介護保険の負担割合はどう決まる?1・2・3割の判定基準と確かめ方

電卓と家計ノートで介護保険の負担割合を確かめるイメージのサムネイル画像 介護保険・認定

7月ごろに届いた「介護保険負担割合証」に「2割」と書かれていて、なぜそうなったのか分からず戸惑っていませんか。これから親御さんが介護サービスを使い始めるご家庭でも、自己負担が1割で済むのか、2割・3割になるのかが分からないと、毎月の費用が見通せず不安になってしまいますよね。

介護保険の負担割合は、親本人の所得と、住民票上で同じ世帯に暮らす65歳以上の方の年金収入などをもとにした「2段階の基準」で判定されます。年金の源泉徴収票と所得証明書があればご家族でも確かめられ、2割や3割になった場合でも、1か月の自己負担額には上限が設けられています。

この記事でわかること
  • 1割・2割・3割を分ける判定基準(金額の早見表)
  • 判定に使う2つの数字を、どの書類で確かめるか
  • 親の割合を自分でたどる判定フロー(世帯の65歳以上が1人/2人以上)
  • 同居や世帯分離で割合は変わるのか、割合はいつ見直されるのか
  • 割合が上がったときに、支払いを抑える仕組み

介護保険の負担割合の判定基準|所得の2段階で1割・2割・3割に分かれる

本人の所得と、同じ世帯の65歳以上の年金収入等の2段階で負担割合が判定される流れを示す図

65歳以上で要介護(要支援)の認定を受けている方は、2025年6月時点で全国に約715万人います。そのうち2割負担は約4.7%、3割負担は約4.2%にとどまり、残る約9割の方は1割負担です1。

つまり、2割・3割になるのは、一定以上の所得がある一部の方に限られています。

早見表:2つの基準を両方満たすと2割・3割になる

負担割合は、親の所得に関する2つの基準を順に照らし合わせて判定されます2。1つ目は親本人の「合計所得金額」(収入から控除や必要経費を差し引いた所得の合計)、2つ目は親と同じ世帯にいる65歳以上の方全員の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計です。

負担割合STEP1:本人の合計所得金額STEP2:同じ世帯の65歳以上の「年金収入+その他の合計所得金額」
3割220万円以上65歳以上が本人だけ:340万円以上
65歳以上が2人以上:463万円以上
2割160万円以上65歳以上が本人だけ:280万円以上
65歳以上が2人以上:346万円以上
(3割に当たらない場合)
1割上のどちらにも当たらない人

STEP1は親本人の所得だけ、STEP2は世帯の65歳以上全員の合計を見る別々の基準で、2割・3割になるのは両方を満たしたときだけです。そのため、片方の基準を超えただけでは割合は上がりません。

たとえば親本人の合計所得金額が220万円を超えていても、世帯の年金収入等(年金収入とその他の合計所得金額の合計)が280万円(65歳以上が2人以上なら346万円)に届かなければ、負担割合は1割にとどまります。

所得にかかわらず1割になる人

一方で、所得を見るまでもなく1割と決まっている方もいます。40〜64歳で介護保険の認定を受けている方(第2号被保険者)、住民税が非課税の方、生活保護を受けている方は、いずれも1割負担です3。

なお、介護保険制度が始まった当初は全員が1割負担でしたが、2015年8月に2割、2018年8月に3割の区分が導入されました4。

介護保険で利用できるサービスの種類や利用までの流れは、「介護保険サービスの種類と使い方」で整理しています。

判定に使う2つの数字は、源泉徴収票と所得証明書で確かめられる

公的年金等の源泉徴収票の支払金額と、所得証明書の合計所得金額を確かめる箇所を示した図

早見表に当てはめる数字は、親の前年の所得をもとに確かめます。なお、1月から7月までに利用したサービスについては、前々年の所得で判定されます5。手元にそろえたい書類と、判定で気をつける点は次のとおりです。

判定に使う数字確かめられる書類判定で気をつける点
年金収入公的年金等の源泉徴収票の「支払金額」遺族年金・障害年金は数えない
合計所得金額市区町村の所得(課税)証明書年金・給与の所得から10万円を引く。土地・建物の譲渡所得は特別控除後の額
その他の合計所得金額市区町村の所得(課税)証明書の内訳合計所得金額から年金の所得を除いた額

年金以外の所得がない親御さんであれば、「その他の合計所得金額」は0円となり、年金収入と合計所得金額の2つだけで判定できます。

年金収入は、源泉徴収票の「支払金額」欄で分かる

「支払金額」欄の金額は、所得税や社会保険料が天引きされる前の、その年に支払われた年金の総額(額面)です6。口座に振り込まれる手取り額よりも大きくなりますが、判定(STEP2)の年金収入にはこの額面を使います。

ただし、遺族年金や障害年金といった非課税の年金は、負担割合の判定では年金収入に含めません7。

合計所得金額は、所得証明書の数字から介護保険の調整を加える

STEP1で使う「合計所得金額」とは、年金や給与などの収入から、公的年金等控除・給与所得控除や必要経費を差し引いた所得の合計額です。ここでいう所得は、医療費控除や扶養控除といった所得控除を差し引く前の金額を指します8。

この数字は、市区町村が発行する所得証明書(課税証明書)に「合計所得金額」などの項目で載っています。様式は自治体によって異なり、最新年度の証明書は原則として7月以降に発行されます(自治体によっては6月中旬以降)9。

ここで注意したいのが、介護保険の判定では証明書の数字をそのまま使わない場合があるという点です。年金や給与の所得がある方はその合計から10万円を差し引き、土地や建物を売却した方は譲渡所得の特別控除(自宅を売却したときの3,000万円特別控除など)を差し引いた後の金額で判定します10。

そのため、年金や給与の所得がある親御さんで、証明書の合計所得金額が160万円をわずかに超えている程度であれば、10万円を差し引くと1割の範囲に収まることもあります。また、自宅を売却してまとまった譲渡所得が出た年でも、特別控除の範囲に収まっていれば、判定への影響は小さく済みます。

判定に入らない所得と、申告で変わる所得

源泉徴収で課税が終わる上場株式の配当や譲渡益、NISA口座で得た利益、預貯金の残高そのものは、負担割合の判定には含まれません11。保有している資産が多くても、それだけで2割・3割になるわけではないのです。

ただし、確定申告をした株式の譲渡所得などは合計所得金額に含まれます12。株の売却益を申告するかどうかで翌年の負担割合が変わることもあるため、親御さんが確定申告を考えているときは、介護保険の自己負担への影響も考慮して判断することをおすすめします。

判定基準に親の数字を当てはめる|世帯の65歳以上が1人か2人以上かで分かれる

世帯の65歳以上が本人だけの場合と2人以上の場合に分けた、介護保険の負担割合の判定フローチャート

年金収入と合計所得金額が確認できたら、親御さんと同じ世帯(住民票上の世帯)13に65歳以上の方が何人いるかを確かめます。STEP1の基準は本人の所得だけで見るため世帯の人数を問わず共通ですが、STEP2の基準は、世帯の65歳以上が2人以上の場合のほうが高く設定されています14。

パターンA:世帯の65歳以上が親本人だけ

  1. 本人の合計所得金額が160万円未満→1割
  2. 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満
    • 年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上→2割
    • 同じく280万円未満→1割
  3. 本人の合計所得金額が220万円以上
    • 年金収入+その他の合計所得金額が340万円以上→3割
    • 同じく280万円以上340万円未満→2割
    • 同じく280万円未満→1割

パターンB:世帯の65歳以上が2人以上

  1. 本人の合計所得金額が160万円未満→1割
  2. 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満
    • 65歳以上全員の年金収入+その他の合計所得金額が346万円以上→2割
    • 同じく346万円未満→1割
  3. 本人の合計所得金額が220万円以上
    • 65歳以上全員の年金収入+その他の合計所得金額が463万円以上→3割
    • 同じく346万円以上463万円未満→2割
    • 同じく346万円未満→1割

夫婦ともに65歳以上で同じ世帯に暮らしている場合は、2人分の年金収入等を合算したうえでパターンBに当てはめます。

検算の例1:一人暮らしの母、年金収入290万円のみ

65歳以上で年金収入が290万円の場合、公的年金等控除の110万円を差し引くと、年金の所得は180万円になります15。介護保険の判定ではここからさらに10万円を差し引くため、合計所得金額は170万円となり、STEP1の「160万円以上」に当たります。

続いてSTEP2を見ると、年金収入290万円は、65歳以上が本人だけの場合の基準「280万円以上340万円未満」に収まります。両方の基準を満たすため、判定は2割です。年金収入だけの一人暮らしでは、年金収入が280万円に届かなければ、STEP1・STEP2のどちらの基準も満たさず1割になります。

検算の例2:父は不動産収入あり、母は年金のみの夫婦

父(80歳)は年金収入300万円と不動産所得100万円、母(78歳)は年金収入70万円のみ、という夫婦のケースです。父の合計所得金額は、年金の所得190万円から10万円を引いた180万円に不動産所得100万円を加えた280万円となり、STEP1の「220万円以上」に当てはまります。

STEP2は夫婦2人分の合計で判定するため、父の年金収入300万円と不動産所得100万円、母の年金収入70万円を足すと470万円です。これは65歳以上が2人以上の世帯の3割の基準「463万円以上」に当たるため、父は3割になります。

一方で母は、年金収入70万円では年金の所得が0円となり、合計所得金額が160万円未満のため1割です。負担割合は世帯単位ではなく、65歳以上の方一人ひとりについて判定されるため、同じ世帯の夫婦でも割合が分かれることがあります16。

判定に入るのは同じ世帯の65歳以上だけ|同居や世帯分離で割合は変わるか

同じ世帯のうち65歳以上の家族だけが負担割合の判定に入ることを示す、家族のアイコンの図

「親を呼び寄せて同居すると、自分の収入まで合算されて親の負担割合が上がるのでは?」と心配になる方もいるのではないでしょうか。しかし実際には、判定の2段階目(STEP2)で合算されるのは、住民票上の同じ世帯にいる65歳以上の方の年金収入等(年金収入とその他の合計所得金額の合計)に限られます17。

64歳以下の家族の所得は数えない

この扱いは、自治体の案内でもはっきり示されています。たとえば東京都文京区は「利用者負担割合の判定に当たっては、同一世帯内であっても64歳以下の方の所得は勘案されません」と案内しています18。また江東区も、65歳以上が本人だけか2人以上かは同じ世帯の65歳以上の人数で判断し、65歳未満の方は人数に含めないと説明しています19。

したがって、50代のお子さんの世帯に親御さんが転入しても、親の判定にお子さんの給与収入が含まれることはありません。親の割合を左右するのは、あくまで親本人の所得と、同じ世帯にいる65歳以上の方(多くの場合は配偶者)の年金収入等だけです。

世帯分離で動き得るのは、世帯の課税状況で決まる制度

同じ理由から、65歳未満のお子さんと住民票上の世帯を分けても(世帯分離しても)、親の負担割合そのものは変わらないと考えられます。割合が変わり得るのは、65歳以上の夫婦が別々の世帯になり、STEP2の基準が「65歳以上が2人以上」から「本人だけ」へ切り替わるようなケースです。

ただし介護保険には、負担割合とは別に、世帯の住民税の課税状況で決まる制度もあります。1か月の自己負担の上限を定める高額介護サービス費の区分20や、施設の食費・居住費を軽くする補足給付(特定入所者介護サービス費。世帯全員が住民税非課税であることが条件)21が代表例で、世帯分離で影響を受け得るのは、主にこうした世帯単位で決まる制度のほうです。

なお、世帯を分けると国民健康保険料の算定や扶養控除にも影響が及び、世帯全体で見るとかえって負担が増える場合もあります。世帯単位で決まる制度の仕組みや、世帯を分ける前に確かめたい点は、「同居介護の費用はいくら?月額の目安と世帯で変わる制度」で詳しく整理しています。

負担割合証はいつ届き、どんなときに割合が変わるか

負担割合証が7月ごろ届き、8月1日から翌年7月31日まで使われることと、年度途中で変わる場面を示すタイムライン

判定の結果は、市区町村から届く「介護保険負担割合証」で確かめます。要介護・要支援の認定を受けている方に交付される証明書で、その方の負担割合と有効期間が書かれています22。

毎年7月に届き、8月1日から1年間使う

たとえば2026年7月に届く負担割合証は、2026年8月1日から2027年7月31日までの1年間使います23。サービスを利用するときは、介護保険被保険者証と一緒にケアマネジャーや事業所へ提示します。

「去年は1割だったのに今年から2割になった」という変化は、この8月の切り替えで起こります。割合証が届いたら、割合と有効期間の2か所を確認し、前の年と比べておくと変化に気づけます。

年度の途中で割合が変わる場面

原則として1年間使う負担割合証ですが、年度の途中でも次のような場合は割合が判定し直されます24。

  • 所得の修正申告などで、前年の所得が変わったとき:
    その年の8月1日にさかのぼって割合が改められます。差額は、払い足りなかった分は5年、払い過ぎていた分は2年までさかのぼって精算されます。
  • 同じ世帯の65歳以上の顔ぶれが変わったとき(転入・転出・死亡など):
    同じ世帯にいる他の65歳以上の方は、原則として翌月の初日から新しい割合になります(変化が月の初日ならその月から)。他の市町村から転入した本人は、転入した日から転入先で判定し直されます。
  • 65歳になったとき:
    2割・3割の基準に当たる方は、65歳に到達した翌月から(到達日が月の初日ならその月から)その割合になります25。

親御さんの呼び寄せや配偶者が亡くなったときの住民票の届出は、同じ世帯の65歳以上の顔ぶれを変えるため、割合の判定にも関わります。

割合が違うと思ったときに確かめること

自分で試算した割合と負担割合証の記載が合わないときは、市区町村の介護保険の担当窓口に、判定に使われた世帯の構成と所得の内訳を問い合わせてみてください。判定は市区町村が行っており、割合証に書かれた割合が正式なものです。

考えられる原因には、住民税の申告漏れや世帯変更の届出の遅れがあります。たとえば住民税が未申告で前年の所得が確定していない方は、判定上いったん1割として扱われ、後から所得が確定した段階でさかのぼって割合が直されます26。

また、介護保険料の滞納があり、その保険料が時効で徴収できなくなっている期間がある場合も注意が必要です。この場合は一定期間、割合証の割合より重い負担になり、1割・2割の方は3割に、3割の方は4割に引き上げられます27,28。

翌年の割合が変わるきっかけと、2割負担の対象拡大の議論

前年の所得が判定の境目をまたぐと翌年の割合が変わることと、2割負担の対象拡大が議論中であることを示す図

介護が数年にわたって続く場合、毎年8月の判定のたびに負担割合が変わる可能性があります。翌年以降の割合を見通すには、前年の所得の増減と、国の制度見直しの動きという2つの視点を持っておくことが大切です。

前年の所得が境目をまたぐと、翌年の割合が動く

判定の境目となるのは、本人の合計所得金額(収入から控除を引いた所得)の160万円・220万円や、世帯の年金収入等(年金収入とその他の合計所得金額の合計)の280万円・346万円といったラインです29。この近くにいる親御さんは、前年の収入がわずかに増減しただけでも、翌年の負担割合が切り替わることがあります。

たとえば、不動産を売却して特別控除の範囲を超える譲渡所得が出た年や、株式の譲渡益を確定申告した年、家賃や事業の収入が増えた年は、翌年8月から割合が上がることがあります。反対に、収入が減れば割合が下がることもあります。

2割負担の対象を広げる案は、2026年10月時点で未決定

国の社会保障審議会介護保険部会では、2割負担の対象を広げるかどうかの議論が続いています。2025年12月の部会では、65歳以上が本人だけの世帯で「年金収入+その他の合計所得金額」280万円以上としている現行の基準を、260万円〜230万円まで(夫婦の世帯では326万円〜296万円まで)引き下げる案が選択肢として示されました30。

あわせて、急な負担増を和らげる配慮措置として、新たに2割負担となる方の負担増を当分の間は月7,000円までに抑える案や、預貯金などが一定額以下であれば申請により1割負担に戻す案も検討されています31。

部会の意見では、第10期介護保険事業計画(2027年度から)が始まる前までに結論を得ることが適当とされており32、2026年9月の部会でも議論が続いています33。2026年10月時点では、どの案が採用されるのか、いつから適用されるのかは決まっていません。

そのため、世帯の年金収入等が230万〜280万円前後(夫婦の世帯なら296万〜346万円前後)の親御さんがいるご家庭では、厚生労働省や自治体の発表を確かめながら、介護費用の見通しに少し余裕を持たせておくと安心です。

2割・3割になっても、支払いがそのまま2倍・3倍になるとは限らない

高額介護サービス費で介護サービスの自己負担に月の上限があり、施設の居住費・食費は補足給付で軽くなることを示す図

負担割合が1割から2割に上がると、「介護にかかる費用がすべて2倍になってしまうのでは」と不安に感じるかもしれません。しかし実際には、割合が及ぶのは支払いの一部に限られ、さらに毎月の自己負担額に上限を設ける仕組みもあるため、支払いが単純に2倍・3倍になるとは限りません。

割合が及ぶのは、介護サービス費の自己負担分だけ

割合が上がると施設の費用がすべて高くなるように思えますが、施設に入ったときの居住費・食費・日常生活費は、割合とは関係なく自己負担です34。

施設サービスでは支払いのうち居住費や食費が大きな部分を占めるため、割合が1割から2割に上がっても、支払い全体が2倍になるわけではありません。

1か月の自己負担には上限がある(高額介護サービス費)

同じ月に利用した介護サービスの自己負担の合計が上限額を超えた場合、申請によって超えた分が払い戻されます。この仕組みが「高額介護サービス費」で、一般的な住民税課税世帯の上限は月44,400円です35。

この上限の区分は負担割合とは連動しておらず、世帯の住民税の課税状況や、世帯内の65歳以上の方の課税所得によって分かれます36。札幌市も「2~3割になった方の全員が、2~3倍の負担になるわけではありません」と案内しています37。

区分ごとの上限額や、申請から払い戻しまでの流れは、「高額介護サービス費でいくら戻る?申請4ステップと2回目以降の手続き」で詳しく整理しています。

施設の食費・居住費は、補足給付で軽くなる場合がある

高額介護サービス費の対象外となる施設やショートステイの食費・居住費には、低所得の方向けに「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という軽減の仕組みがあり、利用するには市区町村に申請して負担限度額認定を受けます38。対象となるのは、世帯全員が住民税非課税で、本人と配偶者の預貯金などが一定額以下の方です39。

補足給付では、所得に応じて段階を分けて負担の限度額が決められています。2026年8月からは、その段階を分ける「年金収入+合計所得金額」の基準額が、80.9万円から82.65万円に引き上げられました40。なお補足給付の判定では、負担割合の判定では数えない遺族年金や障害年金も年金収入に含めるため41、同じ「年金収入」でも数え方が違います。

低所得の人向けの軽減と、医療費との合算

このほか、住民税非課税で生計が苦しい方を対象に、社会福祉法人などが提供するサービスの利用者負担(介護サービス費・食費・居住費)を原則4分の1(老齢福祉年金を受け取っている方は2分の1)軽くする制度もあり、対象かどうかは市区町村が個別に判断します42。

また、医療と介護の両方で自己負担が重くなったご家庭には、同じ医療保険の世帯内で1年間の医療と介護の自己負担を合算し、基準額を超えた分を払い戻す「高額医療・高額介護合算制度」もあります43。

こうした制度を含めた在宅介護の費用の全体像は、「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす6つの制度」で整理しています。

親の負担割合を確かめるための手順

書類をそろえてから上限と軽減の手続きまで、親の負担割合を確かめる5つの手順のチェックリスト

試算に必要なのは、親御さんの書類2つと、世帯構成の確認です。次の順に進めると、届いた負担割合証との照合から、負担を抑える手続きまでを一度に済ませられます。

  • Step1
    必要書類を準備する

    親御さんの「公的年金等の源泉徴収票」と、市区町村が発行する「所得(課税)証明書」を用意します。

  • Step2
    世帯の65歳以上の人数を確かめる

    住民票上の同じ世帯に、親本人のほかに65歳以上の家族がいるかを確認します。

  • Step3
    判定フローに当てはめる

    年金や給与の所得から10万円を差し引いたうえで、本人の合計所得金額(STEP1)と世帯の年金収入等(STEP2)を順にたどります。

  • Step4
    負担割合証と照らし合わせる

    試算結果と割合証の記載が一致するかを確かめ、ずれがあれば市区町村の介護保険の担当窓口へ判定の根拠を問い合わせます。

  • Step5
    上限と軽減の手続きを済ませる

    高額介護サービス費を申請して払い戻しを受けられるようにし、施設やショートステイを利用する予定があれば負担限度額認定(補足給付)もあわせて申請します。

なお、基準額や軽減制度の要件は制度改正で見直されることがあり、手続きの運用も自治体ごとに異なる場合があります。最終的な割合は、市区町村の窓口と、手元に届く負担割合証で確かめてください。

在宅介護を続けやすくする住まいの工夫と、その比べ方

自宅のリフォーム、施設への入居、庭に別棟の介護ハウスを設置する方法の3つを同じ観点で比べる図

負担割合や自己負担の上限額は制度と所得で決まるため、ご家族の工夫で動かせる部分は多くありません。一方で、親御さんが住み慣れた場所で暮らし続けやすい住環境を整えることは、日々の介助の負担や、施設への住み替えを考える時期にも関わってくると考えられます。

住まいの3つの選択肢を比べる

介護が必要になった親御さんの住まいを考えるときの選択肢としては、「自宅のリフォーム」「施設への入居」「庭に別棟を設置する」の3つが挙げられます。それぞれの特徴を同じ観点で比べると、次のようになります。

観点自宅をリフォームする施設に入る庭に別棟を設置する(C’ZBシニアリビング)
初期費用工事の内容で大きく変わる入居時の費用は施設の種類で異なる本体のほか基礎工事・設置の費用がかかる
工期・手間工事中は生活に制約が出ることがある空きを待つことがある工場で完成させて搬入するため、基礎工事後は最短で当日から使える
プライバシー同じ屋内のため確保しにくい個室なら確保しやすい母屋と分かれ、近くにいながら確保しやすい
介護負担家族の介護が中心施設の職員が担う家族の介護が中心だが、様子を見に通いやすい
将来の扱い自宅の一部として残る退去すれば契約が終わる使い終わったあと買取に対応できる場合がある
設置・入居の条件建物の構造による制約がある要介護度などの入居要件がある庭のスペースのほか、建築確認や固定資産税の扱いを確認する

どの方法が合うかは、敷地の広さや親御さんの身体の状態、そしてご家族が介護にどこまで関われるかによって変わります。費用や条件はご家庭ごとに大きく異なるため、見積もりを取りながら比べることが大切です。

C’ZBシニアリビングが向く家庭、向かない家庭

C’ZBシニアリビングは、自宅の庭や敷地内に設置できる別棟型の介護専用ハウスです。

工場で組み立てを終えた建物をクレーン付きトラックで運んで設置する工法で、高い断熱性能を備え、一人用から夫婦用まで暮らし方に合わせて選べます。

庭に設置できるスペースがあり、「親のすぐそばで見守りながら、お互いの生活リズムやプライバシーも大切にしたい」と考えるご家庭には、選択肢の一つになると考えられます。一方で、同じ屋根の下で常に見守りたい場合や、設置できる敷地がない場合は、母屋のリフォームや施設への入居のほうが合うこともあります。

よくある質問

Q
親の介護保険の負担割合を、自分で確かめる方法はありますか?
A

年金の源泉徴収票と市区町村の所得証明書があれば確かめられます。年金収入は源泉徴収票の「支払金額」欄、合計所得金額(収入から控除を引いた所得)は所得証明書で確認しましょう。判定では、年金や給与の所得から10万円が差し引かれます。そのうえで、本人の合計所得金額が160万円以上か、同じ世帯の65歳以上の年金収入と他の所得の合計が280万円(65歳以上が2人以上なら346万円)以上かを確かめます。

Q
親が2割負担になりました。1割に戻すことはできますか?
A

市区町村が前年の所得をもとに毎年判定するため、ご家族の申請や希望だけで1割に戻すことはできません。ただし、前年の所得が基準を下回れば、次の8月から1割に戻ります。また、所得の申告漏れや世帯変更の届出の遅れで、判定が実態とずれていることもあります。試算した結果と合わないなど気になる点があれば、市区町村の介護保険の担当窓口へ判定の根拠を問い合わせてみましょう。

Q
同居している子の収入で、親の負担割合は上がりますか?
A

いいえ、同居する子が64歳以下であれば、親の判定には影響しません。負担割合の判定で合算されるのは、本人と、住民票上で同じ世帯にいる65歳以上の家族の年金収入などに限られるためです。そのため、子が同居して世帯主になっても親の割合は上がりません。ただし、1か月の自己負担の上限を定める高額介護サービス費の区分などは世帯の住民税の課税状況で決まるため、同居によって上限額が変わる場合があります。

Q
負担割合は、1年の途中で変わることがありますか?
A

はい、年度の途中でも変わることがあります。修正申告などで前年の所得が変わった場合は、その年の8月1日にさかのぼって割合が見直されます。また、転入・転出や死亡で同じ世帯の65歳以上の顔ぶれが変わった場合も、原則として翌月の初日(他の市町村からの転入者は転入日)から新しい割合に切り替わります。割合が変わったときは、市区町村から新しい負担割合証が届きます。

Q
負担割合が3割でも、支払いに上限はありますか?
A

はい、上限があります。介護サービスの自己負担の合計が1か月の上限を超えた場合、「高額介護サービス費」として申請すると超えた分が払い戻されます。一般的な住民税課税世帯の上限は月44,400円で(所得の高い世帯は上限も高くなります)、2割・3割でも超えた分は戻ります。ただし、施設の食費・居住費・日常生活費は対象外で、要件を満たす低所得の方は、食費・居住費を軽くする補足給付を別に申請できます。

まとめ:親の負担割合は、手元の書類から判定できる

介護保険の負担割合は、65歳以上の方一人ひとりについて毎年判定されます。

判定の材料は、親御さん自身の所得と、住民票上で同じ世帯にいる65歳以上の家族の年金収入などに限られます。2割・3割になるのは認定を受けた方の1割弱にとどまり、割合が上がった場合でも、介護サービスの自己負担には1か月ごとの上限が設けられています。

Point
  • 判定に使う数字は、年金の源泉徴収票と所得証明書から確かめられる(介護保険の判定では年金・給与の所得から10万円を差し引く)
  • 64歳以下の子の収入は判定に含まれず、子と世帯を分けても親の負担割合は変わらないと考えられる
  • 割合は毎年8月に切り替わり、修正申告や世帯構成の変化があれば年度の途中でも見直される
  • 2割負担の対象拡大をめぐる議論は、2026年10月時点で決まっていない

まずは親御さんの源泉徴収票と、手元に届いている負担割合証を並べて、割合が合っているかを確かめることから始めましょう。負担割合や上限額の見通しが立てば、介護サービスをどこまで使えるか、在宅介護をどう組み立てるかも具体的に考えやすくなります。

在宅介護を無理なく長く続けるための住まいの選択肢として、自宅の庭に設置できる別棟の介護専用ハウス「C’ZBシニアリビング」があります。親との適度な距離を保ちながら、お互いのプライバシーを両立する暮らし方は、サービスの紹介ページで詳しく紹介しています。

将来に向けた選択肢の一つとして、参考にしてみてください。

脚注

  1. 厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会(第130回)資料1 持続可能性の確保」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001603423.pdf ↩︎
  2. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法施行令 第22条の2」(1998年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  3. 江東区「介護保険負担割合証の交付」(2026). https://www.city.koto.lg.jp/212102/fukushi/kaigohoken/tetsuzuki/92273.html ↩︎
  4. 厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会(第130回)資料1 持続可能性の確保」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001603423.pdf ↩︎
  5. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法施行令 第22条の2」(1998年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  6. 日本年金機構「令和7年分 公的年金等の源泉徴収票」(2025). https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tuutisyo/gensen/20251223.html ↩︎
  7. 札幌市「介護保険サービスを利用したときの利用者負担割合について」(2025). https://www.city.sapporo.jp/kaigo/kaigohoken/riyousyahutan.html ↩︎
  8. 江東区「介護保険負担割合証の交付」(2026). https://www.city.koto.lg.jp/212102/fukushi/kaigohoken/tetsuzuki/92273.html ↩︎
  9. 日本学生支援機構「所得証明書等の見方(減額返還制度)」(2026). https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/tetsuzuki/shoumei/mikata.html ↩︎
  10. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法施行令 第22条の2」(1998年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  11. 厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会(第129回)資料2 持続可能性の確保」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001597739.pdf ↩︎
  12. 札幌市「介護保険サービスを利用したときの利用者負担割合について」(2025). https://www.city.sapporo.jp/kaigo/kaigohoken/riyousyahutan.html ↩︎
  13. 札幌市「介護保険サービスを利用したときの利用者負担割合について」(2025). https://www.city.sapporo.jp/kaigo/kaigohoken/riyousyahutan.html ↩︎
  14. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法施行令 第22条の2」(1998年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  15. 国税庁「暮らしの税情報(令和8年度版) 高齢者と税(年金と税)」(2026). https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_1.htm ↩︎
  16. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.997 介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」(2021). https://www.mhlw.go.jp/content/000801668.pdf ↩︎
  17. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法施行令 第22条の2」(1998年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  18. 文京区「介護保険の利用者負担割合」(2025). https://www.city.bunkyo.lg.jp/b020/p000570.html ↩︎
  19. 江東区「介護保険負担割合証の交付」(2026). https://www.city.koto.lg.jp/212102/fukushi/kaigohoken/tetsuzuki/92273.html ↩︎
  20. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  21. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1506 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」(2026). https://www.mhlw.go.jp/content/001706483.pdf ↩︎
  22. 文京区「介護保険の利用者負担割合」(2025). https://www.city.bunkyo.lg.jp/b020/p000570.html ↩︎
  23. 江東区「介護保険負担割合証の交付」(2026). https://www.city.koto.lg.jp/212102/fukushi/kaigohoken/tetsuzuki/92273.html ↩︎
  24. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.997 介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」(2021). https://www.mhlw.go.jp/content/000801668.pdf ↩︎
  25. 札幌市「介護保険サービスを利用したときの利用者負担割合について」(2025). https://www.city.sapporo.jp/kaigo/kaigohoken/riyousyahutan.html ↩︎
  26. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.997 介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」(2021). https://www.mhlw.go.jp/content/000801668.pdf ↩︎
  27. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法 第69条(保険料を徴収する権利が消滅した場合の保険給付の特例)」(1997年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ↩︎
  28. 江東区「介護保険負担割合証の交付」(2026). https://www.city.koto.lg.jp/212102/fukushi/kaigohoken/tetsuzuki/92273.html ↩︎
  29. デジタル庁 e-Gov法令検索「介護保険法施行令 第22条の2」(1998年制定・2026年10月時点の現行条文). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  30. 厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会(第130回)資料1 持続可能性の確保」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001603423.pdf ↩︎
  31. 厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会(第130回)資料1 持続可能性の確保」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001603423.pdf ↩︎
  32. 厚生労働省「介護保険制度の見直しに関する意見(社会保障審議会介護保険部会)」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001622725.pdf ↩︎
  33. 厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会(第136回)資料2 持続可能性の確保(給付と負担)について」(2026). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001750952.pdf ↩︎
  34. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  35. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  36. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  37. 札幌市「介護保険サービスを利用したときの利用者負担割合について」(2025). https://www.city.sapporo.jp/kaigo/kaigohoken/riyousyahutan.html ↩︎
  38. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  39. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1506 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」(2026). https://www.mhlw.go.jp/content/001706483.pdf ↩︎
  40. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1506 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」(2026). https://www.mhlw.go.jp/content/001706483.pdf ↩︎
  41. 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1506 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」(2026). https://www.mhlw.go.jp/content/001706483.pdf ↩︎
  42. 福岡県「介護保険サービスの利用者負担を軽くする制度」(2026). https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kaigohoken-riyousyafutankeigen.html ↩︎
  43. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎