介護保険でリフォームする際の支給上限額は、原則1人あたり20万円です。そのうち9割(所得により7〜8割)が補助金として支給されるため、自己負担1割の方であれば、20万円の工事に対して実質2万円の負担で済みます1。
「介護保険でリフォーム費用が補助されるって聞いたけど、上限はいくらまで?」「自己負担はどれくらいになるの?」――親の介護でバリアフリー化を検討し始めたとき、最初に気になるのがこのお金の話ではないでしょうか。
本記事では、この基本ルールに加えて以下のことが分かります。
- 20万円枠の対象となる6つの工事と、対象外になるリフォーム
- 所得別の自己負担割合(1割/2割/3割)の見分け方
- 20万円枠で実際に何が実現できるかの具体例
- 20万円を超えた場合に使える減税制度・自治体助成金の選択肢
数分で読み終わる内容にまとめましたので、ケアマネジャーや業者と相談する前の予備知識としてお役立てください。
なぜ上限20万円?制度の基本と対象工事
介護保険による住宅改修費は、要支援・要介護認定を受けた方が自宅で安全に暮らし続けるための公的支援制度です。介護保険から支給されるため、対象となる工事と上限額が法律で定められています。
対象となる工事は、次の6種類に限定されています。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他、上記5工事に付帯して必要となる工事
たとえば「リビングを広くしたい」「キッチンを新しくしたい」といった一般的なリフォームは対象外です。あくまでバリアフリー化に直結する工事が対象だと覚えておきましょう。
所得による自己負担割合の違い
自己負担割合は、本人の所得によって次のように決まります。
- 1割負担:一般的な所得の方(最も多いケース)
- 2割負担:合計所得金額が一定額を超える方
- 3割負担:現役並み所得のある方
たとえば20万円の工事をした場合、自己負担額は1割なら2万円、2割なら4万円、3割なら6万円となります。ご自身の負担割合は「介護保険負担割合証」に記載されているので、リフォームを検討する前に確認しておきましょう。
20万円枠で実現できる工事の例
「20万円」と聞くと「小さな工事しかできない」と感じるかもしれませんが、対象工事を絞れば意外と多くの改修が可能です。
例1:手すりの取付け(20万円以内に十分収まるケース)
廊下・階段・トイレ・浴室などに手すりを設置する工事は、合計でも10〜20万円以内に収まることが多い代表例です。自己負担1割なら、家全体の手すり整備が実質1〜2万円で実現できる計算になります。転倒リスクを大きく下げる費用対効果の高い工事です。
例2:和式から洋式便器への取替え(20万円超過の可能性あり)
和式便器を洋式便器に交換する工事は、便器本体・内装工事を含めると20〜50万円程度が目安です。20万円を超えた分は全額自己負担となるため、優先度の高い工事から計画しましょう。トイレ内に手すりを併設するケースも多く、トイレ改修だけで上限に達することも珍しくありません。
例3:手すり+段差解消の組み合わせ
玄関の上がりかまちに段差解消用の式台を設置(5〜10万円)し、あわせて廊下と階段に手すりを取り付ける(合計5〜10万円)という組み合わせも、20万円枠に十分収まります。「動線全体の安全性をまとめて高めたい」ご家族にお勧めできる組み合わせです。
20万円を超えた場合はどうする?
上限20万円を超えた工事費は、原則として全額自己負担になります。ただし、自己負担分を軽減できる別の制度を組み合わせることで、実質的な負担をさらに下げることが可能です。
代表的な選択肢は次の3つです。
- 所得税の住宅特定改修特別税額控除:バリアフリー改修をした場合、最大20万円が所得税から控除されます。令和8年度(2026年度)税制改正で適用期限が令和10年12月末まで延長+床面積要件40㎡以上に緩和されました2。
- 固定資産税の減額措置:翌年度の固定資産税が3分の1減額されます(令和13年3月末まで延長)。
- 市区町村独自の上乗せ助成金:自治体によっては介護保険の20万円枠に上乗せして補助する制度があります。
これら制度の詳細や使い分け、併用ルールについては、別記事「【2026年最新】介護リフォームの費用と補助金・減税7つの要点」で網羅的に解説していますので、あわせてご覧ください。
「何回まで使える?」「何度もリセットできる?」
介護保険の住宅改修費は、原則として1人につき1住宅で生涯1回ですが、要介護度の上昇や転居など特定の条件下で再度20万円枠が利用できる仕組みがあります。利用回数のリセット条件や複数回使うときの実務的な注意点については、別記事「【結論】介護リフォーム補助金は原則1回|再支給される4条件を解説」で詳しくまとめています。
よくある質問
Q. 自己負担割合は所得でどう変わりますか?
A. 1割/2割/3割の3区分に分かれ、本人の所得に応じて自治体が決定します。一般的な所得の方は1割、合計所得金額が一定額を超える方は2割、現役並み所得のある方は3割です。ご自身の負担割合は「介護保険負担割合証」に記載されているので、リフォーム検討前に必ず確認しましょう。
Q. 工事は誰に頼めばいいですか?事前申請は誰がやるの?
A. リフォーム業者への発注前に、まず担当のケアマネジャー(または地域包括支援センター)に相談するのが鉄則です。住宅改修費の支給には市区町村への事前申請が必須で、ケアマネジャーが「住宅改修が必要な理由書」を作成します。事前申請せずに工事を始めてしまうと補助金を受けられないため、自己判断で着工しないことが何より重要です。
Q. 自治体独自の上乗せ助成金はありますか?
A. はい、市区町村によっては介護保険の20万円枠に上乗せして補助する独自の助成金制度があります。たとえば東京都板橋区や大阪市、横浜市など、多くの自治体が実施しています。お住まいの市区町村の福祉課・高齢者支援課に問い合わせるか、自治体ホームページで確認しましょう。探し方の詳細は記事「【見逃し厳禁】自治体のリフォーム補助金|探し方3ルート+申請5コツ」をご覧ください。
Q. 介護リフォーム全体の費用相場や減税制度も知りたい
A. 介護リフォームの場所別費用相場(玄関・浴室・トイレ等)、所得税控除や固定資産税減額などの減税制度、令和8年度税制改正による拡充内容、失敗しないためのポイントまでを網羅した記事「【2026年最新】介護リフォームの費用と補助金・減税7つの要点」をご覧ください。本記事の内容を含む全体像を一つの記事で確認できます。
まとめ:上限20万円を最大限に活用するために
介護保険の住宅改修費は、上限20万円・自己負担1〜3割で利用できる、在宅介護を支える基本的な制度です。手すりの取付けや段差解消など、バリアフリーに直結する工事であれば、自己負担1割の方なら実質2万円程度から住環境を大きく改善できます。
本記事の重要ポイントを振り返ります。
- 上限額:1人あたり20万円・9割給付(所得により7〜8割)
- 対象工事:手すり・段差解消・床材変更・扉取替・便器取替+付帯工事の6種類のみ
- 事前申請が必須:着工前にケアマネジャーへの相談を最初のステップに
- 20万円超過時:所得税控除・固定資産税減額・自治体独自助成金との組み合わせで負担を軽減できる
介護リフォームの全体像(場所別費用相場・各種減税制度・失敗しないポイントなど)については、記事「【2026年最新】介護リフォームの費用と補助金・減税7つの要点」で網羅的に解説していますので、あわせてご覧ください。
そして、もしリフォームでは構造的に対応しきれないご事情がある場合は、私たち株式会社アイデアの「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」という新しい選択肢もあります。お庭に設置する独立型の介護専用ハウスは、リフォームでは越えられない壁を根本から解決する、これからの時代の住まいの形です。
ご家族にとって最適なリフォーム計画と住まいの選択ができるよう、まずはケアマネジャーや専門家にお気軽にご相談ください。
脚注
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf ↩︎
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm ↩︎