介護休業給付金とは?支給額・条件・申請を分かりやすく解説

この記事は約18分で読めます。

「親の介護で仕事を休みたいけれど、休んだら収入はどうなるんだろう」
「介護休業給付金って、結局いくらもらえて、どうやって申請するの?」

いざ介護に直面すると、お金と手続きの不安が一気に押し寄せてきますよね。
制度の名前は聞いたことがあっても、自分のケースで本当に使えるのか、計算や書類でつまずかないか、心配は尽きないものです。

そんな方のために、この記事では介護休業給付金の「具体的な金額の計算」と「申請手続きの実務」を、あなたのケースに当てはめて判断できるレベルまで、やさしく丁寧に解説します。

月給別のシミュレーションや受給条件のセルフチェック、必要書類まで網羅しているので、読み終えるころには「自分はいくら受け取れて、何を準備すればいいか」がはっきり見えているはずです。

この記事でわかること
  • 月給20万・30万・40万円別の支給額シミュレーションと、見落としがちな「手取りの落とし穴」
  • 自分は対象になる?受給条件を5つでセルフチェック
  • 会社とハローワークの役割分担・必要書類・記入のポイント
  • いつ振り込まれる?支給時期・申請期限・2年の時効
  • 介護休暇・有給・育休給付との違いと、もらい損ねないための注意点

【30秒で結論】介護休業給付金は「いくら・いつ・誰が申請」

親の介護のために仕事を休む。そう決めたとき、いちばん不安なのは「休んだら収入はどうなるのか」ということではないでしょうか。その不安を和らげてくれるのが、雇用保険の介護休業給付金です。

まずは結論を30秒で押さえましょう。

  • いくら?
    休業前の賃金の約67%。対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分けて受け取れます1
  • いつ?
    振込は介護休業が終わった後にまとめて。手続きから入金まで、休業終了後おおむね1〜3か月かかります。
  • 誰が申請?
    原則はあなたの勤務先(会社)が、会社の所在地を管轄するハローワークへ申請します。あなた自身がハローワークへ出向く必要は基本的にありません。

たとえば休業前の月給が30万円の方なら、1か月あたり約20万円が目安です。「思ったよりもらえる」と感じた方も、「これだけでは足りない」と感じた方もいるはずです。大切なのは、額面の67%がそのまま手元に残るわけではないということ。なぜなら、休業中も社会保険料などの支払いは続くからです。

そもそも介護休業給付金とは?介護休業とセットで理解する

介護休業給付金は、単独で存在する制度ではありません。まず「介護休業」を取得した人が、その間の収入減を補うために雇用保険から受け取れるお金、という関係を押さえましょう。

介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために、労働者が取得できる法律上の権利です。育児・介護休業法で定められており、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できます2。会社に制度の規定がなくても、要件を満たせば取得できます。

この介護休業を取って賃金が支払われない(または大きく減る)期間について、給付金が支給される仕組みです。

「自分で介護する休み」ではなく「体制を整える93日」

ここで多くの方が誤解しがちなポイントがあります。介護休業は、「親の介護に自分がつきっきりになるための休み」ではないということです。国は介護休業を、仕事と介護を両立するための「体制構築期間」と位置づけています3

実際、介護を要した期間は平均で4年7か月に及びます4。93日(約3か月)で介護が終わることは、まずありません。だからこそ、この93日は自分で抱え込む期間ではなく、要介護認定の申請、ケアマネジャー選び、デイサービスやショートステイの手配、住環境の整備など、「自分が仕事に戻っても介護が回る仕組み」をつくるために使うのが本来の趣旨です。この考え方は、後半の住まいの選択肢の話につながります。

なお、数時間〜数日単位の通院付き添いなどには、介護休業とは別の「介護休暇」という制度が使えます。両者の違いは後ほど表で整理します。仕事と介護の両立の全体像については、「介護離職しないための両立完全ガイド」もあわせてご覧ください。

【いくら?】支給額の計算式と月給別シミュレーション

では本題の「いくらもらえるのか」です。介護休業給付金の支給額は、次の計算式で決まります5

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数(通常30日) × 67%

カギになるのが「休業開始時賃金日額」です。これは、介護休業を始める前の直近6か月に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。基本給だけでなく残業代や各種手当も含みますが、ボーナス(賞与)は含みません。計算の途中で1円未満の端数は切り捨てられ、最終的な支給額でも端数は切り捨てられます6

月給20万・30万・40万円のモデルケース早見表

休業前の月給ごとに、支給額の目安を示します。実際の残業代の変動や出勤日数、ハローワークの端数処理によって数百円の差は生じますので、あくまで概算としてご覧ください。

休業前の月給休業開始時賃金日額(概算)1か月(30日)あたりの支給額通算93日の給付総額の目安
20万円約6,666円約133,986円約415,000円
30万円約10,000円約201,000円約623,000円
40万円約13,333円約267,993円約830,000円

上限額と下限額(毎年8月に改定)

高収入の方には上限が、低収入の方には下限が設けられており、これらの金額は毎年8月1日に改定されます。令和7年(2025年)8月1日改定の最新基準は次のとおりです7

  • 1か月(支給単位期間)あたりの支給上限額:356,574円
    ※休業開始時の賃金月額が上限の532,200円を超える場合は、532,200円として計算されます。
  • 賃金月額の下限額:90,420円
    ※休業前の賃金がこれを下回る場合は、90,420円を基準に算定されます。

つまり、どれだけ給与が高くても1か月あたり約35.7万円が上限となります。上限・下限は改定されるため、申請時には最新の金額を必ず確認してください。

【手取りはもっと低い】67%の数字に隠れた社会保険料の落とし穴

「賃金の67%なら、月給30万円で20万円。なんとかなりそう」——そう考えるのは少し危険です。給付金の67%が、そのまま手取りになるわけではないからです。ここは見落とされがちですが、家計を守るうえで最も重要なポイントです。

給付金は非課税。でも社会保険料・住民税は止まらない

まず良い知らせから。介護休業給付金は非課税で、所得税は引かれません8。ここは育児休業給付金と同じです。問題はその先です。

育児休業では休業中の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除されますが、介護休業にはこの免除制度がありません9。つまり、給与がほぼゼロの状態でも、健康保険料・厚生年金保険料・住民税は休業前の水準のまま発生し続けます。住民税は前年の所得に対してかかるため、収入が減った今でも容赦なく請求されます。

会社は天引きできない。毎月の「持ち出し」に注意

休業中は給与が出ないため、会社はこれらの保険料を給与から天引きできません。そのため、毎月会社が指定する口座へ自分で振り込むか、復職後の給与からまとめて控除されるのが一般的です。

たとえば月給30万円の方の場合、社会保険料の自己負担分と住民税を合わせて、月におよそ3〜4万円の持ち出しが発生するケースがあります(実際の金額は給与水準や自治体により異なります)。

給付金の入金は休業終了後なので、休業中は実質的にお金が出ていく一方になりがちです。だからこそ、休業前に「いくら入って、いくら出ていくのか」を会社の人事・給与担当に確認し、不足分を貯蓄で準備しておくことが欠かせません。具体的な準備手順は、記事後半のチェックリストでまとめます。

【受給条件】自分は対象?5つの条件セルフチェック

給付金を受け取るには、いくつかの条件をすべて満たす必要があります。「自分は対象になるの?」という不安に答えるため、確認すべきポイントを5つに整理しました。順番にチェックしてみてください。

① 雇用保険の加入期間が足りているか

大前提として、雇用保険の被保険者であることが必要です。そのうえで、介護休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(または就業時間が80時間以上ある月)が、通算して12か月以上あることが求められます10

正社員として続けて働いていれば通常は問題ありませんが、転職直後で前職との間に空白期間がある方は注意が必要です。

② 有期雇用(契約社員・パート)の追加要件を満たすか

契約社員やパートなど期間の定めのある働き方の場合、以前は「引き続き雇用された期間が1年以上」という厳しい要件がありました。しかし令和4年(2022年)4月の法改正でこの要件は撤廃されています11。現在の追加要件は次の1点のみです。

  • 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了して更新されないことが明らかでないこと

かみ砕くと、「近いうちに契約が確実に終わる」と決まっていなければ対象になり得るということです。入社して半年の方でも、契約が続く見込みがあれば受給できる可能性があります。

③ 休業中の「就業日数」が制限内か

給付金は1か月ごとの「支給単位期間」で審査されます。この各期間において、就業した日数が10日以下であることが必要です。10日を超える場合でも、就業した時間が80時間以下であれば認められます12。「少しだけ仕事を手伝った」つもりが日数を超えると、その月の給付金が受け取れなくなることがあります。

④ 休業中の「賃金」が一定額未満か

休業中に会社から賃金が支払われる場合、その額によって給付金が調整されます13

  • 休業前賃金の13%以下:給付金は全額支給
  • 休業前賃金の13%超〜80%未満差額が減額される
  • 休業前賃金の80%以上:給付金は不支給

⑤ 対象家族が「常時介護を必要とする状態」か

介護する相手が、給付の対象となる家族であることも条件です。対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です14。同居や扶養の有無は問われません。おじ・おばなどは対象外です。

さらに、その家族が「常時介護を必要とする状態」であることが必要です。これは、負傷・疾病・障害により2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指し、ハローワークは次のいずれかで判断します15

  • 介護保険の要介護状態区分が「要介護2以上」であること
  • または、下表の12項目の判断基準で、「状態2(一部介助が必要)」が2つ以上、もしくは「状態3(全面的介助が必要)」が1つ以上に該当すること
判断項目(抜粋)状態2:一部介助が必要状態3:全面的介助が必要
歩行(5m程度)何かにつかまればできるできない
排泄一部介助・見守りが必要全面的介助が必要
食事一部介助・見守りが必要全面的介助が必要
衣服の着脱一部介助・見守りが必要全面的介助が必要
認知・問題行動ときどきある(徘徊等)ほとんど毎日ある

要介護認定(要介護2以上)を受けていなくても、上記の判断基準を満たせば対象になり得るのがポイントです16。認定待ちの段階でも諦めず、勤務先やハローワークに相談してみてください。なお、この判断基準は制度改正で見直されることがあるため、申請時には最新の基準を確認しましょう。

【申請の流れ】会社とハローワークの役割分担・必要書類・記入のポイント

「手続きが複雑そうで、自分にできるか不安」という声をよく聞きます。でも安心してください。介護休業給付金の申請は、原則として会社(事業主)が行います17

雇用保険の計算や賃金の証明、ハローワークとのやり取りは会社の役割です。あなたがやるべきことは、意外とシンプルです。

あなた(労働者)がやること

  • 介護休業の申し出
    「介護休業申出書」を会社に提出し、休業期間を決める(原則、休業開始予定日の2週間前まで)
  • 対象家族の続柄がわかる書類の用意
    住民票記載事項証明書や戸籍謄本など。ただし申請書に本人と対象家族のマイナンバーを記載すれば、これらの添付を省略できる場合があります18
  • 振込先口座の確認書類:本人名義の通帳やキャッシュカードの写し

会社(事業主)がやること

会社は、あなたから受け取った書類に加えて、次の書類を作成・添付し、会社の所在地を管轄するハローワークへ提出します19

  • 介護休業給付金支給申請書
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(休業前の賃金を証明する書類)
  • 出勤簿(タイムカード)・賃金台帳(休業前と休業中の就労実績・賃金を裏付ける資料)

申請の全体ステップ

  1. 労働者が会社へ介護休業を申し出る(休業開始の2週間前まで)
  2. 休業を取得する
  3. 休業終了後、労働者が必要書類を会社へ提出する
  4. 会社が申請書類を作成し、ハローワークへ提出する
  5. ハローワークの審査(通常1〜2週間)を経て「支給決定通知書」が発行される
  6. 指定口座へ給付金が振り込まれる

つまずきやすいのは、書類の不備よりも「会社との連絡不足」です。休業中に連絡が途絶えたり、勝手に業務をして勤怠実績が狂ったりすると、会社が正確な申請をできなくなります。休業中も人事担当者とこまめに連絡を取りましょう。

会社への切り出し方やタイミングに迷う場合は、「介護の会社への伝え方|上司に話す順番と準備」もご参照ください。

【いつ・いくら振り込まれる】支給時期と申請期限・時効2年

「申請したら、いつお金が入るの?」——ここも気になるところです。結論から言うと、給付金が振り込まれるのは、介護休業が終わってからおおむね1〜3か月後です。

介護休業給付金は、原則として休業が終わった後に、まとめて申請されます。会社が休業中の出勤実績や賃金を確定させてからハローワークへ申請し、審査(通常1〜2週間)を経て支給決定通知書が発行されます。その後、支給決定日から約1週間後に指定口座へ振り込まれる流れです。

休業中はリアルタイムでお金が入ってくるわけではない点に、くれぐれも注意してください。

申請期限は意外と短い。でも過ぎても諦めない

申請には期限があります。法律上は「介護休業終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日」までです20。介護でばたばたしているうちに、うっかり過ぎてしまうこともあるでしょう。

ただし、ここで諦める必要はありません。雇用保険の給付には2年の時効があり、原則の期限を過ぎても、時効が完成する前であれば遡って申請できます21。「期限が過ぎたから無理」と会社の担当者に言われた場合でも、ハローワークの案内を確認のうえ、再度申請を働きかけてみてください。

【混同注意】介護休暇・有給・育児休業給付との違いと併用可否

介護のときに使える休みは、介護休業だけではありません。名前が似ている「介護休暇」や、慣れ親しんだ「年次有給休暇」、そして「育児休業給付」と混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。使い分けを知っておくと、限りある介護休業93日を無駄づかいせずに済みます。

制度目的・日数賃金・給付特記事項
介護休業(給付金)体制づくり。対象家族1人につき通算93日、最大3回分割雇用保険から賃金の約67%「常時介護を必要とする状態」が要件
介護休暇突発対応(通院付き添い等)。対象家族1人で年5日、2人以上で年10日。時間単位も可原則無給(給付金なし)令和7年4月改正で勤続6か月未満も取得可に
年次有給休暇目的は自由。労働基準法に基づく全額支給取得日は「就業日」に数えられる点に注意
育児休業(給付金)育児。原則子が1歳まで雇用保険から67%(その後50%)育休は社会保険料が免除(介護休業は免除なし)

とくに覚えておきたいのが介護休暇です。ケアマネジャーとの初回面談や、退院の付き添い、要介護認定の立ち会いなど、数時間〜数日の用事には介護休暇や有給を優先的に充てるのが賢い使い方です。

介護休暇は対象家族1人につき年5日(2人以上なら年10日)、時間単位でも取得できます。さらに令和7年(2025年)4月の法改正で、労使協定による「勤続6か月未満の労働者を除外する規定」が廃止され、入社直後でも使えるようになりました22

短期の対応は介護休暇・有給で乗り切り、本格的な体制づくりのために93日の介護休業を温存する。この使い分けが、両立を長続きさせるコツです。

【もらい損ねない】よくある失敗と注意点

介護休業給付金は、知らないと損をする落とし穴がいくつかあります。注意点と制度の限界をお伝えします。

「働きすぎ」「もらいすぎ」で減額・不支給に

最も多い失敗が、休業中の働きすぎです。「自分にしかできない業務がある」と、つい少しだけ仕事をしてしまう。その気持ちはよく分かります。

しかし前述のとおり、1つの支給単位期間(約1か月)で就業日数が10日を超え、かつ就業時間も80時間を超えると、その月の給付金は受け取れません。また、会社が好意で賃金を支払い、それが休業前賃金の80%以上になると不支給になります。

良かれと思った対応が裏目に出ないよう、休業中は思い切って完全に休むのが、結果的に自分の経済的利益を守る近道です。

93日・67%という制度の限界を知っておく

制度の限界も直視しておきましょう。

給付の対象は通算93日(約3か月)までです。一方で、介護を要した期間は平均4年7か月、月々の介護費用は平均9.0万円、住宅改修や介護用品などの一時費用は平均47.2万円という調査結果があります23。93日分の給付金だけで長い介護を乗り切ることは、現実的ではありません。

だからこそ、繰り返しになりますが、給付金は「介護に専念するためのお金」ではなく「働き続けるための体制を整える初期投資」と捉えるのが正解です。施設見学やケアマネジャーとの契約、住環境の整備など、自分が仕事に戻っても介護が回る準備に使いましょう。

その他、見落としやすいポイント

  • 申請忘れ・続柄書類の取得遅れ:期限内に書類が揃わず遅れがち。時効は2年あるが、早めの準備が安心
  • 転職直後の空白期間:雇用保険の加入期間が足りないと受給できないことがある
  • 休業中の社会保険料の持ち出し:給付の手取り感を圧迫する。事前にシミュレーションを

給付金の先を見据える|93日後も働き続けるための住まいの選択肢

介護休業給付金は、あくまで「働きながら介護を続ける体制」をつくるための助走です。93日のうちに考えておきたいのが、「自分が仕事に戻った後、親の介護がどこで・どう続くのか」という住まいの問題です。

家族の介護を理由に離職する人は、いまも年間約10.6万人にのぼります24。離職は収入・キャリア・年金に長く影響するため、できる限り避けたい選択です。

住まいの選択肢を比較してみる

親の介護を見据えた住まいには、いくつかの選択肢があります。費用・プライバシー・介護のしやすさ・将来の扱いといった観点で整理してみましょう。

※費用や設置条件は地域・条件で異なるため、最新情報の確認が必要です。

選択肢初期費用の目安プライバシー介護負担と距離将来の扱い
完全同居低〜中確保しにくい距離が近く負担が集中しやすい住み続ける/改修
近居確保しやすい通う手間がかかる各自の住居として継続
自宅リフォーム中〜高間取りによる同居前提だと負担集中資産として残る
施設入居高(月額も継続)確保しやすい専門職に任せられる退去で終了
別棟介護(庭に設置)確保しやすい近いが生活は分離使用後に買取の可能性

「近いけれど、ほどよい距離」を保つ別棟介護という選択肢

選択肢の一つとして、自宅の庭に介護専用の別棟を設置する「別棟介護」があります。当社のC’ZBシニアリビングを例にご紹介します。

工場で完成させた建物をクレーン付きトラックで運んで設置するため、自宅のリフォーム工事は不要です。冬の寒さや夏の暑さがこたえる高齢者の生活を想定し、高断熱仕様でヒートショック対策にも配慮しています。

使い終えた後は買取が可能な場合があり、従来の建物のような解体費用を抑えられる点も特徴です。サイズは一人用から夫婦世帯用まで選べ、連結して広げることもできます。

一方で、庭などの設置スペースがある戸建てには向いていますが、十分な敷地がない場合や、親が同じ屋根の下での同居を強く望む場合には適しません。また、建築確認や固定資産税、地域の設置条件などは事前の確認が必要です(条件は自治体により異なります)。

「同居は気疲れするが、施設に入れるのはまだ早い」「近くで見守りたいが、お互いの生活は分けたい」。そうしたご家庭には、検討する価値のある選択肢と考えられます。

住まいの工夫や別棟介護の詳しい仕組みは、シニアリビングのサービスページで紹介しています。

【今日からできる】介護休業給付金 準備チェックリスト

最後に、今日から動けるように準備の手順をまとめます。介護は「初動の早さ」がその後を大きく左右します。

CheckList
  • 受給条件をセルフチェック:雇用保険の加入期間、有期雇用の要件、対象家族の状態を確認する
  • 会社の人事へ早めに相談:介護休業の申し出は、原則として休業開始予定日の2週間前まで
  • 必要書類を準備:マイナンバー(または続柄がわかる書類)と、本人名義の振込口座を用意
  • 手取りをシミュレーション:社会保険料・住民税の負担額を人事に確認し、休業中の持ち出しに備える
  • 地域包括支援センターへ相談:要介護認定の申請やケアプランづくりを並行して進め、体制構築を始める
  • 休業後の住まいを検討:仕事に戻った後も介護が回る環境(在宅サービス・住まいの工夫)を考えておく

介護休業給付金は、あなたが仕事を辞めずに介護と向き合うための、心強い支えです。制度を正しく理解し、93日という時間を「体制づくり」に賢く使ってください。

よくある質問

Q
パートや契約社員でも介護休業給付金はもらえますか?
A

条件を満たせばもらえます。令和4年(2022年)の法改正で「1年以上の雇用」という要件は撤廃され、現在は「介護休業開始から93日経過後の6か月までに契約が満了して更新されないことが明らかでない」ことが満たせれば対象になります。あわせて、雇用保険の加入期間(休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上)の条件も確認しましょう。

Q
親がまだ要介護認定を受けていなくても対象になりますか?
A

対象になる場合があります。要介護2以上であれば認められますが、認定を受けていなくても、ハローワークが定める12項目の判断基準(「2週間以上、常時介護を必要とする状態」)を満たせば対象になり得ます。認定待ちの段階でも諦めず、勤務先やハローワークに相談してみてください。

Q
介護休業中に少しだけ仕事をしても給付金はもらえますか?
A

制限の範囲内なら受け取れます。1か月ごとの支給単位期間で、就業した日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)であることが条件です。また会社から支払われる賃金が休業前の80%以上になると不支給になるため、休業中は思い切って完全に休むのが安心です。

Q
介護休業給付金に税金はかかりますか?確定申告は必要ですか?
A

給付金は非課税で、所得税はかかりません。そのため給付金そのものについて確定申告をする必要は基本的にありません。ただし、育児休業と違って休業中も健康保険料・厚生年金保険料・住民税は発生し続けるため、その分の支払いには備えておきましょう。

Q
介護休業給付金はいつ振り込まれますか?
A

介護休業が終わった後、おおむね1〜3か月後です。会社が休業中の実績を確定させてからハローワークへ申請し、審査(通常1〜2週間)を経て支給決定通知書が発行され、その約1週間後に振り込まれます。休業中はリアルタイムで入金されないため、その間の生活費は貯蓄で準備しておくことが大切です。

まとめ

介護休業給付金は、あなたが仕事を辞めずに親の介護と向き合うための、心強いセーフティネットです。賃金の約67%が通算93日まで支給されますが、額面どおりに手元に残るわけではないこと、そして受給には条件と手続きの正しい理解が欠かせないことを押さえておきましょう。

何より大切なのは、この93日を「自分で介護する時間」ではなく、「働きながら介護を続ける体制を整える時間」として使うことです。

この記事の要点を振り返ります。

Point
  • 支給額は「休業前賃金の約67%」。ただし社会保険料・住民税は休業中も発生するため、手取りは目減りする
  • 受給条件は、雇用保険の加入期間・有期雇用の要件・就労や賃金の制限・対象家族の状態の4〜5点で判断できる
  • 申請は原則として会社が行い、あなたは申出書・続柄書類(またはマイナンバー)・振込口座を用意すればよい
  • 振込は休業終了後にまとめて。申請期限を過ぎても2年の時効内なら諦めない
  • 給付金は長い介護の「初期投資」。93日のうちに、自分が仕事に戻っても回る環境づくりを進める

体制づくりのなかで意外と後回しになりがちなのが、「親の介護をどこで・どう続けるか」という住まいの問題です。完全同居や施設だけでなく、自宅の庭に介護専用の別棟を設ける「別棟介護」という選択肢もあります。「近くで見守りたいけれど、お互いの生活は分けたい」というご家庭には、検討する価値のある方法です。

まずは気軽に、シニアリビング(別棟介護)のサービスページで仕組みや費用感をのぞいてみてください。あなたとご家族にとって無理のない両立の形が、きっと見つかるはずです。

脚注

  1. 厚生労働省「介護休業制度特設サイト(育児・介護休業法)」(2025). https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/ ↩︎
  2. 厚生労働省「介護休業制度特設サイト(育児・介護休業法)」(2025). https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/ ↩︎
  3. 厚生労働省「介護休業制度特設サイト(育児・介護休業法)」(2025). https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/ ↩︎
  4. 公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎
  5. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  6. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  7. 厚生労働省「令和7年8月1日から支給限度額が変更になります(雇用保険の介護休業給付等)」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/001520023.pdf ↩︎
  8. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  9. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  10. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  11. 厚生労働省「令和4年4月より有期雇用労働者の育児・介護休業給付の要件を一部緩和します」(2022). https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000903740.pdf ↩︎
  12. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  13. 厚生労働省 京都労働局「雇用保険業務取扱要領 第11章 介護休業給付について」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/001967471.pdf ↩︎
  14. 厚生労働省「介護休業制度特設サイト(育児・介護休業法)」(2025). https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/ ↩︎
  15. 厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」(2025・令和7年4月1日適用). https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/img/common/youkaigo.pdf ↩︎
  16. 厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」(2025・令和7年4月1日適用). https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/img/common/youkaigo.pdf ↩︎
  17. 厚生労働省 東京ハローワーク「介護休業給付申請の概要・手続きの流れ」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/shinagawa/jigyounushi/koyoukeizoku_00005.html ↩︎
  18. 厚生労働省 東京ハローワーク「介護休業給付申請の概要・手続きの流れ」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/shinagawa/jigyounushi/koyoukeizoku_00005.html ↩︎
  19. 厚生労働省 東京ハローワーク「介護休業給付申請の概要・手続きの流れ」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/shinagawa/jigyounushi/koyoukeizoku_00005.html ↩︎
  20. 厚生労働省 東京ハローワーク「介護休業給付申請の概要・手続きの流れ」(2024). https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/shinagawa/jigyounushi/koyoukeizoku_00005.html ↩︎
  21. 厚生労働省「雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能です」(2023). https://www.mhlw.go.jp/content/001571595.pdf ↩︎
  22. 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(令和7年4月1日から段階的に施行)」(2024). https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf ↩︎
  23. 公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎
  24. 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査結果」(2023). https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf ↩︎