるため、建築確認の申請が必要な場合がある。建ぺい率・容積率や固定資産税への影響は、事前の確認が必要

向いているケース/慎重に検討したいケース

向き不向きの一般的な目安は次のとおりです。実際に向くかどうかは、敷地の条件やご家族の状況によって異なります。

  • 向いているケース
    • 庭など敷地内にユニットを設置できる十分なスペースがある
    • 同居の息苦しさと別居の不安の両方を避け、すぐ近くで見守りたい
    • 母屋の大規模なリフォームや建て替えにかかる費用と工期を避けたい
  • 慎重に検討したいケース
    • 進入路が狭く、クレーン車や大型トラックが入れない住宅密集地
    • 市街化調整区域や防火地域など、都市計画の規制が厳しい場所
    • そもそも敷地にユニットを置く余裕がない場合

建築確認の要否や設置の条件は自治体ごとに異なるため、専門業者や自治体の建築指導の窓口に事前に相談しておくと、計画の途中で設置できないと分かる事態を避けられます。

別棟の介護ハウスは、すべての家庭に合う万能の解決策ではありません。それでも、住み慣れた自宅を手放さずに、親と子の双方が暮らしやすい介護環境を整えたい家庭にとって、比べてみる価値のある選択肢のひとつです。

よくある質問

Q
在宅介護で、いちばん大変なことは何ですか?
A

多くの家族が負担に感じるのは、自分の時間が持てないことと、夜も気が休まらないことです。同居して主に介護を担う人の約6割が悩みやストレスを抱えていて、介護にかかる時間が1日のほとんどを占める人ほど、「自由にできる時間がない」という悩みを挙げる割合が高くなっています。共倒れを防ぐためにも、自分の休息の時間をあらかじめ予定として確保しておくことが大切です。

Q
1日のスケジュールは、どう組めばいいですか?
A

4つのステップで組むと整理しやすくなります。まず日々の介護タスクをすべて書き出し、次にご自身の仕事の時間や休養を先にカレンダーへ確保してから、残った枠にデイサービスや訪問介護を当てはめます。できあがった予定は家族やケアマネジャーと共有し、急な通院や体調の変化に備えて、週に半日ほどは予定を入れない「余白」を残しておくと、無理なく続けやすくなります。

Q
仕事をしながら、親の介護はできますか?
A

両立している人は少なくありません。同居して主に介護を担う人の約4割は、仕事を続けています。日中はデイサービス、帰宅後の見守りや就寝の準備はヘルパーに任せるなど、サービスを組み合わせるのが基本です。また、介護休業などの会社の制度は、自分が直接介護するためというより、ケアマネジャーと介護の体制を整える準備期間として使うと、職場に戻ってからも両立しやすくなると考えられます。

Q
親が寝たきりになっても、家で介護できますか?
A

サービスと福祉用具を組み合わせれば可能です。訪問看護や訪問入浴などのサービスに加え、介護ベッドや移乗用リフトを使えば、痰の吸引や経管栄養(チューブで栄養を送る方法)が必要な人でも自宅で過ごせます。ただし、要介護4では同居して主に介護する家族の約半数が、介護に1日のほとんどを費やしています。そのため、月1回のショートステイなどで、計画的に休む時間をつくることもあわせて考えておく必要があります。

Q
介護で自分の時間がありません。どうすればいいですか?
A

自分の休息を、介護の予定よりも先にスケジュールへ組み込んでみてください。疲れ切ってからショートステイを探しても、すぐには予約が取れないことがあるためです。「毎月、決まった週末は休む」とケアマネジャーに伝え、あらかじめケアプランに入れてもらいましょう。介護から定期的に離れる時間は手抜きではなく、お互いの暮らしを守り、共倒れを防ぐための備えだと考えられます。

まとめ|1日は「先に押さえる時間」から組み立てる

在宅介護の1日は、親の要介護度や介護する家族の働き方によって大きく姿を変えます。しかし、2つのケースに共通していたのは、家族だけですべてを抱え込まず、介護サービスや家族の協力で「任せる時間」をあらかじめ生活に組み込んでいたことです。

Point
  • ほかの家庭の時間表は全体像をつかむ手がかりにとどめ、親の状態とご自身の生活リズムに合わせて組み立て直す。
  • 介護の予定より先に仕事と休息の時間を押さえ、介護サービスと家族の分担はその周りに組む。
  • 介護時間が「ほとんど終日」の人が最も多くなる要介護3の前後は、1日の過ごし方を見直す目安になる。
  • 親の一方がもう一方を介護している家庭では、子どもは介助を代わるより、見守りの交代や手続きの手伝いで「介護する親の休み」をつくる役割を意識する。
  • 夜間の見守りや日々の介助の負担は、寝室の位置関係や水回りの広さといった住環境によっても大きく変わる。

まずは今週の介護の予定を紙に書き出し、その中に自分のための休息時間がきちんと確保されているかを確かめてみてください。もし休む時間が見当たらなければ、それこそがケアマネジャーに相談すべき最初のテーマです。

住環境の面から介護の負担を見直したいときの選択肢の一つとして、庭に設置する別棟の介護専用ハウス「C’ZBシニアリビング」もご提案しています。母屋のすぐそばで見守りながら、お互いのプライバシーや生活リズムを大切にできる暮らし方は、サービスの紹介ページで詳しく説明しています。まずは気軽に、情報を集めるところから始めてみてください。

脚注

  1. 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況(図27・図28)(2026). https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html ↩︎
  2. 政府統計の総合窓口(e-Stat)「国民生活基礎調査 令和7年 介護票 第068表 同居の主な介護者数,主な介護者の仕事の有無・主な介護者の介護時間・主な介護者の悩みやストレスの有-悩みやストレスの原因(複数回答)-無別」(2026)。割合は表の推計数から計算. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040474984 ↩︎
  3. 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況(図27・図28)(2026). https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html ↩︎
  4. 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況(図27・図28)(2026). https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html ↩︎
  5. 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況(図27・図28)(2026). https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html ↩︎
  6. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  7. 政府統計の総合窓口(e-Stat)「国民生活基礎調査 令和7年 介護票 第068表 同居の主な介護者数,主な介護者の仕事の有無・主な介護者の介護時間・主な介護者の悩みやストレスの有-悩みやストレスの原因(複数回答)-無別」(2026)。割合は表の推計数から計算. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040474984 ↩︎
  8. 政府統計の総合窓口(e-Stat)「国民生活基礎調査 令和7年 介護票 第068表 同居の主な介護者数,主な介護者の仕事の有無・主な介護者の介護時間・主な介護者の悩みやストレスの有-悩みやストレスの原因(複数回答)-無別」(2026)。割合は表の推計数から計算. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040474984 ↩︎
  9. 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(2023). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf ↩︎
  10. 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(2023). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf ↩︎