【実録】在宅介護の一日のスケジュール|2ケースと7つの工夫

在宅介護のスケジュール表と負担軽減を示す信頼感のあるイメージ画像 介護者の悩み・メンタルケア
この記事は約20分で読めます。

「在宅介護が始まったら、1日ってどんな流れになるんだろう?」
「仕事と両立できる? 何が大変で、みんなはどう乗り切っているの?」

これから在宅介護を始める方が、こうした不安を抱くのは当然です。でも、最初に知っておいてほしいことがあります。それは、在宅介護の1日に「正解」はなく、すべてを完璧にこなす必要もないということ。大切なのは、他のご家庭のリアルな1日を知り、自分に合った「回し方」を見つけることです。

この記事では、要介護度や家族の状況が異なる2つの実録スケジュールをもとに、在宅介護のリアルな1日と、負担を減らすための具体的な工夫を、公的データや最新制度も交えて解説します。

この記事でわかること
  • 要介護1・要介護4、2つのケースのリアルな1日のタイムスケジュール
  • 要介護度が変わるとスケジュールはどう変わるのか
  • 在宅介護で「大変なこと」と、その負担をデータで見た実態
  • 無理なく続けるための「自分のスケジュール」の組み方4ステップ
  • 仕事と介護を両立させる2025年改正法と、住まいの工夫という視点

在宅介護の1日に「正解」はない|まず知っておきたい基本

在宅介護で行う主なケアと介護時間の変化を示す図解

冒頭でお伝えしたとおり、在宅介護の1日に「これが標準」という決まった形はありません。そして、すべてを完璧にこなす必要もありません。介護を受ける方の要介護度や病状、ご家族の構成、利用している介護サービスによって、1日の流れは大きく変わります。

だからこそ、他のご家庭の「リアルな1日」を知ることは、あなた自身の生活を組み立てる何よりのヒントになります。あなただけではありません。多くのご家族が、様々な工夫を凝らしながら在宅介護を続けています。

まずはその土台として、在宅介護で共通する「やること」の全体像から確認していきましょう。

在宅介護で行う「主な介護」と、介護者の役割

1日の流れに入る前に、在宅介護で共通して関わってくる主な介護内容を整理しておきましょう。状況によって必要なケアは異なりますが、おおむね次のようなものが挙げられます。

  • 日常生活の援助:食事介助、水分補給、排泄介助(トイレ誘導・おむつ交換)、入浴介助、着替えの手伝い、口腔ケアなど
  • 健康管理:服薬管理、バイタルチェック(体温・血圧・脈拍)、体調変化の観察
  • 移動・移乗の介助:起き上がり、車椅子への移乗、室内移動の付き添いなど
  • 体位交換:寝たきりの場合、床ずれ(褥瘡)予防のための体位交換
  • 見守りとコミュニケーション:安全の確保、精神的な安定のための声かけや話し相手
  • 医療的ケア(必要な場合):痰の吸引、経管栄養、インスリン注射など、医師の指示に基づくケア

さらに、直接的な介護以外にも、介護者には次のような役割が求められることが多くあります。

  • ケアマネジャーとの連携(ケアプランの相談・サービス調整)
  • 訪問介護やデイサービスなど各事業者との連絡・手配
  • 介護用品や日用品の購入・管理
  • 介護記録の作成(日々の様子・体調変化・ケア内容)
  • 通院の付き添いや薬の受け取り

「こんなにたくさん…」と圧倒されるかもしれません。でも、これらすべてを一人で、あるいは家族だけで完璧にこなす必要はありません。介護サービスや周囲のサポートを上手に組み合わせることが、何より大切です。

要介護度が上がるほど、介護時間は増えていく

知っておきたいのは、介護に費やす時間は要介護度によって大きく変わるという事実です。

厚生労働省の「国民生活基礎調査(令和4年)」によると、同居の主な介護者が介護に要する時間は、要介護度が上がるほど増加します。要支援〜軽度のうちは「必要なときに手をかす程度」が多い一方、要介護4・5になると「ほとんど終日」介護している割合が急増します1

この「ほとんど終日」には、食事や排泄の介助といった作業の時間だけでなく、転倒や徘徊に備えて常に目を離せない「見守りの時間」も含まれていると考えられます。

この見守りの拘束こそが、1日のスケジュールの自由を奪い、就労の継続を難しくする根本的な要因になりやすいのです。だからこそ、「一人で抱え込まず、仕組みとサービスで回す」という発想が欠かせません。

それでは、ご自身の状況に近いケースを想像しながら、具体的な1日の流れを見ていきましょう。

実録ケース1:日中独居・軽度認知症の母親(要介護1)を娘が仕事と両立しながら介護する1日

要介護1の母を仕事と両立しながら介護する娘の1日のタイムライン

まずは、軽度の認知症がある母親を、仕事を持つ娘が近くに住みながら支えるケースです。

  • お母様(Aさん):82歳。軽度の認知症があり、物忘れや日付の認識が曖昧なことがある。足腰は比較的しっかりしているが、一人での外出には不安がある。日中は一人で過ごすことが多い。要介護1。
  • 娘(Bさん):55歳。パートタイムで週4日勤務。夫と二人暮らし。実家までは車で20分ほどの距離に住んでいる(近居)。

Bさん(娘)のある1日のタイムスケジュール(パート勤務の日)

時間Bさん(娘)の行動Aさん(母)の様子・利用サービス
7:00起床、自身の朝食準備、身支度起床
8:00実家へ移動
8:20朝食準備、服薬確認、今日の予定の声かけ朝食、服薬
9:00母をデイサービスへ送り出し(送迎車)デイサービスへ出発
9:30〜15:30パート勤務デイサービスで入浴・昼食・レクリエーション
16:00実家へ移動
16:20母が帰宅、おやつ準備、今日の様子を聞き取り帰宅、おやつ
17:00夕食準備、一緒に食事、服薬確認夕食、服薬
18:30明日の準備、片付けをして自宅へ戻るテレビを見たりして過ごす
19:00〜自身の夕食、家事、休息
21:00母に就寝確認の電話ヘルパーによる就寝準備(週3回)、または自身で就寝

Bさんが「大変」だと感じること

  • 仕事との時間調整:パートのシフトとデイサービスの曜日、通院の予定を調整するのがパズルのよう。急な残業や母の体調不良で予定が狂うことも。
  • 認知症への対応:同じことを何度も聞かれることへの対応に根気がいる。時折、感情的になってしまう自分に自己嫌悪を感じることも。
  • 精神的なプレッシャー:「自分がしっかりしなければ」という思いと、仕事や自分の家庭との板挟み。母が日中一人でいる時間の安全も気になる。
  • 母の孤独感への配慮:デイサービスに行かない日は、母が一人で寂しい思いをしていないか心配になる。

Bさんが工夫していること

  • 介護サービスの積極的な活用:デイサービスは母の楽しみであり、Bさんの仕事時間の確保にも不可欠。週3回のヘルパーによる夕食後の見守り・就寝準備も依頼し、負担を軽減。
  • ケアマネジャーとの密な連携:母の状態変化や困りごとをこまめに相談し、ケアプランの見直しや新しいサービスの提案を受けている。
  • 兄弟姉妹との役割分担:遠方の兄には経済的な支援を、近くの妹とは週末の訪問や通院付き添いを分担。LINEグループで情報を共有。
  • テクノロジーの活用:操作の簡単なスマートフォンで毎日決まった時間にビデオ通話。緊急通報システムも導入。
  • 地域の見守りの利用:民生委員や近所の方に、日頃から母の様子を気にかけてもらうようお願いしている。
  • 自分の休息時間(レスパイト)の確保:パートが休みの日は、意識して自分のための時間(趣味・友人とのランチ)を作る。ショートステイの利用も検討中。

仕事と介護の両立は、多くの方が直面する課題です。使える制度については、後ほど「仕事と介護を両立させる」のセクションで詳しく触れます。

実録ケース2:寝たきりの夫(要介護4)を妻が専業で介護する1日

要介護4の夫を専業で介護する妻の24時間スケジュール図

次に、医療的ケアが必要な夫を、妻が専業で介護するケースです。ケース1とは負担の質が大きく異なります。

  • 夫(Cさん):78歳。数年前に脳梗塞で倒れ、以来寝たきりの状態。気管切開をしており、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要。意思疎通は瞬きや表情でわずかに可能。要介護4。
  • 妻(Dさん):75歳。介護に専念している。持病の腰痛と高血圧があり、自身の体調にも不安を感じている。

Dさん(妻)のある1日のタイムスケジュール

時間Dさん(妻)の行動Cさん(夫)の様子・利用サービス
6:00起床、自身の準備、経管栄養の準備
6:30起床介助、おむつ交換、口腔ケア、体温・血圧測定起床、バイタルチェック
7:30経管栄養(朝)、服薬経管栄養、服薬
8:30体位交換、背抜き、痰の吸引(必要時)
9:00〜11:00清拭または部分浴、着替え。合間に自身の朝食・洗濯などの家事清潔ケア
10:00頃(週2回)訪問看護師が来訪、全身状態チェック・医療的ケア・相談訪問看護サービス
11:30体位交換、痰の吸引(必要時)
12:00経管栄養(昼)、服薬経管栄養、服薬
13:00〜15:00昼寝の見守り。自身の昼食・休憩・買い物。(週1回)訪問リハビリ昼寝、(週1回)訪問リハビリ
15:00おむつ交換、体位交換、痰の吸引(必要時)
16:00〜17:00コミュニケーション(読み聞かせ・マッサージ)。(週1回)訪問入浴(週1回)訪問入浴
17:30経管栄養(夕)、服薬経管栄養、服薬
18:30〜20:00自身の夕食準備・夕食・片付け。夫の口腔ケア
20:30就寝準備、おむつ交換、体位交換就寝
21:00〜自身の自由時間(ほぼなし)、就寝準備
夜間約2〜3時間おきに体位交換、痰の吸引(必要時)、おむつ確認

Dさんが「大変」だと感じること

  • 24時間体制の緊張感と慢性的な睡眠不足:夜間も数時間おきにケアが必要で、まとまった睡眠が取れず、常に気が張っている。
  • 身体的な負担の大きさ:夫の体重を支えての移乗や体位交換は、腰痛持ちのDさんには非常につらい。痰の吸引も頻繁で疲れる。
  • 医療的ケアへの不安と責任感:経管栄養のチューブ管理や痰の吸引など、医療的ケアへの不安と「自分がしっかりやらなければ」という強い責任感。
  • 社会からの孤立感:外出の機会がほとんどなく、話し相手も限られ、社会から取り残されたような孤独を感じる。
  • 自分の時間や健康管理ができない:自分の食事は簡単に済ませがちで、趣味や休息の時間は皆無。自身の通院もままならない。

Dさんが工夫していること

  • 医療系介護サービスのフル活用:訪問看護(週2回)・訪問リハビリ(週1回)・訪問入浴(週1回)を導入。専門職のケアと指導で、身体的・精神的負担と医療的ケアへの不安が和らいでいる。
  • 福祉用具の導入:電動介護ベッド、体圧分散マットレス、移乗用リフトなどをレンタルし、夫の安楽とDさんの身体負担軽減を図っている。
  • ショートステイの定期利用:月に1回、1週間程度のショートステイを利用。その間に休息や通院、友人との交流に充てる。これが「命綱」だと感じている。
  • 子どもたちの協力:週末や祝日には、近くに住む長男家族が手伝いに来てくれる。
  • 地域の介護者支援への参加:月1回、地域包括支援センター主催の家族会に参加し、同じ境遇の人と悩みを共有して精神的な支えを得ている。
  • 介護日誌の記録と情報共有:体温・食事量・排泄状況・ケア内容を詳細に記録し、訪問看護師や医師、子どもたちとの情報共有に役立てている。

このケースのように夜間も気の抜けない介護では、介護者自身が心身を壊してしまうリスクが高まります。

実際、同居して介護する人の約7割が日常生活で悩みやストレスを抱えており、その原因の約8割が「家族の病気や介護」に集中しています2。Dさんがショートステイを「命綱」と呼ぶのは、決して大げさではないのです。

要介護度が変わると、スケジュールはどう変わる?

要介護度の3段階でスケジュールがどう変わるかを示す比較図

ここまで要介護1と要介護4の2つのケースを見てきました。「自分の親はその中間くらいかも」という方も多いでしょう。在宅介護のスケジュールは、要介護度の変化に応じて組み替えていくものです。おおまかな傾向を整理しておきます。

段階ケアの中心スケジュールの組み方の傾向
軽度
(要支援〜要介護1・2)
見守り・声かけ・部分的な援助が中心デイサービス+見守りで、就労との両立がしやすい。日中独居の安全確保が課題
中度
(要介護2〜3)
食事・排泄・入浴など身体介助が増える訪問介護の比重が上がる。通院・服薬管理も増え、ショートステイの定期利用を検討
重度
(要介護4〜5)
身体介助・夜間対応・医療的ケアが前提に「ほとんど終日」の介護に。医療系サービス・福祉用具・レスパイトが不可欠3

大切なのは、状態が変わったら、スケジュールもケアプランも組み替えてよいということです。今のやり方を無理に固定する必要はありません。

要介護度が上がれば、介護保険で1か月に使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)も上がります。2025年度の目安では、要介護1で約16.8万円、要介護3で約27万円、要介護5で約36.2万円です。※1単位10円換算の標準的な地域の場合。地域区分により変動します。4

「今は何とか回っていても、重くなったらどうしよう」という不安は当然です。でも、状態に合わせてサービスを増やし、体制を組み替えていけば、在宅介護を続けられる可能性は十分にあります。

限度額や制度は地域・時期で変わるため、必ずケアマネジャーや自治体の最新情報で確認してください。

在宅介護で共通して「大変」と感じやすいこと【データで見る】

在宅介護の負担を統計データで示すインフォグラフィック

ご紹介した2つのケースは状況が異なりますが、在宅介護をされている多くの方が共通して「大変だ」と感じるポイントがあります。

あなたがつらいと感じているのは、あなたが弱いからではありません。データを見れば、それが多くの介護者に共通する負担だと分かります。

  • 精神的な負担
    「いつまで続くのか」という終わりの見えない不安、思うようにいかないことへのいら立ち、束縛感、そして「もっと優しくできないか」という自己嫌悪。同居して介護する人の約7割が悩みやストレスを抱え、その原因の約8割が介護に関することです5
  • 身体的な負担
    移乗・入浴介助・夜間ケアによる慢性的な睡眠不足、腰痛や肩こり。なお、同居して主に介護を担う人は女性が約7割(68.9%)を占め、負担が偏っている実態もあります6。睡眠不足は判断力の低下や事故、介護うつにつながりやすいと考えられます。
  • 時間的な負担
    介護に多くの時間を費やすため、自分の時間が持てず、仕事や趣味、友人との付き合いを諦めざるを得ない状況に陥りがちです。
  • 経済的な負担
    介護サービス費の自己負担、医療費、おむつ代、光熱費の増加など。在宅介護にかかる費用は月額平均で約5.2万円、加えて住宅改修や介護ベッド購入などの一時費用が平均で約74万円というデータがあります(集計方法により月8.3万円との報告もあります)7
  • 社会からの孤立
    外出の機会が減り、友人や地域とのつながりが薄れてしまうことがあります。特に重度の在宅介護では「密室介護」になりやすく、孤立が深まります。
  • 専門知識・技術の必要性
    医療的ケアや認知症の症状への対応など、家族だけでは限界を感じる場面があります。
    たとえば入浴介助は事故が起きやすく、安全に行うにはコツが要ります。具体的な進め方は「入浴介助の手順|安全を守る3鉄則と便利グッズ・サービス」も参考にしてください。
    1日に何度も発生する排泄介助のコツは「排泄介助の基本とコツ|おむつ交換・トイレ誘導・ポータブルトイレの選び方」でくわしく解説しています。

そして、こうした負担が積み重なった先にあるのが「介護離職」です。

介護や看護を理由に仕事を辞める人は、年間で約11万人にのぼります8。介護は、大切な家族と過ごす時間であると同時に、放っておけば介護する側の人生まで巻き込みかねません。だからこそ、次に紹介する「工夫」と「制度」が重要になります。

大変さを減らす工夫|「自分のスケジュール」をどう組むか

無理なく続ける介護スケジュールの組み方4ステップの図解

大変さを乗り越えて在宅介護を続けるには、いくつかの共通した工夫があります。

ここでは「①支えを増やす」「②分担・共有する」「③自分を守る」の3つの軸で整理し、最後に自分のスケジュールを具体的に組み立てる手順をご紹介します。

① 支えを増やす

  • 公的サービスを最大限に活用する
    訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具レンタルなど。「使えるものは何でも使う」くらいの気持ちで情報を集めましょう。市区町村独自の支援サービスもあります。
  • ケアマネジャーと密に連携する
    一人で抱え込まず、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに、困りごとや不安を遠慮なく相談しましょう。彼らは介護のプロです。
  • 福祉用具を上手に使う
    介護ベッド、車椅子、手すり、スロープなどを適切に使えば、ご本人の自立を助け、介護者の身体的負担を大きく減らせます。

② 分担・共有する

  • 家族・親族で協力体制を築く
    介護は一人で背負うものではありません。兄弟姉妹や親族と、できる範囲で役割分担をし、経済的な支援についても話し合いましょう。
  • スケジュールを「書き出して」共有する
    介護の予定が主介護者一人の頭の中だけにあると、他の家族は手伝えません。共有カレンダーやアプリでスケジュールを見える化すれば、分担がしやすくなります。
  • 記録をつける(介護日誌)
    体調変化・食事・排泄・ケア内容を記録すると、医師やケアマネジャーへの情報伝達がスムーズになります。

③ 自分を守る

  • 休息(レスパイト)を「先に」予定に組み込む
    疲れ果ててからショートステイを探すのではなく、「毎月この週末は必ず休む」とあらかじめケアプランに組み込みましょう。休息は「介護放棄」ではなく、介護を続けるための必要な支援です。介護者が定期的に距離を置くことは、共倒れや高齢者虐待を防ぐ安全弁にもなると考えられます。
  • 同じ境遇の人と交流する
    地域の家族会やオンラインコミュニティで悩みを共有することは、大きな精神的支えになります。
  • 完璧を目指さない、頑張りすぎない
    「すべて完璧に」と気負うと必ず心身が疲弊します。「今日はここまでで十分」と、ある程度の「手抜き」も時には必要です。

自分のスケジュールを組む4つのステップ

「他の家の例は分かったけれど、自分はどう組めばいいの?」という方へ。無理なく回すための手順は、次の4ステップに整理できます。

  • ステップ1
    介護タスクをすべて書き出す

    食事・服薬・通院・デイの送迎・記録など、抱えている「やること」を一度すべて紙やアプリに出します。頭の中から出すだけで、何を人に任せられるかが見えてきます。

  • ステップ2
    仕事・自分の時間を「先に」確保する

    介護で埋めてから残りを自分に、ではなく、勤務時間や休息を先に押さえ、その枠にサービスを当てはめます。

  • ステップ3
    家族・関係者と共有する

    書き出した予定を共有し、「誰がいつ何をするか」を決めます。「言った・言わない」のトラブルも防げます。

  • ステップ4
    突発に備えて「余白」を作る

    急な体調不良や通院で予定は崩れるものです。あえて予定を詰め込みすぎず、余白を残しておくことが長続きのコツです。

ICT・見守り機器を味方にする

近年は、テクノロジーが介護の負担軽減を後押ししています。たとえば、マットレス下のセンサーで心拍・呼吸・離床を検知する見守り機器を使えば、「念のため」の夜間巡回を減らせます。

厚生労働省の効果測定事業でも、介護現場で夜間の見守り機器を導入すると巡回の負担が軽減することが示されており、在宅介護でも同様の効果が期待できます9。高齢者向けのスケジュール共有アプリ(時間帯で画面の色が変わり、予定をチャイムで知らせるものなど)も登場しています。

ただし、ICTは万能ではありません。設定やトラブル対応にITの知識が要る、本人が「監視されている」と不快に感じて拒否する、といった課題もあります。本人の尊厳とプライバシーに配慮し、人の手によるケアと組み合わせて段階的に導入することが大切です。

精神的な負担が大きいと感じる方は、介護ストレスの限界サインと具体的な解消法を解説した「介護ストレスの限界サインと解消法|CBTで心を守る7つの技法」もあわせてご覧ください。「もう限界かもしれない」と感じている方は「在宅介護「もう限界かも」と感じたら|3つの解決策と次の一歩」が役立ちます。

仕事と介護を両立させる|2025年改正法と使える制度

2025年改正育児・介護休業法の3つのポイントを示す図解

働きながら介護をする方にとって、最大の不安は「仕事を続けられるのか」でしょう。

前述のとおり介護離職は年間約11万人にのぼる一方、介護休業を実際に取得した人の割合はわずか1.4%にとどまります10制度はあるのに使われていない――その結果、一人で抱え込んで突然辞めてしまうケースが後を絶ちません。

この状況を変えるため、2025年(令和7年)4月から改正育児・介護休業法が施行されました。介護離職を防ぐために、主に次の点が強化されています11

  • 個別周知・意向確認の義務化:労働者が家族の介護に直面したことを申し出たとき、会社は両立支援制度を個別に知らせ、利用の意向を確認することが義務になりました。40歳到達時などの早期の情報提供も求められます。
  • 介護のためのテレワーク導入の努力義務:介護をする労働者がテレワーク(在宅勤務)を選べるよう、会社が環境を整えることが努力義務になりました。
  • 取得要件の緩和:これまで労使協定で除外できた「継続雇用6か月未満」の要件が撤廃され、非正規や転職直後の方も制度を利用しやすくなりました。

ここで覚えておきたいのは、介護休業は「自分で介護するため」ではなく「介護の体制を整えるため」の調整期間として使うという考え方です。休業中にケアマネジャーと相談し、サービスを組み立てておけば、職場復帰後も両立しやすくなります。

制度の詳しい使い方や両立のコツは「【2025年改正対応】介護離職しないための両立完全ガイド」で詳しく解説しています。なお、離れて暮らす親を介護する場合は「【遠距離介護の限界】見極めるサインと4つの選択肢を徹底解説」もご参照ください。

住まいという視点|住環境が1日の負担を左右する

介護のための住まいの見直し4つの選択肢を比較する図解

ここまでサービスや制度の工夫を見てきましたが、もう一つ、見落とされがちな大きな要因があります。それが「住まいの環境」です。

「段差が多い」「トイレや浴室が狭くて介助しづらい」「介護用品を置くスペースがない」「介護する人とされる人のプライバシーを保ちにくい」・・・

こうした住まいの課題は、毎日の介助動線を悪くし、腰痛などの身体的負担や、お互いの精神的な摩擦を増やす原因になります。逆に言えば、介護しやすい住環境を整えることは、1日の「大変さ」を減らす効果的な方法だと考えられます。

住環境を整える手段の一つが、介護保険の住宅改修費の支給です。

手すりの取り付けや段差解消などに対し、限度額20万円(原則1割負担なら自己負担2万円で18万円が給付)が支給されます12。ただし、限度額20万円では大規模な間取り変更や水回りの全面バリアフリー化までは難しいのが実情です。

そのため、住まいの見直しには次のような選択肢が考えられ、それぞれ費用・工期・プライバシー・将来の扱いが異なります。

  • 部分リフォーム:手すり・段差解消など。費用を抑えやすいが、根本的な間取りの課題は残ることがある
  • 大規模リフォーム・建て替え:理想に近づけられるが、費用・工期が大きく、その間の生活にも影響
  • 住み替え・施設:環境は整うが、住み慣れた家を離れる心理的なハードルや費用がある
  • 同一敷地内の別棟(離れ):母屋はそのままに、庭などに介護用の独立空間を設ける。「つかず離れず」の距離を保てる

どれが最適かは、ご家庭の予算・敷地・ご本人の希望によって変わります。次に、選択肢の一つである「別棟」について、具体的な製品を例に見ていきましょう。

選択肢の一つ|別棟の介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」

庭に設置する別棟の介護専用ハウスC’ZBシニアリビングのイメージ図

同一敷地内の別棟による介護の具体例として、私たち株式会社アイデアが提案する、庭などに設置する介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」をご紹介します。

どんな製品か(仕様)

  • リフォーム不要・設置するだけ
    工場で完成させた建物をクレーン付きトラックで運び、設置します。基礎工事が済んでいれば最短で当日から利用できます。
  • サイズ
    1ユニット6.0m×2.4m(駐車場1台分より少し大きい程度)。単棟(一人用)から、2連棟・連結で平屋住宅相当まで、土地や用途に合わせて拡張できます。
  • 設備
    給排水を接続すれば、トイレ・お風呂の設置も可能です。
  • 高断熱仕様
    「室内で生活し続ける前提」で断熱性能を重視。冬は暖かく夏は涼しく、ヒートショック対策にもつながります。
  • 使用後は買取も可能
    従来建築で発生しがちな解体費用(約150〜300万円)が不要で、状態によっては買取査定の対象になります。

6つの観点で比較する

観点C’ZB(別棟)の特徴
費用(初期/運用)大規模リフォームや建て替えより抑えやすい傾向。高断熱仕様は省エネで運用コストにも配慮。設置後は固定資産税の対象
工期・手間工場完成品のため現場工期が短い。リフォーム工事による生活への影響が少ない
プライバシー母屋と物理的に分かれるため、お互いの生活リズム・プライバシーを保ちやすい
介護負担バリアフリー設計で介助動線を確保しやすい。母屋のすぐそばで「つかず離れず」の見守りが可能
将来の扱い不要になれば買取・移設が可能。解体費がかかりにくい
法規制・設置条件建築物に該当するため建築確認申請が必要な場合がある。建ぺい率・容積率、固定資産税は要確認

向いているケース/慎重に検討したいケース(見解)

あくまで一般的な傾向であり、最終的な判断は個別の条件によります。

  • 向いているケース
    庭などに設置できる敷地の余裕がある / 「同居の息苦しさ」と「別居の不安」の両方を避け、近い距離で見守りたい / 大規模リフォームや建て替えは避けたい
  • 慎重に検討したいケース
    クレーン車が進入できない狭小地・住宅密集地 / 市街化調整区域や防火地域など都市計画上の規制が厳しい場所 / そもそも敷地に余裕がない場合

建築確認や設置条件は地域によって異なるため、必ず自治体や専門業者に最新情報を確認してください。別棟は万能の解決策ではありませんが、住み慣れた家を手放さずに介護環境を整えたいご家庭にとって、検討する価値のある選択肢の一つです。

よくある質問

Q
在宅介護って、何が一番大変ですか?
A

多くの人が、終わりが見えないことによる「精神的な負担」を挙げます。実際、同居して介護する人の約7割が悩みやストレスを抱えています13。そのほか、夜間ケアによる睡眠不足などの身体的負担、自分の時間が持てないこと、社会からの孤立感も、共通する大きな悩みです。

Q
1日のスケジュールは、どう組めばいいですか?
A

①介護タスクをすべて書き出す → ②仕事や自分の休息の時間を先に確保する → ③家族・関係者と共有する → ④突発に備えて余白を残す、の4ステップがおすすめです。すべてを自分の頭の中だけで管理せず、共有カレンダーやアプリで「見える化」すると、家族にも分担してもらいやすくなります。

Q
仕事をしながら、親の介護をすることは可能ですか?
A

可能です。日中はデイサービス、必要な時間帯は訪問介護を利用するなど、サービスを組み合わせることで多くの方が両立しています。2025年4月施行の改正育児・介護休業法では、会社からの制度の個別周知やテレワークの環境整備が進められており14、両立を支える仕組みも強化されています。

Q
親が寝たきりになっても、家で介護できますか?
A

できます。訪問看護や訪問入浴、移乗用リフトなどの福祉用具を活用すれば、寝たきりで医療的ケアが必要な方でも、ご自宅で穏やかに過ごすことが可能です。介護者の負担が大きくなるため、レスパイトと住環境の工夫もあわせて検討しましょう。

Q
介護で自分の時間がなく、休みもありません。どうすればいいですか?
A

介護者が休息を取ることは、良い介護を続けるために不可欠です。ショートステイを定期的に利用したり、家族に協力をお願いしたりして、意識的に介護から離れる時間(レスパイト)を作りましょう。これは「介護放棄」ではなく、共倒れを防ぐための大切な備えです。

まとめ:リアルな1日を知り、自分に合った介護スタイルを見つけよう

在宅介護の1日は、ご家庭ごとに本当に様々です。この記事の実例はあくまで一例ですが、他の方のリアルな1日や工夫を知ることは、これからの介護生活をイメージし、準備を進める大きなヒントになります。「正解」を探すのではなく、ご自身に合った「回し方」を見つけることが、無理なく続ける鍵です。

最後に、大切なポイントを3つにまとめます。

Point
  • 一人で抱え込まない
    ケアマネジャーや専門家に相談し、介護サービス・家族・地域のサポートを最大限に活用しましょう。
  • 制度を味方にする
    レスパイトを先に予定へ組み込み、仕事との両立には2025年改正法などの制度を使う。完璧を目指さないことが、続けるコツです。
  • 住まいにも目を向ける
    1日の負担は住環境に大きく左右されます。リフォーム・住み替え・施設、そして別棟など、選択肢を比較して、ご家庭に合った形を探しましょう。

在宅介護には確かに「大変なこと」がたくさんあります。けれど、それは大切なご家族と過ごすかけがえのない時間でもあります。

もし「住まいの環境から介護の負担を見直したい」と感じたら、庭に設置する別棟の介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」も、選択肢の一つとしてのぞいてみてください。まずは気軽に、情報を集めることから始めてみましょう。私たち株式会社アイデアは、皆様のより良い介護生活を応援しています。

脚注

  1. 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の介護時間。要介護4・5で「ほとんど終日」が増加) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/ ↩︎
  2. 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の悩み・ストレスの状況、介護者の性別構成) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/ ↩︎
  3. 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の介護時間。要介護4・5で「ほとんど終日」が増加) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/ ↩︎
  4. 区分支給限度基準額(2025年度/令和7年度。1単位10円換算の標準的な地域の場合。地域区分により変動) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ ↩︎
  5. 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の悩み・ストレスの状況、介護者の性別構成)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/ ↩︎
  6. 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の悩み・ストレスの状況、介護者の性別構成) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/ ↩︎
  7. 公益財団法人 生命保険文化センター「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」(在宅介護の月額費用・一時費用の目安) https://www.jili.or.jp/ ↩︎
  8. 総務省「令和4年 就業構造基本調査」(介護・看護を理由とした離職者は年間約11万人)。介護休業取得率は厚生労働省「雇用均等基本調査」による。 https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/ ↩︎
  9. 厚生労働省「介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業」(夜間の見守り機器導入による巡回負担の軽減) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634.html ↩︎
  10. 総務省「令和4年 就業構造基本調査」(介護・看護を理由とした離職者は年間約11万人)。介護休業取得率は厚生労働省「雇用均等基本調査」による。 https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/ ↩︎
  11. 厚生労働省「育児・介護休業法について」(2025年/令和7年4月施行の改正。個別周知・意向確認の義務化、介護のためのテレワーク努力義務化、取得要件の緩和) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html ↩︎
  12. 介護保険の住宅改修費(支給限度基準額20万円)。出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ ↩︎
  13. 厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の悩み・ストレスの状況、介護者の性別構成) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/ ↩︎
  14. 厚生労働省「育児・介護休業法について」(2025年/令和7年4月施行の改正。個別周知・意向確認の義務化、介護のためのテレワーク努力義務化、取得要件の緩和) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html ↩︎