訪問介護とは?サービス内容・料金・できないことを徹底解説

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「自宅で介護を続けたいけれど、家族だけではもう手が回らない」。
「訪問介護ってよく聞くけど、具体的に何をしてくれて、料金はいくらかかるの?」

親の介護が現実になりはじめたとき、多くのご家族がこうした不安にぶつかります。仕事や自分の生活を続けながら、親を支えていけるのか——。その心強い味方になるのが、介護保険の「訪問介護(ホームヘルプサービス)」です。

ただ、サービスの中身や料金、そして「頼めること・頼めないこと」の線引きは、意外と知られていません。

この記事では、訪問介護で受けられるサービスの中身から、料金の仕組みと月額の目安、利用の始め方、そして意外と多い「できないこと」とその補い方まで、介護がはじめての方にもわかるように、ひとつずつ整理してお伝えします。読み終えるころには、「うちの場合はどう使えばいいか」がきっと見えてくるはずです。

この記事でわかること
  • 訪問介護で受けられる3種類のサービス内容(身体介護・生活援助・通院等乗降介助)
  • 料金の仕組みと、要介護度別の月額自己負担の目安・負担を軽くする制度
  • 「できること・できないこと」の境界線と、できないことの補い方
  • 利用を始めるまでの流れと、知っておきたい注意点(担い手不足・制度改定の動き)
  • 訪問介護をスムーズに受けるための住環境の工夫

【結論】訪問介護でできること・料金の早わかり

「自宅で介護を続けたいけれど、家族だけでは手が回らない」。そんなとき頼れるのが訪問介護です。まず、この記事の要点を先にお伝えします。

  • サービスは大きく3種類です。体に直接触れる「身体介護」、家事を手伝う「生活援助」、通院時の「通院等乗降介助」に分かれます。対象は原則として要介護1〜5の方です。
  • 自己負担は原則1割(所得により2割または3割)。たとえば要介護2の方が週2回の身体介護と週1回の生活援助を使った場合、月の自己負担はおよそ5,000円前後が一つの目安です(加算や地域、所得で変わります)。
  • 頼めないこともあります。医療行為や、家族のための家事、大掃除や庭仕事などは介護保険の対象外です。ただし、自費サービスや自治体の支援で補う方法があります。

訪問介護は、介護保険サービス全体の中の「居宅サービス」の一つです。制度の全体像から確認したい方は、別記事「介護保険サービスの種類と使い方」もあわせてご覧ください。それでは、サービス内容・料金・できること/できないことを順番に詳しく見ていきましょう。

訪問介護とは?基本と対象になる人

訪問介護とは、資格を持った訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、日常生活のサポートを行う介護保険サービスです。食事や入浴など体に直接触れて行う「身体介護」と、掃除や調理など家事を手伝う「生活援助」が柱になります。

目的は、利用者が可能な限り住み慣れた自宅で自立した生活を続けられるよう支えることです。同時に、介護する家族の身体的・精神的な負担を軽くする役割もあります。

対象になるのは「要介護1〜5」の方

訪問介護を利用できるのは、原則として要介護1〜5の認定を受けた方です。では、要支援1・2の方はどうなるのでしょうか。

実は、ここは制度が変わった重要なポイントです。かつて「介護予防訪問介護」と呼ばれていた要支援者向けの訪問サービスは、現在は「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の訪問型サービスへ移行しています1

総合事業は市区町村が運営するため、サービス内容や料金はお住まいの自治体によって異なります。要支援の親御さんの場合は、地域包括支援センターや市区町村の窓口で、地域でどんな訪問型サービスが使えるかを確認しましょう。

この記事では、主に要介護1〜5の方向けの訪問介護を中心に解説します。

ホームヘルパーはどんな人?

実際に自宅を訪問してケアを提供するのが訪問介護員(ホームヘルパー)です。介護福祉士の国家資格を持つ人や、「介護職員初任者研修」「実務者研修」を修了した人が担います。「知らない人が家に来るのは少し緊張する」と感じる方もいますが、専門的な知識と技術を持って、利用者に寄り添ったケアを行う心強いパートナーです。

訪問介護で受けられるサービス内容

訪問介護のサービスは、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて提供されます。内容は大きく「身体介護」「生活援助」「通院等のための乗車・降車等介助」の3種類です。それぞれ具体的に見ていきましょう。

身体介護:体に直接触れて行う介助

身体介護は、利用者の日常生活動作や意欲の向上を目的に、専門的な技術で行うケアです。主な内容は次のとおりです。

項目主な内容
食事介助配膳や食材のひと手間、食事中の見守り・一部介助、摂取量の確認、食後の服薬介助など。
入浴介助全身浴・部分浴・清拭の準備、洗身・洗髪、着替えの介助、入浴後の保湿など。
排泄介助トイレ誘導、おむつ交換、ポータブルトイレの介助、陰部の清拭など。
更衣介助寝間着から普段着への着替え、体調に合わせた衣服選び、外出時の着脱の手伝い。
体位交換寝たきりの方の床ずれ(褥瘡)予防のために、定期的に体の向きを変える介助。
移動・移乗介助起き上がり、車椅子への移乗、室内移動の付き添い、歩行の見守りなど。
起床・就寝介助起床時の介助、洗面・歯磨きなどの整容、就寝準備やベッドへの移動介助。
その他口腔ケア、整容(爪切り・整髪など)、服薬の声かけや内服確認。

なかでも入浴介助は、家族が自宅で行うときに最も気をつかう場面のひとつです。在宅で安全に入浴を手伝うための具体的な手順やコツ、便利な福祉用具については、「入浴介助の手順|安全を守る3鉄則と便利グッズ・サービス」でくわしく解説しています。

また、排泄介助も毎日くり返される負担の大きいケアです。在宅でのおむつ交換やトイレ誘導の進め方、ポータブルトイレの選び方のコツは、「排泄介助の基本とコツ|おむつ交換・トイレ誘導・ポータブルトイレの選び方」でくわしく解説しています。

生活援助:日常生活の家事などを手伝う

生活援助は、利用者本人が家事を行うのが難しい場合に、日常生活に必要な範囲で家事を手伝うサービスです。

項目主な内容
掃除利用者が日常的に使う居室・トイレ・浴室・キッチンの掃除、ゴミ出し。
洗濯衣類やシーツの洗濯、取り込み、たたんで収納する作業。
調理利用者本人のための調理・配膳・後片付け。一緒に作って自立を促す場合も。
買い物代行食料品や日用品の買い物代行。金銭の扱いは明確なルールに基づきます。
薬の受け取りかかりつけ薬局などへ処方薬を受け取りに行く代行。
その他ベッドメイク、衣類の整理(衣替えなど)、簡単な補修。

ここで注意したいのが、生活援助は「家事代行サービス」ではないという点です。あくまで利用者本人の自立を支えるためのもので、同居家族がいる場合は原則として利用できません2

たとえば「子世帯が共働きで日中いないから、親の昼食を作りに来てほしい」という理由では、原則として認められないのが実情です。家族が病気や障害などで家事を行うのが難しい場合に限って、ケアプランに位置づけられます。

通院等のための乗車・降車等介助

これは、利用者が通院などで外出する際に、車両への乗り降りを介助するサービスです。いわゆる「介護タクシー」を利用するときに組み合わされることがあります。

ただし、訪問介護員が自ら運転する車での移送そのものは、原則として介護保険の対象外です(※道路運送法に関わるため)。あくまで乗降や院内の移動介助が中心になります。

これらのサービスはすべてケアプランに基づいて提供されます。「これは頼めるかな?」と思ったら、まずは担当のケアマネジャーに相談するのが確実です。

訪問介護と似たサービスの違い

在宅介護で使える「訪問系サービス」は、訪問介護だけではありません。名前が似ていて混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。状態や時間帯に合わせて使い分けることで、より無理のないケアが組み立てられます。

サービス名主な対象担当する専門職主な内容費用の形態
訪問介護要介護の在宅生活者全般ホームヘルパー身体介護・生活援助・通院等乗降介助1回ごとの出来高制。在宅介護のベースとなるサービス
訪問看護医療的な管理・ケアが必要な方看護師・理学療法士など健康チェック、服薬管理、床ずれ処置、リハビリ、終末期ケア1回ごとの出来高制。専門性が高く単価は高め
夜間対応型訪問介護夜間の排泄・体位変換などに不安がある方ホームヘルパー夜間の定期巡回や、通報に応じた随時訪問月額定額+利用回数に応じた料金
定期巡回・随時対応型訪問介護看護1日に何度も短時間のケアが必要な中重度の方ヘルパー・看護師1日複数回の短時間訪問+24時間の通報対応介護度に応じた月額包括(定額)制
訪問入浴介護自宅の浴槽での入浴が難しい寝たきりの方など看護師1名+介護職員2名専用浴槽を積んだ車で訪問し、ベッドサイドで入浴介助1回ごとの出来高制。3名体制で高単価

特に覚えておきたいのが「定期巡回・随時対応型」です。

これは月額の定額制なので、1日に何度も短い訪問が必要になっても料金が膨らみにくいという特徴があります。要介護度が進んで訪問回数が増えてきたときの選択肢として、後ほど料金の章でも触れます。

訪問介護で「できること・できないこと」一覧

訪問介護はとても便利ですが、介護保険のルール上、「できること」と「できないこと」に明確な線引きがあります。これを知らないと、ヘルパーさんに頼んで断られて気まずい思いをしたり、トラブルになったりすることも。先に理由とあわせて押さえておけば、安心して依頼できます。

大前提として、訪問介護は「利用者本人の自立を支える」ことが目的です。この趣旨から外れるものは「できないこと」になる、と考えると整理しやすくなります。

① 医療行為にあたるもの

ホームヘルパーは医療従事者ではないため、医師や看護師が行うべき医療行為はできません。

  • 痰の吸引(※一定の研修を受けた介護職員等は、特定の条件下で実施可能な場合があります)
  • インスリン注射、血糖測定
  • 褥瘡(床ずれ)の処置
  • 経管栄養のチューブ挿入・交換、胃ろうの管理(※注入そのものは条件により可の場合あり)
  • 点滴の管理/摘便

こうした医療的なケアが必要な場合は、前述の訪問看護が担当します。

② 利用者本人以外のための行為

訪問介護は本人を支えるサービスなので、同居家族のための行為は対象外です。「本人のため」ではないから、と考えると分かりやすいでしょう。

  • 同居家族の分の食事の準備、洗濯、掃除
  • 来客へのお茶出しや応対
  • ペットの世話(散歩、餌やり、トイレの始末)
  • 家族が使う部屋の掃除や庭の手入れ
  • 子や孫の世話、留守番

③ 日常生活の援助の範囲を超える行為

生活援助は「日常生活に最低限必要な範囲」が原則です。それを超える特別な作業は、通常は対象外になります。

  • 大掃除(窓拭き、換気扇掃除、ワックスがけなど普段しない作業)
  • 庭の草むしりや植木の手入れ
  • 家具の移動や模様替え、大掛かりな整理
  • 手の込んだ料理(おせち、来客用の料理など)
  • 預貯金の引き出しや公共料金の支払いなどの金銭管理(日常の買い物代行内での金銭の扱いは可)
  • 趣味・娯楽目的の外出の付き添い(※心身機能の維持を目的とした散歩は、ケアプランに位置づければ可能な場合あり)

「あれもこれもお願いできるわけではないんだな」と感じたかもしれません。でも、できないことにはちゃんと補う方法があります。次の章で具体的に見ていきましょう。

「できないこと」をどう補う?3つの解決策

介護保険で頼めないことは、「諦めるしかない」わけではありません。公的な制度と民間のサービスをうまく組み合わせることで、現実的に解決できるケースが多くあります。

① 介護保険外(自費)の訪問サービスを併用する

同居家族の分の家事、大掃除、草むしり、ペットの世話、長時間の見守りなど、保険でカバーできないニーズには、全額自己負担の自費サービスを使う方法があります。

自費なら利用回数や内容の制限はありません。料金は事業者によって異なりますが、1時間あたり3,000〜7,000円程度が一つの目安です(事業者により異なります)。

たとえば、週の前半は介護保険の身体介護で入浴や排泄のケアを受け、週末は自費サービスで一週間分の作り置きや長時間の付き添いを頼む、といった組み合わせ方が考えられます。

② 自治体の総合事業・ボランティアを活用する

ゴミ出し、買い物同行、電球交換といった軽微な支援なら、自治体の総合事業や、住民主体の生活支援サービス、ボランティアが役立ちます。

シルバー人材センターやNPOが担い手となるケースもあり、民間の自費サービスより安価に利用できることが多いのが特徴です。どんな支援があるかは地域差が大きいので、地域包括支援センターや市区町村の福祉窓口で早めに確認しておきましょう。

③ 金銭管理は専用の制度に任せる

預貯金の引き出しや財産管理は、ヘルパーには頼めません。親の認知機能が低下して金銭管理に不安が出てきたら、家族だけで抱え込まず、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」を活用する方法があります。

利用料は自治体により異なりますが、1回1,000〜2,000円程度で、日常的なお金の管理や通帳の預かりを安全に任せられます。判断能力の低下が進んだ場合は、成年後見制度へのステップアップを検討します。

訪問介護の料金・費用と自己負担のすべて

ここが多くの方が一番気になるところでしょう。「結局、月にいくらかかるの?」という疑問に、仕組みから具体的な目安まで順番にお答えします。

料金はどうやって決まる?

訪問介護の料金は、次の式で計算されます。

サービスの単位数 × 1単位あたりの金額(地域区分単価) × 自己負担割合(1〜3割)

「単位数」は、サービスごとに全国共通で定められたポイントのようなものです。これに地域ごとの単価を掛けて金額に換算します。

1単位は基本10円ですが、人件費の高い都市部では割増され、たとえば東京23区など最も高い1級地では1単位あたり約11.40円になります3。つまり、同じサービスでも住む地域で請求額が変わるのです。

さらに、早朝(6〜8時)・夜間(18〜22時)は25%増、深夜(22〜6時)は50%増になります。事業所が取得している「介護職員等処遇改善加算」などの加算によっても総額は変わります。

1回あたりの料金の目安(2024年度改定後)

2024年度(令和6年度)の介護報酬改定後の単位数をもとにした、1回あたりの目安です4。自己負担1割・1単位10円で計算した概算で、各種加算は含みません。

区分時間単位数自己負担(1割)の目安
身体介護中心20分未満163単位約163円/回
20分以上30分未満244単位約244円/回
30分以上1時間未満387単位約387円/回
生活援助中心20分以上45分未満179単位約179円/回
45分以上220単位約220円/回
通院等乗降介助1回97単位約97円/回

これらはあくまで基本的な目安です。実際の料金は、サービス内容・時間帯・事業所の体制・お住まいの地域で変わります。契約前にケアマネジャーや事業者から見積もりを確認しましょう。※最新の単価は自治体や事業所で要確認

1か月に使える上限「区分支給限度基準額」

介護保険は無制限に使えるわけではありません。要介護度ごとに、1か月に使えるサービス費用の上限(区分支給限度基準額)が決まっています5。この枠内なら自己負担1〜3割で済みますが、枠を超えた分は全額自己負担になるので注意が必要です。

区分1か月の上限(単位)
要支援15,032単位
要支援210,531単位
要介護116,765単位
要介護219,705単位
要介護327,048単位
要介護4・5上記よりさらに高く設定されています

訪問介護だけでなく、デイサービスや福祉用具レンタルなど、利用するすべての居宅サービスの合計がこの枠で管理されます。ケアプランを作る際は、ケアマネジャーがこの上限を意識して組み立ててくれます。

月額はどのくらい?(要介護2の試算例)

具体的にイメージできるよう、一つの試算例を見てみましょう。あくまで一例で、加算・地域・所得により変わります。

  • 条件:要介護2、自己負担1割、1単位10円の地域
  • 利用内容:身体介護(30分以上1時間未満=387単位)を週2回、生活援助(45分以上=220単位)を週1回

1か月を4週とすると、身体介護387単位×8回=3,096単位、生活援助220単位×4回=880単位で、合計3,976単位。これに事業所の処遇改善加算などが上乗せされます。

仮に総額がおよそ4,950単位(=約49,500円)になると、1割負担なら月の自己負担はおよそ4,950円〜5,000円が目安です。この水準なら要介護2の上限(19,705単位)には十分収まります。

なお、訪問介護を含めた在宅介護全体でかかる費用の内訳をもっと詳しく知りたい方は、別記事「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす制度」もあわせてご覧ください。

自己負担割合は所得で変わる(1〜3割)

自己負担の割合は、本人の所得で決まります6。毎年6〜7月ごろに届く「介護保険負担割合証」で確認できます。

  • 1割:合計所得金額160万円未満(年金収入のみの単身者で年収約280万円未満が目安)など
  • 2割:合計所得金額160万〜220万円未満(同・年収約280万〜340万円未満)
  • 3割:合計所得金額220万円以上(同・年収約340万円以上)

市区町村民税が非課税の方や生活保護受給者などは、所得にかかわらず1割負担です(※判定基準は要確認)

家計を守る「高額介護サービス費」

「1割でも、毎月積み重なると負担が大きい」という不安もありますよね。そんなときの安全網が高額介護サービス費です7。1か月の自己負担額の合計が、所得区分ごとに定められた上限を超えた場合、申請すれば超えた分が払い戻されます。

区分自己負担の上限(月額)
生活保護受給者など15,000円(世帯)
世帯全員が住民税非課税個人15,000円・世帯24,600円
一般所得(課税世帯)44,400円(世帯)
現役並み所得所得に応じて最大140,100円(世帯)

ただし、住宅改修費や福祉用具購入費はこの合算の対象外です。「思ったより負担が膨らんだ」という月でも、この制度で一定額に抑えられると知っておくと安心です。

訪問介護を利用するまでの流れ

「使ってみたいけれど、何から始めれば?」という方へ、利用開始までの基本的なステップを紹介します。

  1. 相談する
    まずはお住まいの地域包括支援センターや市区町村の窓口へ。すでに要介護認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーに直接相談します。
  2. 要介護認定を申請する
    未申請なら市区町村で申請します。認定調査と主治医意見書をもとに要介護度が決まります。認定には時間がかかるため、早めの申請が肝心です。※詳しくは「要介護認定は先に申請しておくべき?」を参照ください。
    なお、親と同居していると認定で不利になるのでは、と心配される方もいますが、その実情は「介護認定は同居で不利?」で解説しています。
  3. ケアプランを作成する
    ケアマネジャーが本人・家族の希望や状態をふまえてケアプランを作ります。作成費用は全額保険給付で自己負担はありません
  4. 事業者と契約する
    ケアプランに沿って訪問介護事業者を選び、契約します。重要事項説明書はよく確認しましょう。
  5. サービス利用開始
    ホームヘルパーが訪問し、ケアプランに沿ったサービスが始まります。初回はサービス提供責任者が同行することが多いです。

この一連の流れを支えてくれるのがケアマネジャーです。地域の社会資源に詳しく、家族の事情にも理解のあるケアマネジャーと早い段階で信頼関係を築くことが、無理のない在宅介護への近道になります。

利用前に知っておきたい注意点・リスク

訪問介護には大きなメリットがある一方で、知らずにいると戸惑う「限界」や、いまの介護業界が抱える課題もあります。良い面も難しい面も公平にお伝えします。

メリットと限界

メリットは、住み慣れた自宅での生活を続けられること、専門職による安全なケアを受けられること、そして家族の負担が確実に軽くなることです。

一方で限界もあります。前述のとおり、できることはケアプランの範囲内に限られ、「頼みたいことすべてを何でも」というわけにはいきません。

「ヘルパーが見つからない」という現実

見落としがちですが、いま訪問介護は深刻な担い手不足に直面しています。

訪問介護員の有効求人倍率は近年14倍を超える水準で推移しており8、求職者1人に対して14件以上の求人がある計算です。さらに、2025年の介護事業者の倒産は過去最多の176件にのぼり、なかでも訪問介護の倒産が目立っています9

全国の訪問介護員は約52万人と在宅介護を支える大きな基盤ですが10、地域によっては「制度上は使えても、引き受けてくれる事業所が見つからない」というケースも出てきています。だからこそ、早めの相談と、複数の事業所を視野に入れた準備が大切になります。

制度は変わりうる(2027年度改定の動き)

介護保険制度は数年ごとに見直されます。2027年度(令和9年度)の次期改定に向けては、「要介護1・2の軽度者向け訪問介護を総合事業へ移す案」や「2割負担の対象者を広げる案」などが論点として議論されています。

今後は、給付の縮小と利用者負担の増加に向かう可能性があると考えられます(※あくまで現時点の議論であり、最新情報は要確認)。費用面には少し余裕を見ておくと安心です。

訪問介護を上手に使うコツとマナー

同じサービスでも、ちょっとした心がけで満足度は大きく変わります。気持ちよく利用するためのポイントをまとめます。

  • ケアマネジャーと密に情報を共有する
    困りごとや体調の変化は、小さなことでも遠慮なく伝えましょう。それがプラン改善につながります。
  • 依頼したいことを事前に明確にする
    訪問前にその日お願いしたいこと(プランの範囲内で)をメモしておくとスムーズです。
  • ヘルパーと良好な関係を築く
    感謝を言葉で伝え、要望は具体的かつ穏やかに。記録(サービス実施記録)の内容確認も習慣にしましょう。
  • 他人が家に入ることへの配慮
    抵抗を感じるのは自然なことです。貴重品は鍵のかかる場所に保管するなど自己管理を徹底し、ヘルパーのプライバシーにも配慮して個人的な詮索は控えると、互いに気持ちよく過ごせます。

なお、ヘルパーはケアプランで定められた範囲のサービスを提供する専門職です。過度な要求や個人的な頼みごとは避け、どうしても相性が合わない場合は我慢せずケアマネジャーや事業所に相談しましょう。担当の変更を検討してもらえることもあります。

訪問介護を受けやすい住環境とC’ZBシニアリビング

意外と見落とされがちですが、訪問介護をスムーズに、そして安全に受けるには住環境がとても重要です。介護に向いていない住まいで無理にケアを受けようとすると、介助中の事故リスクが高まったり、家族のプライバシーが保ちにくくなったりします。

訪問介護を受ける際によくある住環境の課題

  • 介助スペースの不足:トイレや浴室が狭く、ヘルパーが介助する余裕がない。ベッド周りも物が多くて動きにくい。
  • 動線の悪さや段差:寝室からトイレまでに段差があり、車椅子で通りにくい。
  • 介護用品の置き場所がない:おむつや福祉用具の収納場所がなく、部屋が雑然とする。
  • 家族のプライバシーとの兼ね合い:ヘルパーの出入りで同居家族が落ち着かない。

選択肢の一つとしての「C’ZBシニアリビング」

こうした住環境の課題を解決する新しい選択肢の一つが、私たち株式会社アイデアがご提案する、庭などの敷地内に設置する独立型の介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」です。

仕様面の特徴は次のとおりです。

  • 十分な介助スペース:トイレ・浴室・ベッド周りに、介助しやすいゆとりある設計が可能。
  • 完全バリアフリー:室内に段差がなく、開口の広い引き戸を標準とし車椅子移動もスムーズ。
  • 母屋から独立した空間:ヘルパーの出入りや物音を母屋に気兼ねなく、お互いのプライバシーを保てる。
  • 必要な設備のカスタマイズ:手すりの位置や水まわり設備を、利用者の状態に合わせて調整できる。

一方で、向き不向きもあります。

庭などに設置スペースがある住まいには向きますが、敷地に余裕がない場合は難しくなります。導入には初期費用がかかり、設置の可否は土地の条件や法規制によって異なるため、事前の確認が必要です。費用・プライバシー・介護負担・将来の扱い(使用後の買取の可否など)・設置条件を、リフォームや施設入居といった他の選択肢と比べて検討するとよいでしょう。

なお、こうした離れ・介護ハウスで介護保険サービスが使えるかどうかは、「介護保険は離れで使える?対象サービス・条件・費用を徹底解説」で詳しく解説しています。

よくある質問

Q
訪問介護では、具体的にどんなことをしてもらえますか?
A

大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3種類です。食事や入浴、排泄などの介助が身体介護、本人のための掃除・洗濯・調理などが生活援助、通院時の乗り降りの介助が通院等乗降介助にあたります。これらをケアプランに基づいて組み合わせて利用します。

Q
訪問介護の料金は、月にどれくらいかかりますか?
A

自己負担は原則1割で、利用するサービスの量によって変わります。たとえば要介護2の方が週2回の身体介護と週1回の生活援助を使う場合、月の自己負担はおよそ5,000円前後が一つの目安です(加算・地域・所得により変動します)。負担が一定額を超えた場合は「高額介護サービス費」で払い戻される仕組みもあります。

Q
同居している家族がいても、生活援助は頼めますか?
A

原則としては頼めません。生活援助は利用者本人の自立を支えるためのもので、同居家族がいる場合は対象外となるのが基本です。ただし、家族が病気や障害などで家事を行うのが難しい場合は、ケアプランに位置づけられれば利用できることがあります。

Q
ヘルパーさんに頼めないことは、どうすればいいですか?
A

介護保険外(自費)の訪問サービスや、自治体の総合事業・ボランティアで補う方法があります。大掃除や庭仕事、同居家族の分の家事などは自費サービスなら回数や内容の制限なく依頼できます。お金の管理は社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」などを活用できます。

Q
訪問介護を利用したいのですが、どこに相談すればいいですか?
A

まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」か、市区町村の介護保険窓口に相談するのが第一歩です。そこで要介護認定の申請やケアマネジャーの紹介について案内してもらえます。認定には時間がかかるため、早めに動き始めるのがおすすめです。

まとめ:訪問介護を理解し、無理のない在宅介護を

訪問介護は、住み慣れた自宅での暮らしを続けたい高齢者と、それを支えるご家族にとって、欠かせない心強いサポートです。サービスの中身と料金、そして「できること・できないこと」の線引きを正しく理解し、ケアマネジャーと良い関係を築くことが、上手に活用するための一番の近道になります。

この記事のポイント
  • 訪問介護は「身体介護・生活援助・通院等乗降介助」の3種類。対象は原則として要介護1〜5の方
  • 自己負担は原則1割で、要介護度ごとに使える上限がある。負担が重い月は高額介護サービス費で抑えられる
  • 医療行為や家族のための家事などは頼めないが、自費サービスや自治体の支援で補える
  • 担い手不足や制度改定の動きもあるため、早めの相談と最新情報の確認が大切
  • 訪問介護をスムーズに受けるには、介助スペースや動線など住環境を整えることも効果的

なお、本記事の制度・金額は2026年5月時点の情報です。介護報酬や負担割合は数年ごとの改定で変わるため、最新の内容は必ずお住まいの自治体やケアマネジャーにご確認ください。介護保険サービス全体の地図を知りたい方は、「介護保険サービスの種類と使い方」もあわせてご覧ください。

そして、日々の介護をより安全に、より快適にするためには、住まいの環境を整えることも大きな助けになります。「母屋とは別に、介護に適した空間がほしい」とお考えなら、庭に設置できる介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」も選択肢の一つです。

気になる方は、まずはお気軽にサービスの詳細ページをのぞいてみてください。適切なサポートと快適な住環境があれば、住み慣れた自宅での暮らしを、より長く、より穏やかに続けていけるはずです。

脚注

  1. 介護予防・日常生活支援総合事業への移行および生活援助の利用ルール — 浜松市「訪問介護(生活援助中心型)の回数が多いケアプランの届出」https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kaigo/welfare/caresp/news/houmonkaigotodokede.html
    中井町「介護予防・日常生活支援総合事業 単位数サービスコード表 https://www.town.nakai.kanagawa.jp/material/files/group/13/service_cord_nakai_R1_10-2.pdf ↩︎
  2. 介護予防・日常生活支援総合事業への移行および生活援助の利用ルール — 浜松市「訪問介護(生活援助中心型)の回数が多いケアプランの届出」https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kaigo/welfare/caresp/news/houmonkaigotodokede.html
    中井町「介護予防・日常生活支援総合事業 単位数サービスコード表 https://www.town.nakai.kanagawa.jp/material/files/group/13/service_cord_nakai_R1_10-2.pdf ↩︎
  3. 1単位あたりの地域区分単価 — 「介護報酬の地域区分一覧」https://www.tricare.jp/knowledge/category4/category4_1/2633/
    地域区分 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001146441.pdf ↩︎
  4. 訪問介護の基本報酬(2024年度改定後の単位数) — 「2024年度介護報酬改定 訪問介護の基本報酬改定前後の比較一覧」https://kaigokeiei.com/news/v-c2lwi7p4b/
    厚生労働省 介護報酬関連資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001195509.pdf ↩︎
  5. 区分支給限度基準額 — 「区分支給限度基準額」解説 https://www.nippku.com/rece-mania/rm-5/
    厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000049257.pdf ↩︎
  6. 利用者負担割合(1〜3割)の判定基準 — 厚生労働省「給付と負担について(参考資料)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001119101.pdf ↩︎
  7. 高額介護サービス費の負担上限額 — 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf ↩︎
  8. 訪問介護員の有効求人倍率 — 「訪問介護のヘルパーの有効求人倍率、昨年度は14.14倍」https://i.care-mane.com/times/87549 ↩︎
  9. 介護事業者の倒産件数 — 東京商工リサーチ「2025年『介護事業者』倒産 過去最多の176件」https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202283_1527.html ↩︎
  10. 訪問介護員の従事者数 — 厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service24/dl/press.pdf ↩︎