「要介護2」と書かれた認定結果の通知を手に、「これって、どのくらいの状態なの?」「何のサービスがいくら使えるの?」と戸惑っていませんか。区分の名前を見ても、親をこのまま家で支えられるのか、すぐには判断できないですよね。
そんな不安を解消する第一歩が、要介護度の「違い」と「使えるサービス」を正しく知ることです。
要介護度は8段階あり、区分ごとに状態像も、受けられるサービスも、保険で使える上限額も変わります。ここを押さえれば、ケアマネジャーへの相談も、これからの備えも、ぐっと進めやすくなります。
この記事では、はじめて介護に向き合うご家族に向けて、次のことを一気に整理します。
- 【結論】要介護度は「介護の手間」で決まる8段階|まず全体像を3分で
- 要介護度とは?要支援と要介護の根本的な違い
- 【一覧表】要支援1〜要介護5の状態像と目安
- 各区分の状態像|できること・できないことの目安
- 【迷いやすい】隣り合う区分の違い|要支援2と要介護1・要介護1と要介護2
- 要介護度で受けられるサービスはどう違う?
- 【一覧表】区分別の支給限度額と自己負担の目安
- 要介護度はどう決まる?認定の流れと「納得できないとき」
- 介護度が上がると何が変わる?メリット・デメリットと将来設計
- 【在宅で支えきれる?】区分別の在宅介護の現実と限界のサイン
- 在宅を続けるための「住まい」の選択肢
- 【実行手順】認定結果が出たら、今日からやることチェックリスト
- よくある質問
- まとめ|要介護度を知ることが、後悔しない介護の第一歩
- 脚注
【結論】要介護度は「介護の手間」で決まる8段階|まず全体像を3分で
はじめに、この記事の結論からお伝えします。要介護度とは、「その人にどれだけ介護の手間がかかるか」を示す指標です。病気の重さそのものではなく、日常生活を支えるのに必要な手間の大きさで決まります1。区分は軽いほうから、自立(非該当)・要支援1・要支援2・要介護1〜5の全8段階です。
そして、最初に押さえてほしいのが要支援と要介護では「目的」が違うという点です。要支援は状態の維持・改善をめざす「予防給付」、要介護は日常生活そのものを支える「介護給付」が中心になります。この違いが、区分ごとに受けられるサービスや費用の差につながっていきます。
このあと、区分ごとの状態像、隣り合う区分の違い、使えるサービスと費用の上限、そして「在宅でどこまで支えられるか」までを順番に整理していきます。気になるところから読み進めてください。
要介護度とは?要支援と要介護の根本的な違い
要介護度は、介護保険サービスを使うための「ものさし」です。市区町村に申請して認定を受けると、自立(非該当)・要支援1〜2・要介護1〜5のいずれかに分類されます。
この区分を決める中心的な指標が「要介護認定等基準時間」です。これは介護にかかる手間を、全国の介護実態データ(1分間タイムスタディ)をもとにコンピュータで推計した標準的な時間で、実際にご家庭で介護にかける時間そのものではありません2,3。
つまり「うちは大変だから重く出るはず」とは限らない仕組みになっています。この点は、認定結果に納得がいかない原因にもなりやすいところです。
要支援と要介護は「目的」が違う
もっとも大きな違いは、給付の目的です。
- 要支援1・2(予防給付・総合事業):まだ自分でできることが多く、これ以上悪くならないように維持・改善することが目的です。
- 要介護1〜5(介護給付):日常生活に手助けが必要で、生活そのものを支えることが目的です。
同じ「介護保険の認定」でも、要支援と要介護では使えるサービスの種類や名称、ケアプランを立てる窓口まで変わります。介護保険サービス全体の仕組みは、「介護保険サービスの種類と使い方|費用・自己負担まで完全ガイド」でも詳しく解説しています。
なお、要介護度は病名で決まるわけではない点にも注意が必要です。同じ病気でも生活への影響は人によって違うため、状態像はあくまで目安と考えてください。
たとえば、身体は比較的しっかりしていても認知症で目が離せない方が要介護2や3になることもあれば、寝たきりでも介護の手間が一定なら想定より軽く出ることもあります。「重症=重い区分」とは限らないのです。
覚えておきたい3つの数字
細かい仕組みの前に、ざっくり次の3つを押さえておくと全体像がつかめます。
- 8区分:自立・要支援2段階・要介護5段階
- 2つの給付:要支援=予防給付、要介護=介護給付
- 1か月の上限:区分ごとに保険で使える限度額が決まっている
【一覧表】要支援1〜要介護5の状態像と目安
まずは全8区分を一覧で見てみましょう。下の表は、各区分の「要介護認定等基準時間」と、おおよその状態像をまとめたものです4,5。状態像は目安であり、個人差が大きい点を前提にご覧ください。
| 区分 | 要介護認定等基準時間 | 状態像の目安 |
|---|---|---|
| 自立(非該当) | 25分未満 | 歩行・起き上がりなど基本動作や家事もほぼ自分でできる状態。 |
| 要支援1 | 25分以上32分未満 | 日常生活はほぼ自立。掃除など家事の一部に見守りや手助けが必要。 |
| 要支援2 | 32分以上50分未満 | 立ち上がりや歩行に支えが必要な場面が増える。適切な支援で悪化を防げる段階。 |
| 要介護1 | 32分以上50分未満 | 家事に加え、入浴や排泄などにも部分的な介助が必要。思考力・理解力の低下が見られることも。 |
| 要介護2 | 50分以上70分未満 | 着替えや排泄の後始末など、日常動作全般に部分的な手助けが必要。 |
| 要介護3 | 70分以上90分未満 | 入浴・排泄・着替えなど多くの場面で自力が難しく、全面的な介護が必要。 |
| 要介護4 | 90分以上110分未満 | 介護なしでは生活が成り立たない状態。意思疎通が難しくなる場合も。 |
| 要介護5 | 110分以上 | 食事・排泄を含め生活全般に常時介護が必要。意思の伝達が困難なことが多い。 |
表のとおり、要支援2と要介護1は基準時間が同じ(32分以上50分未満)です。なぜ区分が分かれるのかは、後ほど詳しく説明します。
各区分の状態像|できること・できないことの目安
一覧表だけではイメージしにくいので、区分ごとに「どんな生活か」をもう少し具体的に見ていきましょう。ご自身の親御さんの様子と照らし合わせてみてください。
要支援1・要支援2
身の回りのことはおおむね自分でできますが、家事や外出など一部に支えが必要な段階です。要支援1は掃除や買い物の一部に手助けがいる程度、要支援2は立ち上がりや歩行が不安定になり、転倒予防やリハビリの必要性が高まります。
どちらも「介護が必要な状態にならないように予防する」ことが目的で、この段階で適切に支援を受けると、状態の維持・改善が期待できます。
要介護1・要介護2
ここから本格的な「介護」が始まります。要介護1は、立ち上がりや歩行が不安定で、入浴や排泄など一部に介助が必要な状態です。物忘れなど認知機能の低下が見られることもあります。
要介護2になると、着替え・排泄の後始末・入浴など、日常動作の多くで直接的な手助けが日常的に必要になります。
要介護3・要介護4・要介護5
いわゆる「重度」とされる段階です。要介護3は、排泄・入浴・着替えなどがほぼ自力では難しく、全面的な介護が必要になります。特別養護老人ホームへの入所申し込みができるのも、原則この要介護3以上です。
要介護4は介護なしでは生活が成り立たない状態、要介護5は食事や排泄を含め常時介護が必要で、意思の伝達も難しいことが多くなります。
「どの区分まで一人暮らしを続けられるか」が気になる方も多いと思いますが、これは本人の状態だけでなく、住環境やサポート体制によって大きく変わります。詳しくは記事後半の「在宅介護はどこまで可能か」で取り上げます。
【迷いやすい】隣り合う区分の違い|要支援2と要介護1・要介護1と要介護2
検索でも特に多いのが、「要支援2と要介護1」「要介護1と要介護2」など、隣り合う区分の違いに関する疑問です。ここを押さえると、認定結果への納得感がぐっと高まります。
要支援2と要介護1の違い|分かれ目は「2つの観点」
先ほどの表のとおり、要支援2と要介護1は要介護認定等基準時間が同じ(32分以上50分未満)です。では何で分かれるのか。ポイントは次の2つの観点です6。
| 観点 | 要支援2に近い | 要介護1に近い |
|---|---|---|
| 認知機能(認知症高齢者の日常生活自立度) | 安定していて、状態の維持・改善の取り組みを理解できる | 理解力の低下があり、予防の取り組みが難しい |
| 状態の安定性 | おおむね半年は大きく変わらない見込み | 病状が不安定で、半年以内に手間が増える可能性が高い |
つまり、認知機能の低下や状態の不安定さがあると、要介護1と判定されやすくなります。そして要支援2は予防給付、要介護1は介護給付に分かれるため、使えるサービスやケアプランを立てる窓口(要支援は地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所のケアマネジャー)も変わってきます。
この境目は、家族にとって意外に大きな違いになります。要介護1以上になると専任のケアマネジャーがつき、サービスの調整やモニタリングを継続的に担ってくれるためです。
「どちらに転んでもおかしくない状態」のときは、認定調査の場で普段の困りごと(夜間の様子・物忘れの頻度など)を具体的に伝えることが、実態に合った判定につながります。調査員の前では張り切って「できる」と答えてしまう高齢者も多いため、家族が補足メモを用意しておくと安心です。
要介護1と要介護2の違い|「見守り中心」か「直接の介助が日常的か」
こちらは基準時間が明確に異なります(要介護1は32〜50分未満、要介護2は50〜70分未満)。ざっくり言えば、要介護1は「見守りや一部の手助け」で生活が回るのに対し、要介護2は着替え・排泄の後始末など「直接体に触れる介助」が日常的に欠かせなくなった状態と考えると分かりやすいです。
あわせて、車いすや介護ベッドといった福祉用具のレンタルは、原則として要介護2から保険で使いやすくなります(次章で解説します)。
要介護度で受けられるサービスはどう違う?
区分が分かったら、次に気になるのが「で、何が使えるの?」という点です。介護保険のサービスは大きく次のように分類され、要支援(予防給付・総合事業)と要介護(介護給付)で使えるものが変わります7。
| サービス分類 | 要支援1・2 | 要介護1〜5 |
|---|---|---|
| 訪問系(自宅に来てもらう) | 介護予防訪問入浴、総合事業の訪問型など | 訪問介護・訪問入浴・訪問看護など |
| 通所系(通う) | 介護予防通所リハビリ、総合事業の通所型など | 通所介護(デイサービス)・通所リハビリ |
| 短期入所(泊まる) | 介護予防短期入所 | 短期入所生活介護(ショートステイ)など |
| 複合型 | 介護予防小規模多機能型 | 小規模多機能型・看護小規模多機能型 |
| 福祉用具貸与 | 車いす・介護ベッド等は原則対象外(例外給付あり) | 要介護2以上は幅広い用具が対象 |
| 福祉用具購入・住宅改修 | 利用可(購入は年10万円・改修は20万円が上限) | 利用可(同上) |
| 施設サービス | 原則利用不可 | 特養(原則要介護3以上)・老健・介護医療院 |
| 地域密着型 | 一部の介護予防型のみ | 定期巡回・随時対応型、夜間対応型など豊富 |
特に家族の負担に直結しやすいのが、福祉用具の「軽度者制限」です。要支援1〜要介護1の方は、車いすや特殊寝台(介護ベッド)などを原則として保険でレンタルできません8。
ただし、病状の変動が激しいなど医学的な必要性が主治医から示され、市区町村が認めれば、例外的にレンタルできる「例外給付」という仕組みがあります。「軽度だから無理」とあきらめず、ケアマネジャーに相談してみてください。
各サービスの中身や費用をもっと詳しく知りたい方は、「訪問介護とは?サービス内容・料金・できないことを徹底解説」、「デイサービスとは?費用・種類・選び方を初心者向けに解説」、「ショートステイとは?費用・日数・使い方を完全ガイド」もあわせてご覧ください。
【一覧表】区分別の支給限度額と自己負担の目安
介護保険には、要介護度ごとに「1か月に保険を使える上限(区分支給限度基準額)」が決まっています。下の表は、令和6年度(2024年度)の単位数と、1単位=10円で計算した場合の自己負担の目安です9。
| 区分 | 支給限度基準額 | 1割負担の目安 | 2割負担の目安 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約5,032円 | 約10,064円 | 約15,096円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約10,531円 | 約21,062円 | 約31,593円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約16,765円 | 約33,530円 | 約50,295円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約19,705円 | 約39,410円 | 約59,115円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約27,048円 | 約54,096円 | 約81,144円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約30,938円 | 約61,876円 | 約92,814円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約36,217円 | 約72,434円 | 約108,651円 |
ここで2つ、注意点があります。1つめは、この上限を超えてサービスを使った分は、全額(10割)自己負担になるということです10。限度額を意識せずプランを組むと、思わぬ高額負担につながります。
2つめは、「1単位=10円」は基準にすぎない点です。実際には地域区分により1単位あたり10円〜11.40円と差があり、都市部ほど金額が高くなる傾向があります11。正確な金額は、お住まいの自治体やケアマネジャーに確認してください。
もう少しイメージを具体的にしてみましょう。
たとえば要介護2(限度額19,705単位)で1割負担の方が、限度額の範囲でサービスを使い切った場合、介護保険サービス分の自己負担は月およそ2万円が目安になります。
ここに、ショートステイの食費・居住費や、配食・おむつなどの保険対象外の費用が加わるため、実際の出費は人によって幅があります。「限度額の範囲=かかる費用のすべて」ではない点に注意してください。
費用の内訳や負担を軽くする制度は、「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす6つの制度」で詳しく解説しています。
要介護度はどう決まる?認定の流れと「納得できないとき」
要介護度は、次の流れで決まります12。
- 申請:市区町村の窓口に申請書と被保険者証を提出
- 認定調査:調査員が自宅などを訪問し、心身の状況を確認
- 主治医意見書:かかりつけ医が医学的な意見書を作成
- 一次判定:調査結果をもとにコンピュータが基準時間を算出
- 二次判定:専門家による「介護認定審査会」が最終判定
- 通知:原則として申請から30日以内に結果が届く
有効期間は、新規・区分変更の場合は原則6か月、更新で状態が安定していれば最長48か月まで延長されることがあります13。
「いつ申請すべきか」を迷っている方は、「とりあえず介護認定を取るのはアリ?申請タイミングの正解と落とし穴」もご覧ください。
結果に納得できないときは「区分変更申請」が現実的
「思ったより軽く出た」「申請後に状態が悪化した」というとき、選択肢は2つあります。
- 区分変更申請:現在の状態をもとにもう一度調査を受け直す手続き。約30日で新しい区分が出るため、実務上はこちらが現実的です。
- 審査請求(不服申立て):認定手続きが適切だったかを問うもので、結果が出るまで数か月かかることもあります。
状態の変化を理由に見直したいなら、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談のうえ、区分変更申請を検討するのが近道です。
介護度が上がると何が変わる?メリット・デメリットと将来設計
親の介護度が重く判定されると、落ち込んでしまう方も少なくありません。ですが制度の面では、良い面と負担増の両方があります。冷静に整理しておきましょう。
メリット:使えるサービスが増える
- 区分支給限度額が上がり、利用できるサービスの回数や時間が増える
- 要介護2以上で、車いすや介護ベッドなどの福祉用具が保険でレンタルしやすくなる
- 要介護3以上で、特別養護老人ホームへの入所申し込み資格が得られる14
デメリット:自己負担も増える
デイサービスやショートステイなど、多くのサービスは要介護度が高いほど1回あたりの料金(単位数)も高く設定されています。そのため、同じ回数を使っても、介護度が上がれば月々の自己負担は増えていきます。もちろん、状態が重くなった分、家族の身体的・精神的な負担も大きくなります。
ここで知っておきたいのが、介護は「短距離走」ではなく「マラソン」だという事実です。介護が始まってからの平均期間は約4年7か月にのぼります15。一時的に頑張りすぎると長続きしません。今の区分だけでなく、「重くなったらどうするか」を早めに想定しておくことが、共倒れを防ぐカギになります。
【在宅で支えきれる?】区分別の在宅介護の現実と限界のサイン
区分やサービスを理解したうえで、多くのご家族が本当に知りたいのは「この状態で、親を在宅で支え続けられるのか」という一点ではないでしょうか。ここを正直にお伝えします。
在宅が難しくなりやすい「3つのサイン」
要介護度の数字そのものより、次のような状況が常態化したときに、在宅介護は限界を迎えやすくなると考えられます。
- 夜間対応による睡眠不足:夜間の排泄介助や認知症による徘徊で、介護者が連続して眠れない
- 常時見守りが必要:火の不始末や転倒など、目を離すと事故につながる
- 医療的ケアの増加:頻繁な痰の吸引や経管栄養など、家族には負担が重いケアが必要
これらは介護者の心身を確実に削ります。「気合い」で乗り切ろうとせず、仕組みで限界を先送りする発想が大切です。
区分別ケアプランの考え方(例:要介護3)
たとえば要介護3で在宅を続ける場合、限度額(27,048単位)を活かして、次のように組み立てる例が考えられます。
- 平日はデイサービスを週3回利用し、本人の活動量を保ちつつ日中の介護を外部化
- 訪問介護を週2回入れ、入浴や掃除など負担の大きい作業を分担
- 月1回はショートステイを組み込み、家族がまとまった休息(レスパイト)を取る
- 介護ベッドや見守りセンサーを活用し、夜間の負担を軽くする
ポイントは、レスパイト(休息)を「限界が来てから」ではなく「定期的に・予防的に」確保することです。家族が倒れてしまっては、在宅介護そのものが続けられません。
軽度のうちにやっておくと、後がぐっと楽になる
要支援〜要介護1の比較的軽い段階は、「まだ大丈夫」とサービス利用をためらいがちです。でも、この時期こそ準備のチャンスです。本人がサービスに慣れておくと、状態が重くなったときの拒否感が小さくなります。
具体的には、次の3つを軽度のうちから始めておくと、後の負担を減らせます。
- ケアマネジャーとの関係づくり:状態の変化をすぐ相談できる相手を持っておく
- デイサービスなど「外とのつながり」の習慣化:閉じこもりを防ぎ、本人の活動量を保つ
- 住まいの点検:段差・手すり・温度差など、重くなる前に整えておく
反対に、重度(要介護4〜5)になると、在宅では訪問看護や定期巡回といった医療・夜間対応との連携が欠かせなくなります。どの段階にいても、「次に重くなったら何が必要か」を一歩先に考えておくことが、慌てない介護につながります。
在宅を続けるための「住まい」の選択肢
介護度が上がると、サービスだけでなく「住まい」そのものが課題になってきます。段差や廊下の幅、浴室と脱衣所の温度差によるヒートショック、そして夜間の物音や排泄の臭いによるお互いのストレスなど、今の家のままでは支えきれない場面が増えてくるからです。
そこで、住まいの主な選択肢を中立的に比較してみましょう。費用や法規制は地域・条件によって変わるため、必ず最新情報を自治体等で確認してください。
| 選択肢 | 費用の目安 | メリット | 注意点・将来の扱い |
|---|---|---|---|
| 自宅リフォーム | 数十万〜数百万円(介護保険で20万円まで補助) | 住み慣れた家を維持。手すり・段差解消は安価で即効性あり | 水回りの拡張など大規模改修は高額。将来持て余す可能性 |
| 近居・呼び寄せ | 引越し・初期費用など | 物理的な距離が縮まり通い介護が楽に | 生活リズムの違いや見守りの負担。プライバシー確保が難しい |
| 施設入居 | 月額平均13.8万円〜(入居一時金は別途)16 | 24時間の専門ケア。家族の負担が大きく軽減 | 長期的な費用負担。本人の「家にいたい」気持ちへの配慮が必要 |
| 庭に別棟を設置 | 仕様により数百万円規模 | 母屋の工事を避けつつ、音や臭いを分けて適度な距離を保てる | 設置スペース・給排水・建築確認や固定資産税など要確認 |
【選択肢の一つ】別棟で距離を保つ「C’ZBシニアリビング」
住まいの選択肢の一つとして、庭に設置する別棟タイプの介護ハウス「C’ZBシニアリビング」があります。事実として、次のような特徴を持つ製品です。
- 既存の自宅はそのままに、庭へ設置するだけ(大がかりなリフォーム工事が不要)
- 工場で仕上げた状態でクレーン付きトラックで運び、設置する方式
- 移動型の建物で軽視されがちな断熱性能を重視し、ヒートショック対策にも配慮した高断熱仕様
- 給排水の接続により、トイレや浴室の設置も可能
- 使い終わった後は買取が可能な場合があり、解体費用を抑えやすい
一方で、向き・不向きもあります。庭に設置スペースと給排水を確保できることが前提で、用途地域などによっては建築確認申請や固定資産税の対象になる場合があります。また、広い間取りで生活したい場合には、リフォームや住み替えのほうが合うこともあります。
あくまで「同居の負担と施設入居の間にある、第三の選択肢」として、ほかの方法と並べて検討してみてください。詳しくは距離を保つ介護という選択肢のページで紹介しています。
【実行手順】認定結果が出たら、今日からやることチェックリスト
最後に、認定結果を受け取ったあとの動き方を整理します。次の順番で進めると迷いません。
- 区分と有効期間を確認する・・・通知書に記載されています
- 相談窓口に連絡する・・・要支援なら地域包括支援センター、要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ
- 区分の支給限度額を把握する・・・この記事の限度額表が目安になります
- 優先したいサービスを書き出す・・・入浴介助・日中の見守り・家族の休息など
- 状態と区分にズレを感じたら区分変更を検討する
- 住まいの課題を洗い出す・・・段差・温度差・夜間対応・プライバシー
制度は複雑ですが、一人で抱え込む必要はありません。地域包括支援センターやケアマネジャーは、まさにこうした悩みの相談先です。まずは気軽に声をかけてみてください。
よくある質問
- Q要支援2と要介護1は、どちらが重いのですか?
- A
要介護1のほうが重い区分です。両者は介護の手間を示す「要介護認定等基準時間」が同じ(32分以上50分未満)ですが、認知機能の低下や状態の不安定さがあると要介護1と判定されやすくなります。要支援2は予防給付、要介護1は介護給付に分かれ、使えるサービスや担当窓口も変わります。
- Q要介護1と要介護2の違いは何ですか?
- A
ひとことで言えば「見守り中心か、直接の介助が日常的か」の違いです。要介護1は見守りや一部の手助けで生活が回るのに対し、要介護2は着替えや排泄の後始末など、体に直接触れる介助が日常的に欠かせなくなった状態です。車いすや介護ベッドのレンタルも、原則として要介護2から保険で使いやすくなります。
- Q要介護度が高いと、どのくらい費用がかかりますか?
- A
区分ごとに1か月の利用上限(支給限度基準額)が決まっており、その範囲内なら自己負担は原則1〜3割です。たとえば要介護2の1割負担で限度額まで使うと、介護保険サービス分の自己負担は月およそ2万円が目安です。ただし上限を超えた分は全額自己負担となり、食費やおむつなど保険対象外の費用は別にかかります。
- Q認定結果に納得できないときは、どうすればいいですか?
- A
まずは「区分変更申請」を検討するのが現実的です。現在の状態をもとにもう一度調査を受け直す手続きで、約30日で新しい区分が出ます。手続きの適法性を問う「審査請求(不服申立て)」は結果が出るまで時間がかかるため、状態の変化を理由に見直したい場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談して区分変更を選ぶとよいでしょう。
- Qどの区分まで在宅介護を続けられますか?
- A
区分の数字だけで決まるものではなく、住環境やサポート体制によって大きく変わります。一般的には、夜間対応で介護者が眠れない、目を離せない、医療的ケアが増える、といった状況が常態化したときに在宅の限界を迎えやすくなります。デイサービスやショートステイ、福祉用具、住まいの工夫を組み合わせ、家族が休める仕組みを整えることで、続けられる期間は変わってきます。
まとめ|要介護度を知ることが、後悔しない介護の第一歩
要介護度は、親の状態と必要な支えを映す「ものさし」です。区分の意味と、隣り合う区分の違い、使えるサービスと費用の上限を理解できれば、これからの介護は「何となく不安」から「具体的に動ける」状態へと変わります。
大切なのは、今の区分だけを見るのではなく、重くなった先まで見越して備えておくことです。
この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 要介護度は「介護の手間」で決まる8段階。要支援(予防)と要介護(介護)では目的が違う
- 要支援2と要介護1、要介護1と要介護2など、隣り合う区分は判定の観点で見分けられる
- 区分ごとに使えるサービスと支給限度額が決まり、超えた分は全額自己負担になる
- 結果に納得できないときや状態が変わったときは「区分変更申請」が現実的
- 在宅を続けられるかは、サービスの組み合わせと住まいの工夫で大きく変わる
介護は長く続くマラソンです。だからこそ、家族が無理なく続けられる体制づくりが何より大切になります。サービスの活用とあわせて「住まいをどう整えるか」も、ぜひ早めに考えてみてください。
同居の負担と施設入居の間にある選択肢として、庭に設置する別棟介護という方法もあります。気になる方は、まずは距離を保つ介護という選択肢をのぞいてみてください。一人で抱え込まず、使える制度と工夫を味方につけながら、あなたとご家族に合った介護の形を見つけていきましょう。
脚注
- 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2024). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html ↩︎
- 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2024). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html ↩︎
- 厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」(2009). https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/sankou3.html ↩︎
- 厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」(2009). https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/sankou3.html ↩︎
- e-Gov法令検索「要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年厚生省令第58号)」(1999). https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100058 ↩︎
- 厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」(2009). https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/sankou3.html ↩︎
- 厚生労働省「(参考)現行の介護保険制度の仕組み」(2024). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000061865.pdf ↩︎
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(2022). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf ↩︎
- 厚生労働省「(参考)現行の介護保険制度の仕組み」(2024). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000061865.pdf ↩︎
- 厚生労働省「(参考)現行の介護保険制度の仕組み」(2024). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000061865.pdf ↩︎
- 厚生労働省「(参考)現行の介護保険制度の仕組み」(2024). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000061865.pdf ↩︎
- 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2024). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html ↩︎
- 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2024). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html ↩︎
- 厚生労働省「(参考)現行の介護保険制度の仕組み」(2024). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000061865.pdf ↩︎
- 公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎
- 公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎