おむつ代の助成と医療費控除とは?申請方法と対象を解説

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毎月のように紙おむつをまとめ買いしながら、「これ、地味に出費が痛いな…」と感じていませんか。

在宅で親御さんの介護をしていると、おむつ代は月に数千円から1万円を超えることもある、隠れた固定費です。「介護保険でなんとかなるかと思ったのに、おむつ代は出ないらしい」と知って、戸惑っている方も多いかもしれません。

実は、おむつ代の負担は「市区町村のおむつ助成」と「医療費控除」という2つの制度で減らせます。どちらも自分から申請しないと使えない制度なので、知っているかどうかで負担が大きく変わります。

この記事では、両制度のしくみから「自分の自治体での調べ方」「いくら戻るのか」まで、今日から動ける形で整理しました。

この記事でわかること
  • なぜ介護保険でおむつ代は出ないのか?福祉用具・施設との違い
  • 自治体のおむつ助成制度のしくみと、5つの自治体の実例比較
  • 自分の市区町村に助成があるかを調べる具体的な手順
  • 医療費控除でおむつ代を取り戻す条件と、還付額の目安
  • 助成と医療費控除の違い・併用のルールと注意点

結論|おむつ代は「自治体の助成」と「医療費控除」で減らせます

毎月の紙おむつ代が、思った以上に家計に重い。在宅で親御さんの介護をしていると、多くのご家族がそう感じています。まず結論からお伝えします。

公的介護保険からは、おむつ代そのものへの現金給付は原則ありません。おむつは「介護があってもなくても生活で使う消耗品」と位置づけられているためです。「介護保険でなんとかなるだろう」と考えていた方には、少し残念な事実かもしれません。

でも、負担を減らす方法がないわけではありません。使えるのは次の2本柱です。

  • 市区町村のおむつ助成制度
    お住まいの自治体が、紙おむつの現物や助成金を支給する制度。あれば負担を直接軽くできます。
  • 医療費控除
    一定の条件を満たせば、おむつ代を医療費として申告し、所得税・住民税の一部が戻ってきます。

ポイントは、どちらも「申請主義」だということです。

制度を知って、自分から動いた人だけが負担を減らせます。黙っていて自動的にお金が戻ってくることはありません。だからこそ、この記事で「自分の場合はどう使えるのか」をつかんでいただきたいのです。

では、まず「なぜ介護保険からおむつ代が出ないのか?」というところから、順番に見ていきましょう。ここが分かると、2本柱の使い方もすんなり理解できます。

なぜ介護保険でおむつ代は出ないの?

「要介護認定も受けているのに、どうしておむつ代は出ないの?」と疑問に思う方は多いです。ここを理解しておくと、後の話がぐっと分かりやすくなります。

介護保険がカバーするのは、大きく分けて「訪問介護やデイサービスといった専門職によるサービス」と「自立を助ける福祉用具」です。これに対して紙おむつは、食費や光熱費と同じ「日常生活を送るうえで当然かかる消耗品」とみなされています。そのため、介護保険の給付対象からは外れているのです。

福祉用具は保険が使えるのに、おむつは使えない理由

同じ「排泄まわり」でも、扱いが分かれます。ポータブルトイレ(腰掛便座)や自動排泄処理装置の交換部品などは、介護保険の「特定福祉用具購入」として、年間10万円を上限に1〜3割の自己負担で購入できます1

違いは「使い捨ての消耗品か、繰り返し使う用具か」です。ポータブルトイレは、本人がトイレで排泄する自立を直接助ける「用具」。一方の紙おむつは毎日使って捨てる「消耗品」です。この線引きによって、おむつは保険の対象外となっています。

例外:施設に入っている間のおむつ代は別扱い

実は、ひとつ大きな例外があります。特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所中、またはショートステイの利用中は、おむつ代が施設サービス費に含まれており、利用者から別途徴収することは禁止されています2。つまり、施設にいる間はおむつ代を自分で負担しなくてよいのが原則です。

ここで気をつけたいのは、在宅介護はこの例外にあたらないという点です。自宅で介護している間のおむつ代は、基本的に全額自己負担になります。

なお、有料老人ホームやグループホームなどは介護保険施設とは扱いが異なり、契約によっておむつ代が自己負担になる場合があると考えられます。入居先のおむつ代の扱いは、契約前に確認しておくと安心です。

市区町村の「おむつ助成制度」を理解する

在宅でおむつ代を軽くする、いちばんの近道が自治体のおむつ助成制度です。これは多くの市区町村が独自に行っている支援で、内容は地域ごとにかなり違います。

まずは「型」を理解しましょう。

支給のしかたは2タイプ

助成のしかたは、大きく2つに分かれます。

タイプしくみメリット注意点
現物支給型(現品配送・給付券)指定業者からおむつが自宅に届く、または協力店で使える給付券をもらう立替や事後精算が不要。手間が少ない銘柄やメーカーが選べない場合がある
現金助成型(償還払い)自分でおむつを買い、領収書を提出して後日お金が振り込まれる使い慣れた銘柄を自由に選べる一時的な立替と、定期的な申請の手間がかかる

「誰が対象になるか」のよくある条件

対象者の決め方も自治体ごとに違いますが、よく見られる条件は次のとおりです。

おむつ助成金の対象は誰?
  • 要介護度の下限
    「要介護4・5」を対象とする自治体が多めです。ただし「排泄が全介助なら要介護3も対象」「医師の意見書があれば要介護1〜3でも対象」とするところもあります。
  • 住民税が非課税の世帯
    「世帯全員が非課税」「本人と介護者の双方が非課税」を条件にする自治体が主流です。所得の低い世帯を支えるしくみという性格が強いといえます。
  • 在宅で暮らしていること
    施設入所中や入院中は対象外が一般的です。※前述のとおり施設のおむつ代は別のしくみのため。

支給額の目安は、おおむね月5,000〜9,000円、年6万〜10万円相当に収まることが多いです(※あくまで目安で、自治体により大きく異なります)。全額助成のところもあれば、購入額の1割を自己負担とするところもあります。

自治体でこんなに違う|助成制度の実例5つ

「自治体によって違う」と言われても、ピンと来ないかもしれません。そこで、実際の5つの自治体を比べてみます。方式も金額も対象も、これだけ差があります。

自治体(規模)方式主な対象支給額・自己負担
大阪市(政令市)3給付券・配送要介護4・5、または要介護3で排泄全介助。本人・介護者ともに市民税非課税月6,500円分の給付券(年最大12枚)。自己負担なし
神戸市(政令市)4現物給付要介護4以上。世帯全員が市民税非課税申請月に応じ年2.5万〜10万円相当。自己負担なし
江戸川区(特別区)5現物(一部現金)要介護4・5は無条件。要介護1〜3・要支援は医師の意見書で対象1割負担で月9,000円分相当。入院時は月上限8,100円の現金助成
富士宮市(地方都市)6助成券①要介護1〜5の非課税世帯 ②課税世帯・要支援・認定なしも対象①年最大2万円 ②年5,000円の助成券
中井町(町村部)7助成券①要介護4・5(本人非課税)②要介護3(世帯全員非課税)①年6万円 ②年3万円 ※いずれも1割は自己負担

この5つだけでも、見えてくる傾向があります。

政令市は「重度かつ非課税」を中心に手厚く支給する一方、富士宮市のように課税世帯にも少額の枠を広く設ける自治体もあります。江戸川区は医師の意見書があれば要介護1〜3でも対象になり、入院時には現金助成へ切り替えられるなど、柔軟さにも差があります。

だからこそ、大切なのは「よその自治体がどうか」ではなく、「自分の住む市区町村がどうか」です。制度は改定されることもあるため、最新の内容は必ず各自治体で確認してください。

次の章で、その調べ方を具体的に説明します。

自分の自治体の制度を調べる手順

「うちの市にも助成があるのか」を確かめるのは、実はそれほど難しくありません。次の3つの方法で、取りこぼしを防げます。

① インターネットで自治体の公式ページを探す

検索窓に「(お住まいの市区町村名) 紙おむつ 助成」と入れてみてください。制度名は自治体によってさまざまで、「おむつ支給」「介護用品支給事業」「紙おむつ給付」などと呼ばれます。

うまく見つからないときは「おむつ」を「介護用品」に変えて検索すると、公式ページにたどり着きやすくなります。

表示されたページが市区町村の公式サイト(ドメインに「.lg.jp」や「city.〇〇」が含まれるもの)かどうかも、念のため確認しましょう。

② ケアマネジャー・地域包括支援センターに聞く

いちばん確実なのは、担当のケアマネジャーや、地域包括支援センターに相談することです。

彼らは地域ごとの独自ルールや、対象になるかどうかの微妙な線引きまで熟知した専門家です。「おむつ代の助成って、うちの親は使えますか?」と一言聞くだけで、対象の可能性や申請窓口を教えてもらえます。

まだ介護保険のサービスを使っていない段階なら、お住まいの地域包括支援センターが相談先になります。市区町村の高齢福祉担当の窓口(高齢福祉課など)でも確認できます。

③ 「申請は早めに」を忘れない

ここがいちばん大事なところです。

自治体の助成は、原則として「申請した月」や「支給が決まった日」からの適用で、過去にさかのぼっての支給は認められないことがほとんどです。「半年前から買っていたのに、申請が遅れて損をした」という事態は避けたいものです。

要介護認定の調査で排泄に介助が必要だと分かった時点や、おむつを常用し始めたタイミングで、すぐに制度の有無を確認しておきましょう。「使えるかどうか分からないから、とりあえず聞いてみる」くらいの軽い気持ちで十分です。

医療費控除でおむつ代を取り戻す

自治体の助成が受けられない場合や、助成の上限を超えて自費で買った分については、医療費控除というもう1本の柱が使えます。「確定申告」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、仕組みを順に見ていけば大丈夫です。

対象になるのは「6か月以上の寝たきり+医師の治療」が条件

ドラッグストアでおむつを買っただけでは、医療費控除の対象にはなりません。次の条件をすべて満たす必要があります8

おむつが医療費控除と認められる条件
  • 病気やケガにより、おおむね6か月以上にわたって寝たきりの状態であること。
  • その原因となった病気について医師の治療を受けており、治療のうえでおむつの使用が必要と認められること。

つまり、医療費控除は「治療に必要なおむつ」を対象とする制度です。条件にあてはまるかどうかは、まずかかりつけの医師に相談してみてください。

必要なのは「おむつ使用証明書」。2年目以降はもっとラク

医療費控除を受ける初年度は、治療している医師に「おむつ使用証明書」を発行してもらう必要があります。この証明書の作成には、数百円〜数千円程度の文書料がかかり、これは自己負担です。

うれしいのは2年目以降です。要介護認定を受けている方で、認定時の「主治医意見書」に「寝たきり」「尿失禁の可能性」といった記載がある場合は、市区町村が発行する「確認書」で、医師の証明書の代わりにできます9

確認書は無料または数百円程度で発行されることが多く、毎年医師に依頼する手間と文書料を省けます。お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせてみましょう。

いくら戻る?還付額のシミュレーション

気になるのは「結局いくら戻るのか」ですよね。医療費控除の額は、次の式で計算します10

医療費控除額 = 1年間に支払った医療費の合計 - 助成金などで補填された額 - 10万円(※その年の総所得が200万円未満の場合は総所得の5%)

たとえば、年間のおむつ代が12万円、その他の通院・薬代が8万円で、助成による補填がないケースを考えてみます。医療費の合計は20万円なので、控除額は「20万円 - 10万円 = 10万円」です。

この10万円に対して、実際に軽くなる税金の目安は、申告する人の所得によって次のように変わります。※住民税は一律10%として計算した試算です。復興特別所得税は便宜上除いています。実際の額は条件により異なります。

申告者の課税所得所得税の還付翌年の住民税の減額実質の軽減額
195万円以下(税率5%)5,000円10,000円約15,000円
195万円超〜330万円以下(税率10%)10,000円10,000円約20,000円
330万円超〜695万円以下(税率20%)20,000円10,000円約30,000円

表からわかるのは、所得税率が高い人ほど、戻ってくる額が大きくなるということです。この点は、後ほど「誰の名義で申告するか?」の話につながります。

確定申告の進め方

手続きの流れはシンプルです。

  1. 領収書を集める
    1月1日〜12月31日に買ったおむつ代の領収書を保管します。レシートではなく、使用する本人の氏名(宛名)と「おむつ代」の但し書きが入った領収書をもらっておきましょう。
  2. 明細書を作る
    「医療費控除の明細書」を作成します。領収書そのものの提出は不要ですが、税務署から求められたときのために5年間は保管します。
  3. 申告する
    明細書と確定申告書に「おむつ使用証明書」または「確認書」を添えて、税務署に提出します。

なお、還付を受けるための申告(還付申告)は、対象年の翌年1月1日から5年間さかのぼって行えます11。「去年の分を申告し忘れていた」と気づいても、間に合うケースは十分にあります。

助成と医療費控除はどう違う?併用のルール

ここまで読んで、「自治体の助成と医療費控除、両方使えるの?」と思った方も多いはずです。結論から言うと併用は可能です。ただし、知っておくべきルールがあります。

まず、2つの制度の違いを整理しましょう。

比較項目自治体のおむつ助成医療費控除
主な目的おむつ代の直接的な軽減所得税・住民税の負担調整
対象自治体の要介護度・所得要件を満たす人おおむね6か月以上寝たきりで医師の証明がある人
恩恵の形現物・給付券・現金での補填納めた所得税の還付+翌年の住民税の減額
手続き先市区町村の高齢福祉窓口税務署(確定申告)
いつ申請介護状態になった時点(事前申請)翌年にまとめて申告

併用するときの注意:補填された分は差し引く

併用は可能ですが、重要なルールがひとつ。

自治体から現金で助成(償還払い)を受けた額は、税法上「補填される金額」にあたるため、医療費控除の計算ではその分を差し引く必要があります。

たとえば年間のおむつ代が12万円で、自治体から3万円の現金助成を受けたなら、医療費控除に計上できるのは「12万円 - 3万円 = 9万円」です。これを差し引かずに全額を計上すると、申告漏れとしてあとで指摘される可能性があります。注意しましょう。

なお、現物支給や給付券で自己負担が1割だけ、あるいは無料で済んでいる場合は、そもそも家計から支払った実費が少ないため、実際に自費で払った分(1割負担や上限超過分)だけを控除の対象に考えればよいことになります。

知らないと損する|注意点と制度の限界

2本柱は心強い味方ですが、万能ではありません。あてが外れてがっかりしないよう、限界や落とし穴もお伝えしておきます。

① そもそも助成のない自治体・対象の狭い自治体がある

おむつ助成は国の一律の制度ではなく、各市区町村が任意で行う事業です。そのため、制度自体がない自治体もあれば、「要介護4以上」など対象をかなり絞っている自治体もあります。要支援から幅広く支える自治体もあり、住む場所による差は構造的に存在します。

「隣の市にはあるのに、うちの市にはない」ということも起こり得ます。

② 親が非課税だと、医療費控除は本人申告では効果がない

医療費控除は「すでに納めた所得税の一部を返す」しくみです。そのため、親(要介護者本人)が年金収入のみで所得税を納めていない場合、本人の名義で申告しても戻る税金がありません

このときの対処法が、先ほどの「誰の名義で申告するか」です。医療費控除は「生計を一にする」家族がまとめて申告できます。親と生計が同じであれば、別居していても常に生活費を送っているような場合は対象になります。

家族の中で所得税率がいちばん高い人(多くは働き盛りの子世代)が、親のおむつ代や医療費を合算して申告すると、世帯全体で戻る額が大きくなります。

③ 現物支給は銘柄が選べないことがある

現物支給型の助成では、自治体が指定した業者のカタログから選ぶため、使い慣れたメーカーの製品が対象外になることがあります。

高齢者の肌はデリケートです。合わない製品でかぶれたり、体型に合わず尿漏れが起きたりすることもあると考えられます。支給される製品が体に合うかは、利用前に確認しておくと安心です。

④ 「高額介護サービス費」ではおむつ代は戻らない

介護費用の軽減策として知られる「高額介護サービス費」(1か月の介護保険サービスの自己負担が上限を超えると払い戻される制度)がありますが、おむつ代などの全額自己負担の日常生活費は、この計算の対象外です。おむつ代がいくらかさんでも、高額介護サービス費からの払い戻しは期待できません。

高額介護サービス費のしくみは「高額介護サービス費でいくら戻る?申請4ステップを解説」でくわしく解説しています。

おむつ代を含む、在宅介護費用の見通しを立てる

最後に、おむつ代を介護費用全体の中で位置づけてみましょう。「この出費が、あとどのくらい続くのか?」という不安は、見通しを持つことでずいぶん軽くなります。

在宅介護の費用とおむつ代の位置づけ

在宅介護にかかる費用は月額平均で5.2万円、介護を始めてからの期間は平均55.0か月(約4年7か月)とされています12。この月額の中で、紙おむつ代は交換頻度や種類にもよりますが、月6,000〜15,000円ほどを占める「隠れた固定費」になりがちです。

だからこそ、おむつ代の軽減は介護費用全体に効いてきます。自治体の助成(たとえば月6,500円分)で日々の負担を直接減らし、上限を超えた実費は医療費控除で取り戻す。このサイクルを作れれば、毎月の出費の大きな部分を相殺できます。

介護費用全体の内訳や抑え方は、「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす6つの制度」もあわせてご覧ください。

節約のために交換を減らすのは逆効果

お金が気になると、つい「おむつの交換回数を減らせないか」と考えてしまうかもしれません。でも、これは避けたい節約です。交換を我慢させると、尿路感染症や皮膚のただれ(褥瘡)につながり、かえって医療費が増えるうえ、ご本人の尊厳も傷つけてしまいます

本当の目的は、おむつ代を1円でも削ることではなく、「気兼ねなく、適切な回数で替えられる環境」を守りながら介護を続けることのはずです。公的な制度をしっかり使って経済的な負担を抑えることは、その環境を守る手段でもあります。

排泄介助そのものの進め方やコツは、「排泄介助の基本とコツ|おむつ交換・トイレ誘導・ポータブルトイレの選び方」で具体的に紹介しています。

在宅を費用面で続けるための住まいの工夫

在宅介護を長く続けるうえでは、お金だけでなく「住まいの形」も負担を左右します。

母屋のリフォームや施設入居のほかに、近年は庭に介護専用のハウスを設置する「別棟介護」という選択肢もあります。私たちが手がける「シニアリビング」もそのひとつです。リフォーム工事をせずに庭へ設置でき、高断熱仕様で、使い終わったあとは買取も可能です。

下の表のように、各選択肢には費用・プライバシー・介護負担・将来の扱い・設置条件で違いがあります。

観点母屋のリフォーム施設入居庭に別棟(シニアリビング)
初期費用数十万〜数百万円入居一時金・月額が継続設置費用(買取で一部回収の可能性)
プライバシー同居で距離が近い離れて暮らす同じ敷地で適度な距離
介護のしやすさ動線を作りやすい専門職に任せられるすぐ近くで見守れる
将来の扱い解体費がかかる場合も退去で完結撤去・買取が可能
設置条件持ち家の構造による空き状況による庭などの設置スペースが必要

たとえば「屋内で一体の動線にしたい」「土地に余裕がない」場合は、母屋の改修や施設のほうが合うでしょうし、逆に「同じ敷地で距離を保ちたい」「将来の処分のしやすさを重視したい」場合は、別棟が選択肢になります。

条件を比べて、ご家族に合うものを選んでください。

今日からできる|おむつ代の負担を減らすチェックリスト

自分が助成や控除の対象になりそうか、30秒でセルフチェックしてみましょう。

Check!
  • 親の要介護度は?:4・5なら対象の可能性が高い。1〜3でも医師の意見書で対象の自治体あり。
  • 世帯の住民税は非課税?:非課税ほど助成の対象になりやすい。
  • おおむね6か月以上の寝たきりで、医師の治療を受けている?:医療費控除の対象条件
  • 在宅で介護している?:自治体助成は在宅が前提。施設入所中は別扱い。

ひとつでも当てはまるものがあれば、まずはケアマネジャーや窓口に相談するところから始めてみてください。それが、負担を減らす確実な第一歩になります。

最後に、今日から動ける「おむつ代の負担を減らす手順」をまとめます。上から順に進めれば大丈夫です。

  • ステップ1
    自治体の助成があるか確認する

    ケアマネor地域包括支援センターに聞く。「市区町村名+紙おむつ+助成」で検索する。

  • ステップ2
    対象になりそうなら早めに申請する

    さかのぼれないため、思い立ったらすぐ。

  • ステップ3
    おむつ代の領収書を保管する

    本人の宛名と「おむつ代」の但し書き入りで。

  • ステップ4
    医療費控除の証明書を確認する

    初年度は医師の「おむつ使用証明書」、2年目以降は市区町村の「確認書」。

  • ステップ5
    誰の名義で申告すると得かを考える

    生計が同じなら、所得税率の高い家族が合算申告。

よくある質問

Q
おむつ代は介護保険から支給されますか?
A

いいえ、原則として介護保険からおむつ代そのものへの現金給付はありません。おむつは生活で使う消耗品とみなされているためです。ただし、施設に入所中やショートステイ中のおむつ代は施設サービス費に含まれており、別途の自己負担は発生しません。在宅でおむつ代を軽くするには、自治体の助成制度や医療費控除を活用します。

Q
自分の自治体におむつ助成があるか、どう調べればいいですか?
A

「お住まいの市区町村名+紙おむつ+助成」で検索すると公式ページが見つかります。制度名は「おむつ支給」「介護用品支給事業」など自治体ごとに異なります。いちばん確実なのは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することです。地域の独自ルールや対象の線引きまで教えてもらえます。

Q
おむつ助成と医療費控除は両方使えますか?
A

はい、併用できます。ただし、自治体から現金で助成を受けた額は、医療費控除の計算で差し引く必要があります。たとえば年間のおむつ代12万円のうち3万円の現金助成を受けたら、控除に計上できるのは9万円です。差し引かずに全額を申告すると、あとで申告漏れを指摘される場合があるため注意してください。

Q
親が住民税非課税で所得税を納めていません。医療費控除は使えますか?
A

親御さん本人の名義で申告しても、納めた所得税がなければ戻る税金はありません。この場合は、生計を一にする家族がまとめて申告できます。親と生計が同じであれば、家族の中で所得税率がいちばん高い人(多くは働き盛りの子世代)が親のおむつ代や医療費を合算して申告すると、世帯全体で戻る額が大きくなります。

Q
おむつ代の医療費控除に必要な「おむつ使用証明書」はどこでもらえますか?
A

初年度は、治療を受けている医師に発行してもらいます。作成には数百円から数千円程度の文書料がかかり、自己負担です。2年目以降は、要介護認定時の主治医意見書に「寝たきり」などの記載があれば、市区町村が発行する確認書で医師の証明書に代えられます。確認書は無料または数百円程度のことが多く、手間を減らせます。

まとめ

おむつ代は、介護保険から直接出ることは原則ありません。けれども、自治体のおむつ助成と医療費控除という2つの制度を使えば、毎月の負担は確実に軽くできます。どちらも自分から申請しないと使えないからこそ、知って動いた人だけが得をする制度です。

最後に、押さえておきたいポイントを整理します。

Point
  • 介護保険でおむつ代は出ないが、在宅なら「自治体助成」と「医療費控除」で減らせる。
  • おむつ助成は自治体ごとに対象も金額も大きく異なる。まずは自分の市区町村を確認する。
  • 助成は申請主義でさかのぼれないため、対象になりそうなら早めに申請する。
  • 医療費控除は所得税率の高い家族が合算申告すると、戻る額が大きくなる。
  • 困ったときの相談先は、ケアマネジャーと地域包括支援センター。

おむつ代の節約は、交換を我慢することではありません。制度を上手に使って負担を抑え、ご本人が気兼ねなく過ごせる環境を守ることが本当のゴールです。まずはケアマネジャーや窓口に「うちの場合は使えますか?」と一言聞くところから始めてみてください。

そして、在宅介護を長く続けるうえでは、費用だけでなく「住まいの形」も負担を大きく左右します。母屋のリフォームや施設入居に踏み切る前に、庭に設置する別棟介護という選択肢も知っておくと、選べる幅が広がります。

気になる方は、シニアリビング(別棟介護)のご案内もあわせてご覧ください。ご家族に合った介護の形を見つける、ひとつのヒントになれば幸いです。

脚注

  1. 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「特定福祉用具販売・購入について」. https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/fujkushi-kounyu.html ↩︎
  2. 厚生労働省「介護保険施設等におけるおむつ代に係る利用料の徴収について(平成12年老振発第25号)」(2000). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227967.pdf ↩︎
  3. 大阪市「介護用品支給事業」. https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000370480.html ↩︎
  4. 神戸市「紙おむつ支給事業」. https://www.city.kobe.lg.jp/a39067/kurashi/registration/shinsei/koureisha/wh1306008.html ↩︎
  5. 江戸川区「紙おむつ・防水シーツの支給(高齢者等)」. https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e040/kenko/fukushikaigo/jukunen/kaigo/kamiomutsu.html ↩︎
  6. 富士宮市「紙おむつ購入費等助成事業」. https://www.city.fujinomiya.lg.jp/1035210000/p001486.html ↩︎
  7. 中井町「高齢者等介護用品支給助成」. https://www.town.nakai.kanagawa.jp/soshiki/kenkokakoreikaigohan/koreifukushi_kaigo/441.html ↩︎
  8. 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(2023). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm ↩︎
  9. 厚生労働省「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて」(2002). https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kaigi/020904/2-2.html ↩︎
  10. 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(2023). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm ↩︎
  11. 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(2023). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm ↩︎
  12. 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎