【年金額別】介護費用は足りる?足りない?3ケースで診断

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「親の年金だけで、これから始まる介護のお金は足りるのだろうか」

親の通帳や年金額がなんとなく頭に浮かびつつも、介護費用の相場と突き合わせたことはなく、漠然とした不安だけが残っている。そんな状態ではありませんか?

共働きで住宅ローンや教育費も抱えるなか、「自分たちの家計からいくら持ち出すことになるのか」を考えると、つい後回しにしたくなる気持ちもよく分かります。

結論からお伝えすると、親の年金で足りるかどうかは「年金の種類」と「介護を受ける場所」の組み合わせでほぼ判断できます。そして、たとえ足りなくても、公的制度と住まい方の工夫で「親のお金の範囲」に近づける方法があります。大切なのは、不安を具体的な数字と段取りに変えることです。

この記事でわかること
  • 国民年金・厚生年金それぞれで、介護費用が足りるかの年金額別シミュレーション
  • 足りないときに使える公的な負担軽減制度と申請のポイント
  • 年金以外でお金を用意する方法と、知っておくべき「子の負担」の正しい考え方
  • 高い施設に頼らず「年金内に収めやすい住まい方」の比較
  • 親が元気な今のうちにやっておく準備チェックリスト

【結論】親の年金だけで足りるかは「年金の種類」と「介護の場所」で決まります

では、なぜ「年金の種類」と「介護の場所」で足りるかが決まるのか。具体的な数字で確かめていきましょう。

介護にかかるお金は、一時的な費用と毎月の費用を合わせると、1人あたり総額で約540万円が一つの目安とされています1。この水準を年金収入と照らすと、おおまかな傾向が見えてきます。

国民年金だけの世帯が施設介護を選ぶと、年金収入のみで賄うのは極めて難しくなります。一方で、厚生年金を平均以上受け取っている世帯が公的施設や在宅介護を選べば、親のお金の範囲に収まる見込みも立ちます。

ただし、足りないと分かったときに、すぐ子世帯の家計から持ち出す必要はありません。カギになるのは次の2つです。

  • 公的な負担軽減制度を使い切る・・・申請すれば月々の負担に上限がつきます。
  • 年金内に収めやすい住まい方を選ぶ・・・在宅・別棟・公的施設など。

この記事では、まず介護費用と親の年金額の相場を押さえ、そのうえで年金額別に「足りる・足りない」をシミュレーションします。さらに、足りないときの制度・お金の作り方・家族での備えまで、判断に必要な材料を順番に整理していきます。

読み終えるころには、「うちの親の場合は何をどの順でやればいいか」が見えているはずです。

まず押さえる|介護費用は「一時費用」と「月額費用」でいくらかかるのか

年金で足りるかを判断するには、まず出ていくお金の相場を知る必要があります。介護費用は大きく2種類に分かれます。住宅改修や福祉用具の購入などにかかる「一時費用」と、毎月のサービス利用料や消耗品代などの「月額費用」です。

公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、一時費用の平均は47.0万円、月額費用の平均は9.0万円、介護期間の平均は55.0ヶ月(約4年7ヶ月)となっています2

これを単純に掛け合わせると、1人あたりの介護費用の総額はおよそ540万円という計算になります。もちろんこれは平均値であり、要介護度や介護期間によって大きく変わると考えられます。

在宅介護と施設介護では月額が2倍以上違う

同じ介護でも、自宅で介護する場合と施設に入る場合では、毎月かかるお金が大きく異なります。在宅介護の月額費用は平均で5万円台、施設介護では平均で13万円台と、2倍以上の開きがあるとされています3

ただし、この差は単純な「安い・高い」では語れません。在宅は費用を抑えやすい反面、家族の身体的・精神的な負担が大きくなります。施設は費用が高い代わりに、介護を専門職に任せられます。

お金と負担はトレードオフの関係にある、と考えておくと判断しやすくなります。

施設の種類ごとの費用の目安

施設介護を検討する場合、種類によって月額費用も初期費用も変わります。下の表は、あくまで一般的な目安です。地域や施設、要介護度によって幅があるため、実際の金額は各施設にご確認ください。

施設の種類区分月額費用の目安初期費用(入居一時金)
特別養護老人ホーム(特養)公的約7〜15万円原則なし
介護老人保健施設(老健)公的約8〜15万円原則なし
ケアハウス公的約7〜12万円少額(保証金等)
介護付き有料老人ホーム民間約14〜30万円超0円〜数千万円
サービス付き高齢者向け住宅民間約11〜20万円数十万円程度
グループホーム民間約10〜15万円数十万〜数百万円

ポイントは、公的施設(特養・老健・ケアハウス)は費用を抑えやすく、民間施設は手厚いサービスの分だけ高くなりやすいという傾向です。年金内で収めることを優先するなら、まず公的施設が候補になります。

なお、月々いくらかかるか・誰がどこまで負担するかという費用の全体像は、「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす6つの制度」でも詳しく解説しています。

親の年金は実際いくら?国民年金・厚生年金の現実と確認方法

費用の相場が分かったら、次は収入側、つまり親の年金額です。ここを正確につかまないと、足りるかどうかの計算は始まりません。

年金には大きく2種類あります。自営業者や専業主婦(主夫)などが受け取る国民年金と、会社員や公務員が受け取る厚生年金です。厚生労働省の統計によると、老齢年金の平均受給額(月額)は、国民年金で約5万7,700円、厚生年金で約14万7,360円となっています4。両者には月8万円以上の差があります。

さらに注意したいのが、厚生年金の男女差です。65歳以上の厚生年金の平均月額は、男性が約16万9,000円であるのに対し、女性は約11万1,000円にとどまります5。現役時代の働き方によって、同じ厚生年金でも受け取る額は大きく変わります。

なお、年金額は毎年改定されます。2026年度(令和8年度)は、国民年金の満額が月額70,608円、夫婦2人の標準的な厚生年金額が月額237,279円に引き上げられることが決まっています6。ただし、額面が増えても物価高が続けば、実際に使えるお金(購買力)が同じだけ増えるわけではない点には注意が必要です。

親の正確な年金額を確認する3つの方法

平均額はあくまで目安です。大切なのは、あなたの親が実際にいくら受け取っているかを知ることです。確認する方法は主に3つあります。

  • 年金振込通知書:毎年6月ごろに日本年金機構から郵送されます。実際の振込額がそのまま分かります。
  • ねんきん定期便:誕生月に届きます。これまでの加入記録や見込額が確認できます。
  • ねんきんネット:マイナンバーカードを使い、マイナポータル経由でいつでも確認できます。過去の通知書もデータで見られます7

「親のお金の話は切り出しにくい」という方は多いものです。

でも、ここを曖昧にしたままでは、足りるかどうかの判断ができません。まずは「年金の振込通知書、どこにあるか分かる?」と軽く確認するところから始めてみてください。親が元気な今だからこそ、落ち着いて聞ける話でもあります。

【本記事の核】年金額別シミュレーション|あなたの親は足りる?足りない?

ここからが本題です。親の年金額と介護費用を突き合わせ、「足りるのか、足りないのか」を具体的に見ていきましょう。

判断のために、もう一つ数字を押さえます。介護費用だけでなく、家賃・食費・光熱費といった日々の生活費も年金から出ていくという点です。

総務省統計局の家計調査によると、高齢夫婦のみの無職世帯では、毎月の支出が収入を約4万円上回る「赤字」が常態化しています8。つまり、介護費用が乗る前から、年金だけでは生活費がぎりぎりという世帯が少なくありません。

ここに介護費用が加わると、どうなるのか。3つのケースで見てみます。

以下は平均的な数値をもとにした試算です。生活費は地域や暮らし方で大きく変わるため、あくまで「考え方の型」としてご覧ください。実際の判断は、親の正確な年金額と支出で計算する必要があります。

ケースA:国民年金のみ(月約7万円)の場合 → 明確に足りない

国民年金だけを受け取っている親の場合、月の年金収入は約6.8〜7.0万円です。

  • 在宅介護(月約5.3万円)
    年金から介護費用を引くと、生活費に回せるのは1万円台。これでは食費や光熱費すら賄えず、明らかに足りません
  • 施設介護(公的・月約13.8万円)
    年金を全額充てても、毎月約7万円の赤字です。預貯金の取り崩しか、公的支援が前提になります。

国民年金のみの世帯は、年金だけで介護を完結させるのは難しいと考えてください。だからこそ、後述する公的制度の活用費用を抑える住まい方が重要になります。

ケースB:厚生年金・女性の平均水準(月約11万円)の場合 → 取り崩し前提

厚生年金を女性の平均水準で受け取っている場合、月収入は約11.1万円です。

  • 在宅介護(月約5.3万円)
    残りは約5.8万円。持ち家で住居費がかからなくても、生活費全体を賄うには月数万円が不足し、貯蓄の取り崩しが必要になると考えられます。
  • 施設介護(公的・月約13.8万円)
    毎月約2.7万円の赤字。仮に親の預貯金が500万円あれば、月3万円ずつ取り崩しても十数年は持つ計算です。資金寿命と介護期間の勝負になります。

このゾーンは「足りないが、工夫次第で乗り切れる」境界線です。制度で負担を圧縮できれば、収支は大きく改善します。

ケースC:厚生年金・男性の平均水準/夫婦世帯(月約17万円〜)の場合 → 足りる見込み

厚生年金を男性の平均水準(約16.9万円)で受け取っている、あるいは夫婦で年金を受け取っている世帯では、見え方が変わります。

  • 在宅介護(月約5.3万円)
    残りは約11万円。基礎的な生活費をほぼカバーでき、足りる可能性が高いです。
  • 施設介護(公的・月約13.8万円)
    特養や老健であれば、施設費用を払ったうえで手元に数万円が残るため、年金の範囲で完結できる見込みがあります。ただし、月20万円を超える民間有料老人ホームを選ぶと赤字に転じるリスクがあります。

不足額の出し方|5ステップで「うちの場合」を計算する

3つのケースはあくまで平均値での話です。あなたの親の「本当の不足額」は、次の手順で出せます。紙に書き出すだけで、不安がぐっと具体的になります。

  1. 親の年金額を確認する・・・振込通知書・ねんきんネット
  2. 想定する介護費用を当てはめる・・・在宅か施設か、上の相場から
  3. 差額(不足額)を計算する・・・年金 − 生活費 − 介護費用
  4. 使える公的制度で不足を圧縮する・・・次のセクションで解説
  5. 残った不足分の捻出策を決める・・・預貯金・資産の活用など

大切なのは、いきなり子世帯の財布を開かないことです。まず①〜④で「親のお金と制度でどこまで届くか」を見極めてから、最後に⑤を考える。この順番が、家計の共倒れを防ぐ鉄則です。

足りないときに使う公的制度|申請すれば負担はここまで下がります

シミュレーションで「足りない」と分かっても、慌てる必要はありません。国や自治体には、介護費用の負担を大きく軽くする制度が用意されています。

ここで重要な前提が一つあります。これらの制度はほぼすべてが「申請主義」だということです。つまり、自分から申請しないと使えません。知らずに高い負担を払い続ける人が多いのが実情です。

主な負担軽減制度の一覧

制度名効果主な対象・上限の目安申請先
高額介護サービス費月の自己負担額が上限を超えた分を払い戻し非課税世帯は月24,600円、一般所得は月44,400円など9市区町村の介護保険窓口
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)施設の居住費・食費を軽減住民税非課税かつ預貯金等の資産要件を満たす世帯10市区町村の介護保険窓口
高額医療・高額介護合算療養費1年間の医療費+介護費の合算が高額な場合に払い戻し世帯の所得区分に応じた年額上限加入する医療保険の窓口
医療費控除一定の介護サービス費・医療費を所得控除確定申告が必要税務署
自治体独自の助成紙おむつ支給・介護用品費の助成など自治体により異なる市区町村の高齢福祉窓口
生活福祉資金貸付制度低利・無利子での貸付低所得・高齢者世帯など11市区町村の社会福祉協議会

特に効果が大きいのが、最初の2つです。

高額介護サービス費は、1ヶ月の介護サービス自己負担が所得に応じた上限を超えると、超過分が戻ってきます。住民税非課税世帯なら月24,600円が上限になるなど、負担の天井が決まる仕組みです12。この制度の詳しい申請手順は、「高額介護サービス費でいくら戻る?申請4ステップを解説」で確認できます。

もう一つの特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)は、施設に入るときの居住費と食費を軽くする制度です。ただし、住民税非課税であることに加え、預貯金などの資産要件があります13。中途半端に預貯金がある世帯は対象外になることもあるため、注意が必要です(この点は後の注意点でも触れます)。

なお、これらの制度の上限額や要件は、改正や地域によって変わります。必ずお住まいの市区町村の窓口で、最新の条件をご確認ください。

たとえば自治体独自の助成では、要介護4・5の非課税世帯に年間数万円を支給するといった例もあります。お住まいの地域でどんな上乗せがあるかは、地域包括支援センターやケアマネジャーに聞くのが近道です。

それでも足りないとき|年金以外でお金を用意する方法と「子の負担」の正しい考え方

公的制度を使っても、なお毎月の収支が赤字になる。そんなときに初めて、年金以外のお金を考えます。順番としては、まず親自身の資産から手当てするのが基本です。

親の資産から捻出する3つの方法

  • 預貯金の計画的な取り崩し
    最もシンプルでリスクの低い方法です。「預貯金の総額 ÷ 毎月の赤字額」で、お金が何年もつか(資金寿命)を計算しておきましょう。
  • 自宅の活用(リバースモーゲージ・リースバック)
    持ち家がある場合、自宅を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」や、売却して住み続ける「リースバック」があります。まとまった資金を得られる反面、金利変動や長生きによるリスクもあるため、条件をよく確認する必要があります。
  • 民間介護保険の給付
    親が民間の介護保険に入っていれば、要介護認定で一時金や年金を受け取れる場合があります。まず保険証券の有無を確認しましょう。

「子が負担すべき」という思い込みを手放す

ここで、多くの人が誤解している点をはっきりさせます。

「親の介護費用は子が出すのが当然」と考えていませんか。法律上、子には親への扶養義務があります(民法第877条)14。しかし、これは「自分の生活を犠牲にしてまで援助する義務」ではありません。あくまで「自分たちの生活に余裕がある範囲で援助する義務」とされています。

つまり、住宅ローンや教育費を削り、自分の老後資金を取り崩してまで親の介護費用を肩代わりする必要は、法的にはないのです。無理な持ち出しで家計が共倒れになれば、結局だれも幸せになりません。

とりわけ避けたいのが介護離職です。

介護を理由に仕事を辞める人は年間約9.3万人にのぼり、その中心は40〜50代の働き盛りです15。離職は当面の収入を絶つだけでなく、あなた自身が将来受け取る年金額まで減らします。「親の介護は、親のお金と公的サービスの範囲で、プロに任せる」。この原則を守ることが、結果的に親子双方を守ります。

費用を誰がどう分担するかの全体像は、「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす6つの制度」もあわせてご覧ください。

【注意点】シミュレーションが崩れる3つの落とし穴

ここまで「年金内に収める方法」を見てきました。ただ、楽観的な計算が崩れる要因もあります。中立な判断のために、見落としがちな3つの落とし穴を押さえておきましょう。

落とし穴1:資産があると軽減制度の「対象外」になる

施設の居住費・食費を軽くする負担限度額認定には、厳しい資産要件があります。住民税非課税であっても、預貯金などが一定額(単身でおおむね500万〜1,000万円が目安)を超えると、軽減の対象から外れます16

皮肉なことに、中途半端に貯金がある世帯ほど、公的支援を受けられずに資産が目減りしていくという構造があります。具体的な基準額は変動するため、市区町村で確認してください。

落とし穴2:2027年度の制度改正で負担が増える可能性

今の費用計算は「自己負担は原則1割」「ケアプラン作成は無料」を前提にしています。しかし、2027年度の介護保険制度改正に向けて、一定所得以上の人の2割負担の対象拡大や、ケアプラン作成の有料化が議論されています。

これらはまだ決定事項ではありませんが、将来的に負担が重くなる方向で検討が進んでいるのは確かです。「今ぎりぎり足りる」という計算は、数年後に崩れる可能性があると考え、余裕を持った資金計画を立てておくのが安全です。

落とし穴3:申請忘れ・更新忘れで取りこぼす

前述のとおり、負担軽減制度は申請しないと使えません。さらに、負担限度額認定のように毎年更新が必要な制度もあります。

申請のタイミングや更新時期を見落とすと、本来受けられた軽減を取りこぼします。ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携し、申請・更新のスケジュールを管理してもらうとよいでしょう。

高い施設に頼らない選択肢|「年金内に収めやすい」住まい方を比較する

「施設は高い、でも自宅での介護は家族がもたない」。この板挟みで悩む方は少なくありません。実は、介護の住まい方は「完全同居か施設か」の二択ではありません。年金内に収めやすいかどうかという観点で、選択肢を並べて比較してみましょう。

住まい方費用の特徴介護負担・プライバシー向いている人
完全同居(在宅)費用は最も抑えやすい家族の負担が大きく、プライバシーは確保しにくい家族に介護の余力があり、関係が良好な世帯
近居・敷地内同居住居の準備費はかかるが運用は抑えやすい適度な距離を保てる親子とも自立した生活を保ちたい世帯
庭に置く介護専用ハウス(別棟)初期費用はかかるが月々の施設利用料が不要母屋と分けてプライバシーを確保できる敷地に空きがあり、距離を保って在宅介護したい世帯
公的施設(特養等)施設の中では費用を抑えやすい介護はプロに任せられる在宅が難しく、年金内で施設を使いたい世帯
民間施設(有料老人ホーム等)費用は高め手厚いサービスを受けられる資金に余裕があり、手厚さを重視する世帯

近居や敷地内同居にかかる費用の相場は、「親の呼び寄せ費用|同居・近居・敷地内近居の相場と準備チェックリスト」で詳しく解説しています。

第3の選択肢としての「別棟介護」

近年注目されているのが、自宅の庭に介護専用の小さなハウスを設置するという方法です。

母屋とは別の建物にすることで、親は自分の生活空間を保ちながら、子世帯は数十メートルの距離で見守れます。完全同居の息苦しさを避けつつ、高額な施設費用も回避できる「在宅介護の進化形」といえます。

当社が手がける「シニアリビング」も、この別棟介護のための介護専用ハウスです。

仕様
  • リフォーム不要で設置できる
    工場で仕上げたハウスを、クレーン付きトラックで運んで設置します。母屋の工事は要りません。
  • 高断熱仕様
    移動できる建物で軽視されがちな断熱性能を重視し、冬の暖かさ・夏の涼しさを確保します。ヒートショック対策にもつながります。
  • 使い終わった後は買取も可能
    従来の建築で発生しがちな解体費(約150〜300万円)がかからず、状態によっては買取の対象になります。
  • サイズは一人用から
    1ユニット6.0m×2.4m(駐車場1台分より少し大きい程度)が基本で、連結して広げることもできます。

一方で、向き不向きもあります。設置には庭などの空きスペースが必要で、敷地に余裕がない世帯には向きません。また、別棟を設ける際の建築確認や固定資産税の扱いは、建物の仕様や自治体によって異なります。費用や設置条件は必ず事前に自治体・販売元へ確認してください。

なお、トレーラーハウスなど車両扱いの製品とは構造も法的扱いも異なるため、混同せずに比較することをおすすめします。シニアリビングの詳細はサービスページでご確認いただけます。

家族・きょうだいで揉めないために|お金の透明化と話し合い

介護費用が年金で収まらないとき、もう一つ起きやすいのがきょうだい間のトラブルです。お金と労力の負担が偏ると、関係がこじれ、親の死後の相続争いにまで発展することがあります。

ある民間調査では、日々の世話をほぼ一人で担っている割合は、長男・長女(長子)が48.8%で最も高いという結果が出ています17。「近くに住んでいるから」「時間があるから」といった理由で、特定の人に負担が集中しやすいのです。この不公平感が、トラブルの火種になります。

揉めごとを防ぐために、次の2つを意識してください。

  • お金の流れを全員に開示する
    親の通帳を管理する人は、収支を家計簿アプリなどで記録し、きょうだい全員が見られるようにします。「勝手に使っているのでは」という疑いが、最大の火種だからです。
  • 介護労働の価値を共有する
    2019年7月に施行された改正民法で、相続人以外の親族(長男の妻など)が無償で介護した場合に金銭を請求できる「特別寄与料」の制度ができました(民法第1050条)18。介護が金銭的に評価されうると全員が知っておくだけで、「やって当たり前」という空気が和らぎます。

とはいえ、費用の負担割合や役割分担をきょうだいでどう決めるかは、いざ切り出そうとすると難しいものです。揉めずに話を進めるための具体的な決め方やコツは、「介護費用で兄弟と揉めたくない人へ|負担割合と役割分担のコツ」で詳しく解説しています。

親が元気な今やる準備チェックリスト

介護は、転倒や脳卒中などをきっかけに突然始まることが多いものです。慌てないために、親が元気な今のうちにできる準備をまとめました。

CheckList
  • 親の年金額・資産を棚卸しする:ねんきんネットに登録し、年金額を把握。預貯金・有価証券・保険証券の所在をエンディングノートなどに一覧化します。
  • 資金凍結リスクに備える:親が認知症になると銀行口座が凍結され、親のお金で介護費用を払えなくなる恐れがあります。判断力が確かなうちに、家族信託や代理人カードなどを検討しておきましょう。
  • 資金寿命を試算する:「預貯金 ÷ 毎月の想定赤字額」で、お金がもつ年数を出しておきます。
  • 住まい方を事前に話し合う:在宅・別棟・施設のどれを軸にするか、親の希望も聞いておきます。
  • ケアマネジャーに予算を伝える:要介護認定を受けたら、「自己負担は月◯万円まで」と予算を伝えると、その範囲で制度を組み合わせたプランを設計してもらえます。

これらはすべて、漠然とした不安を「具体的な数字と段取り」に変える作業です。一度書き出してしまえば、何をすればいいかが見えて、気持ちもずいぶん楽になります。

よくある質問

Q
親の介護費用は、子どもが必ず払わなければいけませんか?
A

いいえ、自分の生活を犠牲にしてまで払う義務はありません。法律上、子には親への扶養義務がありますが、これは「生活に余裕がある範囲で援助する義務」とされています。住宅ローンや教育費を削り、自分の老後資金を取り崩してまで肩代わりする必要は、法的にはありません。まずは親自身の年金と資産、そして公的制度でどこまで賄えるかを確認してから考えましょう。

Q
国民年金だけでも、介護は受けられますか?
A

はい、受けられます。ただし国民年金(平均月約5.7万円)だけでは介護費用と生活費を年金内で賄うのは難しいため、公的な負担軽減制度の活用が前提になります。高額介護サービス費で月の自己負担に上限をつけたり、費用を抑えやすい在宅介護や公的施設を選んだりすることで、負担を圧縮できます。生活が立ち行かない場合は、生活保護や社会福祉協議会の貸付制度も選択肢になります。

Q
親の年金額は、どうやって調べればいいですか?
A

毎年6月ごろに届く「年金振込通知書」を見るのが最も確実です。実際の振込額がそのまま記載されています。誕生月に届く「ねんきん定期便」や、マイナポータル経由で使える「ねんきんネット」でも確認できます。親が元気なうちに、振込通知書の保管場所を一緒に確認しておくと安心です。

Q
介護費用の負担を軽くする制度は、自動で適用されますか?
A

いいえ、ほとんどの制度は自分で申請しないと使えません(申請主義)。高額介護サービス費や負担限度額認定などは、市区町村の窓口への申請が必要で、なかには毎年更新が必要なものもあります。申請を忘れると、本来軽くできた負担を払い続けることになります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、申請のスケジュールを管理してもらうとよいでしょう。

Q
施設は高いけれど、自宅での介護は不安です。ほかに選択肢はありますか?
A

はい、「完全同居か施設か」の二択以外にも選択肢があります。近居や敷地内同居のほか、庭に介護専用の小さなハウスを置く「別棟介護」という方法もあります。母屋と分けることでプライバシーを保ちながら、高額な施設費用を抑えられる点が特徴です。敷地に空きがあるかどうかなど条件はありますが、年金内に収めやすい住まい方として検討する価値があります。

まとめ|年金で足りるかは「見える化」と「住まい方」で変えられる

親の年金だけで介護費用が足りるかどうかは、年金の種類と介護を受ける場所の組み合わせで大きく変わります。

国民年金のみなら年金内で完結させるのは難しい一方、厚生年金が平均以上あれば公的施設や在宅で収まる見込みも立ちます。そして足りない場合でも、いきなり子世帯が持ち出す必要はありません。

この記事の要点を振り返ります。

Point
  • まず親の年金額と介護費用を突き合わせ、不足額を「見える化」する
  • 足りない分は、申請が必要な公的制度でできるだけ圧縮する
  • 子の負担は「生活に余裕がある範囲」でよく、介護離職は避ける
  • 高い施設に限らず、在宅・近居・別棟など年金内に収めやすい住まい方を比較する
  • 親が元気な今のうちに、年金・資産の棚卸しと話し合いを済ませておく

「施設は高い、でも自宅での介護は不安」という方には、母屋とほどよい距離を保ちながら在宅介護を続けられる別棟という選択肢もあります。

私たちのシニアリビングは、高断熱で設置するだけ、使い終わったら買取も可能な介護専用ハウスです。年金内で無理のない住まい方を考えるうえで、選択肢の一つとして知っておいて損はありません。

まずは気軽に、シニアリビングのサービスページで詳しい情報をご覧ください。不安を一つずつ数字と段取りに変えていけば、必ず道は見えてきます。

脚注

  1. 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎
  2. 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎
  3. 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2024). https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html ↩︎
  4. 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2024). https://www.mhlw.go.jp/content/001359541.pdf ↩︎
  5. 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2024). https://www.mhlw.go.jp/content/001359541.pdf ↩︎
  6. 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(2026). https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html↩︎
  7. 日本年金機構「ねんきんネット」. https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html ↩︎
  8. 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果」(2026). https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html ↩︎
  9. 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(2021). https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf ↩︎
  10. 厚生労働省「サービスにかかる利用料(利用者負担の軽減)」(介護サービス情報公表システム). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  11. 厚生労働省「生活福祉資金貸付制度について」. https://www.mhlw.go.jp/seisaku/28.html ↩︎
  12. 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(2021). https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf ↩︎
  13. 厚生労働省「サービスにかかる利用料(利用者負担の軽減)」(介護サービス情報公表システム). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  14. 民法(明治29年法律第89号)第877条・第1050条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 ↩︎
  15. 厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」(2024). https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf ↩︎
  16. 厚生労働省「サービスにかかる利用料(利用者負担の軽減)」(介護サービス情報公表システム). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  17. 株式会社Speee「親の介護と兄弟の関係性についてのアンケート調査」(2023). https://speee.jp/news/32633/ ↩︎
  18. 民法(明治29年法律第89号)第877条・第1050条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 ↩︎