シニア夫婦の平屋間取り|20坪台の面積配分と3つの型

ハウスメーカーや工務店の間取り図を、何枚も保存しているのではないでしょうか。20坪の2LDK、24坪の2LDK、25坪の3LDK。見比べるほどに「これもいい」が増えて、頭のなかの坪数だけが少しずつ膨らんでいく。それでいて、決め手が見つからない。

決まらないのは、情報が足りないからではありません。広さは坪数ではなく、面積の配分で決まります。限られた床面積を、二人で使う場所と、一人ずつの場所と、動かせない水回りにどう割り振るか。そこが決まらないかぎり、何枚図面を見ても答えは出てきません。

この記事では、その配分をご夫婦で決めるための順序をお渡しします。読み終えるころには、お二人で一枚の紙に数字を書けるようになっているはずです。

この記事でわかること
  • 「夫婦二人なら75㎡」という目安が、いまどこに置かれているか
  • 間取り図の「帖」と「LDK」が、実際に意味していること
  • 二十坪台の面積が、実際にどう割れるか – 配分表と坪数帯別のモデルプラン
  • 二つ目の寝室を持つなら、何と引き換えになるか
  • 今日ご夫婦で書ける、配分表のつくり方

二十坪台は、切り詰めた広さではありません

夫婦二人なら、どのくらいの広さがあればいいのか?––まず、この問いに数字でお答えします。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の2人世帯は1,602万1,800世帯です。このうち、一般型誘導居住面積水準(2人世帯で75㎡)以上の住宅に住んでいるのは849万2,600世帯でした1。割合にすると53.0%です。

言いかえれば、二人暮らしの世帯のおよそ半分は、75㎡に届かない家で暮らしています。
(※これは、持ち家も借家も、戸建ても集合住宅も含んだ数字です。)

20坪台は、およそ66〜99㎡にあたります。ちょうど、この分かれ目をまたぐ範囲です。二十坪台を選ぶことは、切り詰めた狭さを選ぶことではありません。

では、この幅のどこに自分たちを置くのか。ここから先は、統計では決まりません。同じ70㎡でも、寝室を二つにするか一つにするかで、住み心地はまったく別のものになるからです。

ですから、最初に決めるのは坪数ではありません。その面積を、何にどれだけ割り当てるかです。順を追って見ていきましょう。

なお、平屋にするかどうかをまだ決めかねている段階でしたら、先に敷地の条件を確かめることをおすすめします。建ぺい率や接道といった条件で、そもそも建てられる大きさが決まってしまうためです。詳しくは「老後の平屋は敷地で決まる|5つの制約と、今の家を活かす4つの道」をご覧ください。

「二人なら七十五平米」という数字が、いま置かれている場所

住まいの広さを調べていると、「夫婦二人なら75㎡(約22.7坪)」という数字によく出会います。この数字がどこから来たものかを、先に確かめておきましょう。

出どころは、国が定める住生活基本計画です。そのなかの一般型誘導居住面積水準という水準で、令和3年の計画では次のように定義されていました2

世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準

「一般型」とは、都市の郊外および都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定した水準です3。平屋を考えている方には、まさにこれが当てはまります。算定式は「25㎡×世帯人数+25㎡」で、2人なら75㎡になります。

令和八年三月、新しい計画が閣議決定されました

ここから先は、あまり知られていない部分です。

2026年(令和8年)3月27日、新しい住生活基本計画(全国計画)が閣議決定されました。計画期間は令和8年度から令和17年度までの10年間です4

この新しい計画の別紙は、次の3つで構成されています5

  • 別紙1 住宅性能水準
  • 別紙2 居住環境水準
  • 別紙3 公営住宅の供給の目標量の設定の考え方

居住面積水準の別紙は、置かれていません。新しい計画の本文に「誘導居住面積水準」という語は出てきません。「最低居住面積水準」も、次の一箇所に出てくるだけです6

これまでの単身世帯の最低居住面積水準が25㎡以上とされてきたことにも留意しつつ、(中略)40㎡程度を上回る住宅とする。

ここで一つ、読み違えたくない点があります。この「40㎡程度」は、今後の住宅ストックの充実にあたって供給・流通を促していく住宅の規模について述べたものです7夫婦二人にとっての目安として示された数字ではありません。

つまり、現行の計画には、夫婦二人にとっての広さの数値目標は示されていない、ということになります。

国が代わりに示したのは、面積ではなく「使い道」でした

では、新しい計画は住まいの広さについて何も言っていないのでしょうか。そんなことはありません。別紙1の住宅性能水準に、次のように書かれています8

各居住室の構成及び規模は、個人のプライバシー、家庭の団らん、接客、余暇活動等に配慮し、他の基本的機能、居住性能、利便性等の居住者の多様なニーズも勘案の上、適正な水準を確保する。

数字はありません。かわりに、4つの使い道が挙げられています。

  • 個人のプライバシー
  • 家庭の団らん
  • 接客
  • 余暇活動

収納についても同じです。「世帯構成に対応した適正な規模の収納スペースを確保する」とあるだけで、面積の規定はありません9

「延べ床面積の1割から1割5分が収納の理想」といった数字を目にすることがありますが、これは公的な基準として定められたものではありません。同じように、住まいの設計として「寝室は何帖必要か」「LDKは何帖必要か」を定めた公的な基準も見当たりませんでした。のちほど触れますが、広告で「LDK」と表示するときの下限は決められています。ただしそれは、住まいの設計のための基準ではありません。

つまり、こういうことです。広さの答えは、外からは与えられません。自分たちで決めることになります。

ただ、これは突き放された話ではないと考えています。先ほどの4つの使い道は、そのまま配分の項目として使えるからです。個人のための面積、二人で過ごすための面積、人を迎えるための面積、そして楽しみのための面積。この4つに、限られた床面積をどう割るか。それが、これから決めることのすべてです。

消えた水準の「式の作り」が、いちばん役に立ちます

自分たちで決めるといっても、白紙から始めるのは大変です。手がかりになるものがあります。令和3年の計画に載っていた3つの水準の、式の形です。

数字そのものより、式の作りに注目してご覧ください10

水準算定式(2人以上の世帯)2人世帯坪換算
最低居住面積水準10㎡×世帯人数+10㎡30㎡約9.1坪
都市居住型誘導居住面積水準20㎡×世帯人数+15㎡55㎡約16.6坪
一般型誘導居住面積水準25㎡×世帯人数+25㎡75㎡約22.7坪

3つとも、同じ形をしています。「人数を掛ける部分」と、「人数に関係なく足す部分」の2つです。

ここからは私たちの読み方になります。原典にこの内訳の説明はありませんので、あくまで一つの受け取り方としてお聞きください。この式は、住まいの面積が2種類でできていることを示していると考えられます。一人ひとりに要る面積と、世帯に一つあれば足りる面積です。

寝室や個人の持ち物をしまう場所は、人数分だけ要ります。一方、浴室や台所やトイレは、二人で暮らしても一つで足ります。居間もそうです。

夫婦二人の間取りを決めるとは、この2つの配分を決めることにほかなりません。寝室を分けるかどうかも、LDKを何帖にするかも、突きつめれば同じ一つの問いです。

そして、幅を見てください。下限は30㎡、目安は75㎡。約9.1坪から約22.7坪まで、2.5倍の開きがあります。この幅のどこに自分たちを置くのか。それを決めるのは、坪数の相場ではなく、二人の暮らし方です。

なお、これらの水準は法律で定められた下限ではありません。令和3年の計画にも、短期間の居住を前提とする場合など「上記の面積によらないことができる」場合が定められていました11。あくまで目安として作られたものです。

あなたが見てきた間取り図を、面積に翻訳する

ここまでお読みになって、手元の間取り図をもう一度見たくなったかもしれません。翻訳の道具をお渡しします。

間取り図には「LDK16帖」「主寝室6帖」と書かれています。この「帖」には決まりがあります。

不動産の表示に関する公正競争規約——不当景品類及び不当表示防止法にもとづく業界のルールです——の施行規則第9条第16号に、こうあります12

住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること。

1帖は1.62㎡以上。これで、帖数を面積に直せます。

帖数面積(1帖=1.62㎡)坪換算
6帖約9.7㎡約2.9坪
8帖約13.0㎡約3.9坪
10帖約16.2㎡約4.9坪
12帖約19.4㎡約5.9坪
16帖約25.9㎡約7.8坪
20帖約32.4㎡約9.8坪

「2LDK」という表示が保証していること

同じ規約にもとづく指導基準では、DKやLDKと表示するときに最低必要な広さの目安(下限)が定められています13

居室(寝室)の数DKLDK
1部屋4.5畳8畳
2部屋以上6畳以上10畳以上

2LDKであれば、LDKは10畳以上。10畳は16.2㎡です。

ただし、この基準には次の但し書きがついています14

この基準は、あくまでも建物が取引される際に、DK又はLDKという表示を行う場合の表示のあり方を示すものであり、不動産事業者が建築する建物のDK又はLDKの広さ、形状及び機能に関する基準を定めたものではない。

つまり「2LDK」という言葉が教えてくれるのは、部屋がいくつあるかと、LDKが10畳を下回らないことまでです。20坪の2LDKと25坪の2LDKは、同じ表示でも中身がまるで違います。

だからこそ、面積で見ることになります。間取り図を見比べるときは、部屋の名前ではなく、帖数を足してください。

二十坪台の面積は、実際にどう割れるか

いよいよ配分の中身です。住まいの床面積を、5つの使い道に分けて考えます。

  1. 動かしにくい面積・・・浴室、洗面脱衣室、トイレ、玄関
  2. 寝る面積・・・寝室
  3. 過ごす面積・・・居間、食事の場所、台所
  4. しまう面積・・・収納
  5. 移動の面積・・・廊下、通路

ここで、先に知っておいていただきたいことがあります。

動かしにくい面積は、家を小さくしてもほとんど減りません。二人暮らしでも四人暮らしでも、浴槽の大きさは人数ほどには変わらないからです。トイレも、洗面台も、玄関で靴を脱ぐ場所も同じです。

ですから、家が小さいほど、動かしにくい面積が占める割合は上がります。これが、二十坪台の設計がむずかしくなる理由です。

七十五平米と六十六平米で、どこが変わるか

実際に割ってみます。以下は、面積水準の考え方と畳数の決まりをもとに当媒体が作成した想定の配分です。公的な基準ではなく、実在する住宅の図面でもありません。実際の設計では、敷地・構造・法規によって寸法が変わります。

使い道75㎡(約22.7坪)66㎡(約20坪)
動かしにくい面積12.0㎡12.0㎡±0
寝る面積(6帖+4.5帖)17.0㎡17.0㎡±0
しまう面積7.5㎡6.6㎡−0.9㎡
移動の面積5.0㎡4.0㎡−1.0㎡
過ごす面積(LDK)33.5㎡(約20.7帖)26.4㎡(約16.3帖)−7.1㎡(約4.4帖)
合計75.0㎡66.0㎡−9.0㎡

この表が伝えているのは、たった一つのことです。9㎡を削ると、そのうち7㎡はLDKから出ていきます。水回りからは1㎡も出ません。

割合で見ると、動かしにくい面積は75㎡のとき全体の16.0%、66㎡では18.2%を占めます。小さくするほど、水回りの存在が重くなっていくわけです。

もう一つ、覚えておきたいことがあります。これらの面積は「壁芯」で測ります15。壁の中心線で囲んだ面積という意味です。壁には厚みがありますから、実際に家具を置ける広さは、図面の数字よりいくらか小さくなります。

夫婦の分かれ道 – 二つ目の寝室に、何平米を割くか

配分でいちばん揉めるのが、ここです。先に、一つの事実をお伝えします。

総務省の令和3年社会生活基本調査によると、睡眠を除く生活時間のうち「一人でいた時間」がもっとも長いのは70〜74歳で、6時間51分でした。次いで65〜69歳の6時間49分と続きます16。すべての年齢階級のなかで、この年代がもっとも長いのです。しかも5年前と比べると、全ての年齢階級で増えています17

二人で住む家でありながら、一日の多くは、それぞれが別々に過ごしている。なお、この数字は年齢階級ごとの集計で、夫婦二人の世帯に限ったものではありません。それでも、この年代がもっとも一人の時間が長いという傾向は、間取りを考えるうえで見落とせないところです。

ですから、問いを立て直しましょう。「二つ目の寝室は必要か」ではありません。「二つ目の寝室に割く面積を、どこから持ってくるか」です。

4.5帖の寝室をもう一つ設けると、約7.3㎡が要ります。先ほどの66㎡の配分でいえば、この7.3㎡はLDKから出ます。寝室が一つならLDKは約20.8帖、二つにすると約16.3帖。これが引き換えの中身です。

「必要か」ではなく「何と引き換えにするか」

「必要か、不要か」で話し合うと、どちらかが折れる形になります。そしてその家には、これから二十年住みます。折れた側には、その一点が残ります。

かわりに、引き換えるものを具体的な面積にしてください。「二つ目の寝室が欲しい」ではなく「4.5帖の部屋のために、居間を4.4帖ぶん譲れるか」と置き直す。数字にすると、話は勝ち負けではなくなります。二人とも同じ側に立って、同じ表を見ることになるからです。

なお、夫婦それぞれの個室をどう置くか、つかず離れずの距離をどう取るかについては、老後 夫婦の個室と別室の間取り|距離のつくり方4つと注意点で詳しく扱っています。ここでは、面積の分かれ道としてだけ触れておきます。

二十坪台で成立する三つの型

配分の考え方が決まると、間取りはおのずと数種類に絞られます。ここでは三つの型に整理します。大切なのは、それぞれが「何を優先し、何を諦めた形か」という点です。

型1:寝室ひとつと、広い居間

過ごす面積を最大まで取る形です。20坪でもLDKに20帖前後を割けます。台所から食卓、居間までが一続きになり、家の中の移動も最短で済みます。

諦めたのは、それぞれの個室です。生活のリズムがほぼ同じで、就寝時間もそろっているご夫婦に向いています。一人になれる場所は、居間の一角や縁側、土間といった「部屋ではない居場所」で確保することになります。

型2:寝室をふたつに分ける

一人の時間を、面積として確保する形です。就寝時間が違う、空調の好みが合わない、夜中に起きることがある。こうした事情があるなら、この形が現実的です。

諦めたのは、居間の広さです。20坪ならLDKは16帖前後になります。食事の場所と居間を分けずに兼ねる、椅子の数を絞るといった工夫が要ります。片方の寝室を、将来の療養の部屋として想定しておく考え方もあります。

型3:寝室ひとつと、もう一室

使い道を決めきらない一室を持つ形です。趣味の部屋、仕事の部屋、帰省したときの寝室。三つの型のなかで、いちばん転用がききます。将来、寝室を分けたくなったときにも使えます。

諦めたのは、収納か居間の一部です。注意したいのは、この一室がふだん開けない部屋になりやすいことです。持つと決めるなら、「年に何回使うか」を先に見積もっておいてください。

優先したもの諦めたもの向いているご夫婦
型1 寝室ひとつ+広い居間過ごす面積それぞれの個室生活のリズムが近い/人を招くことが多い
型2 寝室ふたつ一人ずつの面積居間の広さ就寝時間や空調の好みが違う/将来の療養も想定したい
型3 寝室ひとつ+もう一室使い道を決めない面積収納、または居間の一部趣味や仕事の場所が要る/帰省が年に数回ある

どの型を選んでも、移動のための面積は削れます。廊下を通さず部屋から部屋へ直接つなぐ、水回りをひとまとめにして往復を短くする。この二つで、二十坪台でも数帖ぶんが浮きます。

坪数帯別のモデルプラン – 面積の内訳

三つの坪数帯で、実際に面積を割ってみます。

以下は、居住面積水準の考え方と畳数の決まりをもとに当媒体が作成した想定のプランです。実在する施工事例ではありません。実際の設計では、敷地の形、構造、法規によって寸法が変わります。あくまで、配分の感覚をつかむための数字としてご覧ください。

使い道約60㎡(約18.2坪)
寝室ひとつ
約70㎡(約21.2坪)
寝室ふたつ
約83㎡(約25.1坪)
寝室ふたつ+もう一室
動かしにくい面積12.0㎡12.0㎡13.0㎡
寝る面積9.7㎡(6帖)17.0㎡(6帖+4.5帖)17.0㎡(6帖+4.5帖)
もう一室7.3㎡(4.5帖)
しまう面積6.0㎡7.0㎡9.0㎡
移動の面積3.0㎡4.5㎡5.5㎡
過ごす面積(LDK)29.3㎡(約18.1帖)29.5㎡(約18.2帖)31.2㎡(約19.3帖)
合計60.0㎡70.0㎡83.0㎡

三つを見比べて分かること

横に並べると、はっきりすることがあります。

60㎡から70㎡へ、10㎡増やしました。ところがLDKは18.1帖から18.2帖へ、ほとんど変わっていません。増えた10㎡は、二つ目の寝室と、収納と、そこへ行くための通路に消えています。

70㎡から83㎡へ、さらに13㎡増やしても同じです。LDKは18.2帖から19.3帖まで、1帖しか広がりません。

つまり、坪数を増やしたときに増えた面積は、居間ではなく「部屋」と収納に行きます。裏を返せば、こういうことです。

居間を広くしたいなら、坪数を増やすより、部屋を減らすほうが早い。

二十坪台で悩んでいる方に、この見方はきっと役に立ちます。「あと3坪あれば」と思ったとき、その3坪が本当に行きたい場所に行くのかを、先に確かめられるからです。

あとから足せるもの、動かせないもの

設計の打ち合わせでは、決めることが次々に出てきます。判断に迷ったときのために、面積の観点から一本の線を引いておきます。

あとから足せるのは、新たに面積を要求しないものです。収納家具、設備のグレード、手すり、照明、コンセントの数。これらは住んでから不満が出ても手を打てます。

あとから動かせないのは、面積の配置そのものです。寝室と手洗いの距離、部屋の並び順、窓の位置、建物の外形と向き。ここは図面の段階でしか決められません。

限られた判断力と時間は、動かせないほうに使ってください。とくに寝室と手洗いの距離は、年齢を重ねるほど効いてきます。今の体で「これくらい歩ける」と決めた距離が、十年後にも同じとは限りません。

この家には、これから二十年住みます。今の自分ではなく、二十年ぶんの自分のために配置を決める。それだけで、設備の細かい選択に迷う時間はずいぶん減ります。

二十坪台にしないほうがよい場合と、知っておきたいこと

ここまで配分の話をしてきましたが、二十坪台がすべてのご夫婦に合うわけではありません。次のような場合は、無理に収めないほうがよいと考えられます。

  • 手放せない大型の家具や道具がある
    桐の箪笥、仏壇、大きな食卓、楽器、工作の道具。これらは「残す前提」で面積を逆算してください。入れてから考えると、必ず置き場所に困ります。
  • 子や孫が長期に、あるいは複数の世帯で帰省する
    年に数日でも、複数世帯が同時に泊まるなら、居間だけでは足りません。
  • 在宅の仕事や趣味に、まとまった面積が要る
    絵を描く、機械をいじる、蔵書が多い。作業の面積は、暮らしの面積とは別に確保するものです。
  • 積雪のある地域に建てる
    玄関まわり、風除室、除雪の道具の置き場所に面積が要ります。なお、令和3年の居住面積水準に寒冷地や積雪地の特例は定められていませんでした18地域の事情は、自分で足すことになります

数字を読むときに、知っておきたいこと

面積は壁芯で測ります19。壁の中心線までが面積に入りますから、実際に使える広さは図面の数字よりいくらか小さくなります。図面を見るときは、この分を頭の隅に置いてください。

そして、ここまで挙げてきた面積水準は法律で定められた下限ではありません。令和3年の計画にも「上記の面積によらないことができる」場合が定められていました20。目安として作られたものです。数字に自分を合わせる必要はありません。

来客用の部屋は、残すべきか

いちばん多いご相談です。結論から申し上げると、決めつけないほうがよいと考えています。

判断の仕方はこうです。来客用の6帖は約9.7㎡。その9.7㎡を、年に何回のために持ち続けるのか?去年、何泊してもらったのかを数えてみてください。

そのうえで、答えは「作る」か「作らない」かの二つだけではありません。居間の一角を引き戸で仕切れるようにする、近くに泊まってもらう––中間の答えも、同じ重さで検討する価値があります。

なお、二十坪台の平屋が合わないと感じられた場合でも、小さな家のかたちは平屋だけではありません。ほかの選び方については「終の棲家は「小さな家」|平屋・タイニー・移設できる家の選び方」で整理しています。

自分たちの配分表をつくる – 四つの手順

ここからは、実際に手を動かす番です。紙を一枚と、鉛筆を用意してください。

手順1:今の家を数字にする

まず、いまお住まいの家の延べ面積を確かめます。登記の書類か、建てたときの図面に載っています。あわせて、この一年で実際に使った部屋を書き出してください。開けていない部屋には、印をつけます。

参考までに、全国の一戸建(居住専用に建てられた住宅)の平均は1住宅当たり126.32㎡(約38.2坪)、居住室数は5.62室です21。ご自宅がこれに近ければ、20坪台はおおよそ半分から8割弱にあたります。

手順2:動かしにくい面積を、先に置く

浴室、洗面脱衣室、トイレ、玄関。ここから引き算を始めます。この四つで12㎡前後を見込んでおくと、残りが見えてきます。

手順3:残りを「二人で使う分」と「一人ずつの分」に割る

ここが本番です。残った面積を、居間と寝室にどう配るか。お二人が、別々に書いてください。相談しながらではなく、それぞれが自分の紙に数字を入れます。

手順4:削ったものを、突き合わせる

二枚の紙を並べます。見るのは、残した面積ではありません。相手が何を削ったかです。

ここに、これまで言葉にならなかったことが出てきます。片方が真っ先に削ったものが、もう片方にとっていちばん大事だった、ということが起こります。それが分かるだけで、この作業には十分な意味があります。

ひとつの単位から組み立てるという方法

最後に、配分という考え方と相性のよい選択肢を一つご紹介します。

シニアリビング「終活の住処」は、移設と買取ができる平屋のユニット住宅です。1ユニットは6.0m×2.4m、面積にして14.4㎡。この単位を、単棟から連棟まで組み合わせて構成します。

分類のうえでは、ユニック車で吊り下げて据えるユニットハウス(建築物)で、車輪で牽引して動かすトレーラーハウスとは扱いが異なります。法的な扱いは設置方法や自治体の判断によって異なるため、設置前にご確認ください。

この単位で考えると、二十坪台がどう成り立つかが見えてきます。1ユニット14.4㎡を基準に単純計算すると、次のようになります。

  • 4つつなげて 約57.6㎡(約17.4坪)
  • 5つつなげて 約72㎡(約21.8坪)
  • 6つつなげて 約86.4㎡(約26.1坪)

5つで、かつての一般型誘導居住面積水準(75㎡)にほぼ並びます。6つなら、この記事で見てきた「寝室ふたつ+もう一室」の配分がそのまま入る計算です。

面積を「部屋」ではなく「単位」で足していくため、配分の話が、そのまま設計の話になります。
※実際の寸法や構成は、敷地の条件により異なります。

この記事で挙げた課題建て替えて平屋にする場合移設・買取ができる平屋ユニット
初期の負担解体と新築の両方が要る工場で仕上げて運び、据える
工事の手間と期間仮住まいと2度の引越しを伴うことが多い母屋に住んだまま、敷地に据えられる場合がある
夫婦の距離間取りの自由度は高い単位を足して個室を確保しやすい
将来の扱い住まなくなれば解体が必要になる移設と買取ができる
設置条件敷地の法規制に従う同じく法規制に従う。加えて搬入経路とクレーンの作業空間が要る

向かないケースも、同じようにお伝えします。

  • 敷地に据える場所がない、または搬入経路とクレーンの作業空間が取れない
  • 用途地域や自治体の条例で設置が制限される(自治体の窓口で必ずご確認ください
  • 大人数の来客に、広い一室で対応したい
  • 土地から取得して住まいを構える場合

費用については、この記事では扱っていません。広さの配分が決まってから、あらためて検討する順序をおすすめします。先に予算を決めてしまうと、削る場所を自分で選べなくなるためです。

よくある質問

Q
夫婦二人の平屋は、結局何坪あればいいですか?
A

一つの正解はありません。かつて国が示していた目安は2人世帯で75㎡(約22.7坪)、下限にあたる水準は30㎡(約9.1坪)でした。実際には、2人世帯の53.0%が75㎡以上の住宅に住んでおり、およそ半分はそれ未満で暮らしています。坪数を先に決めるより、水回り・寝室・居間・収納にどう割り振るかを決めるほうが、結果的に早く決まります。

Q
20坪と25坪では、何が変わりますか?
A

主に変わるのは部屋の数と収納で、居間はあまり広くなりません。この記事のモデルでは、60㎡から70㎡、83㎡へと増やしても、LDKは18.1帖から18.2帖、19.3帖にしか広がりませんでした。増えた面積は、二つ目の寝室と収納、そしてそこへ行くための通路に使われます。居間を広くしたいなら、坪数を増やすより部屋を減らすほうが早い、ということです。

Q
寝室は分けたほうがいいですか?
A

どちらが正しいとは言えません。決め方としては、「必要かどうか」ではなく「何と引き換えにするか」で考えます。4.5帖の寝室をもう一つ設けると約7.3㎡が要り、66㎡の配分では居間が約20.8帖から約16.3帖に下がります。就寝時間が違う、空調の好みが合わないといった事情があるご夫婦なら、その引き換えに見合うと考えられます。

Q
来客用の部屋は残すべきでしょうか?
A

決めつけないほうがよいと考えています。来客用の6帖は約9.7㎡です。その面積を年に何回のために持ち続けるのかを、去年の泊数から数えてみてください。答えは「作る」「作らない」の二つだけではなく、居間の一角を引き戸で仕切れるようにする、近くに泊まってもらうといった中間の答えもあります。

Q
「夫婦二人なら75㎡」という目安は、今も使ってよいですか?
A

考え方の手がかりとしては使えますが、現行の計画に載っている数字ではありません。75㎡は令和3年の住生活基本計画で示された一般型誘導居住面積水準で、令和8年3月に閣議決定された新しい計画の別紙には、居住面積水準が置かれていません。新しい計画が示しているのは面積の数字ではなく、個人のプライバシー、家庭の団らん、接客、余暇活動といった使い道への配慮です。

まとめ:広さは坪数ではなく、二人の配分で決まります

夫婦二人の平屋に、決まった坪数はありません。

国が示していた「二人なら75㎡」という目安も、いまの計画には見当たりません。残されたのは、限られた面積を何にどう割り振るかという、ご夫婦だけの判断です。裏を返せば、誰かの正解に合わせなくてよいということでもあります。

Point
  • 二十坪台は、切り詰めた広さではありません。2人世帯のおよそ半分は75㎡に届かない家で暮らしています。
  • 面積は、人数分だけ要るものと、世帯に一つで足りるものに分かれます。間取りとは、この二つの配分です。
  • 「2LDK」は、部屋の数以上のことをほとんど保証していません。比べるときは、名前ではなく帖数を足してください。
  • 水回りの面積は、家を小さくしても減りません。削った面積は、その多くが居間から出ていきます。
  • 坪数を増やして広くなるのは、居間ではなく部屋と収納です。居間を広げたいなら、部屋を減らすほうが早道です。

そして、いちばん大切なことを。配分表は、お二人が別々に書いて、突き合わせてください。見るのは残した面積ではなく、相手が何を削ったかです。そこに、長く連れ添ったご夫婦でも言葉にしてこなかったものが現れます。間取りを決める作業は、これからの二十年をどう過ごすかを決める作業でもあります。

配分が見えてきたら、それを形にする方法はいくつもあります。建て替える、減築する、あるいはひとつの単位を組み合わせて、必要なぶんだけ用意するという選び方も。シニアリビング「終活の住処」では、移設と買取ができる平屋のユニット住宅をご用意しています。

子に頼らず、美しく仕舞える住まいを、ご自分たちの手で。体も判断力も十分にある今こそ、二人で話しはじめるのにちょうどよい時期です。

脚注

  1. 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」(2024)統計表75-3「世帯人員、最低居住面積水準・誘導居住面積水準状況別主世帯数」より当媒体が算出. https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004021751 ↩︎
  2. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  3. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  4. 国土交通省「新たな「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定~人生100年時代の持続可能な住生活をめざして~」(2026). https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000244.html ↩︎
  5. 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(2026年3月27日閣議決定)別紙1 住宅性能水準. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001991226.pdf ↩︎
  6. 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(2026年3月27日閣議決定)別紙1 住宅性能水準. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001991226.pdf ↩︎
  7. 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(2026年3月27日閣議決定)別紙1 住宅性能水準. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001991226.pdf ↩︎
  8. 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(2026年3月27日閣議決定)別紙1 住宅性能水準. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001991226.pdf ↩︎
  9. 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(2026年3月27日閣議決定)別紙1 住宅性能水準. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001991226.pdf ↩︎
  10. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  11. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  12. 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」(2025)施行規則第9条第16号/DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準. https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/ ↩︎
  13. 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」(2025)施行規則第9条第16号/DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準. https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/ ↩︎
  14. 公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」(2025)施行規則第9条第16号/DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準. https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/ ↩︎
  15. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  16. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」(2022). https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf ↩︎
  17. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」(2022). https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf ↩︎
  18. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  19. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  20. 国土交通省「住生活基本計画における「水準」について」(2021)別紙3 誘導居住面積水準/別紙4 最低居住面積水準. https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf ↩︎
  21. 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024). https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf ↩︎