介護保険サービスの種類と使い方|費用・自己負担まで完全ガイド

介護保険サービス完全ガイドの表紙イメージ 介護保険・認定

親の退院が決まり、病院のスタッフから「これからは介護保険を使いましょう」と言われたものの、何から手を付ければよいのか、費用はどのくらいかかるのか見当もつかない。そんな不安を抱えながら調べ始めた方も多いのではないでしょうか。

介護保険サービスは、要介護や要支援の認定を受けると、原則1割の自己負担で利用できます。さらに、1か月に使えるサービスの量にも、支払う自己負担額にもそれぞれ上限があるため、費用が際限なく膨らむ仕組みではありません。

最初の一歩は、地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)か市区町村の窓口への相談です。

この記事でわかること
  • 相談から利用開始までの流れと、認定が出るまでにかかる日数
  • 介護保険サービスの種類と特徴(居宅・施設・地域密着型)
  • 自己負担の割合・1か月の上限・払い戻し(高額介護サービス費)の仕組み
  • 在宅生活を支えるサービスの組み合わせ例と、介護を受けやすい住まいの整え方

介護保険の基本|対象になる人と運営のしくみ

介護保険の運営主体・対象になる人・利用開始までを示した図解

介護保険のサービスを利用できるかどうかは、「親の年齢」と「介護が必要になった原因」の2点で判断されます。まずは制度の骨組みを、4つのポイントで押さえておきましょう。

  1. 制度の目的:
    40歳以上の人が保険料を出し合い、介護が必要になった高齢者を社会全体で支え合うための社会保険制度です。
  2. 運営する主体(保険者):
    親が住んでいる市区町村(東京23区を含む)が運営しています1。相談や申請の窓口が市区町村にあるのは、このためです。
  3. 保険料を納める人(被保険者):
    • 第1号被保険者:65歳以上の方
    • 第2号被保険者:40〜64歳で、公的医療保険に加入している方2
  4. サービスを利用できる人:
    • 65歳以上:介護が必要になった原因を問わず、市区町村から「要介護」または「要支援」の認定を受けた方
    • 40〜64歳:末期がんや関節リウマチなど、政令で定められた16種類の特定疾病が原因で介護が必要になり、認定を受けた方3

どちらの場合も、年齢に達したからといって、自動的にサービスを受けられるわけではありません。ご本人やご家族などが市区町村へ申請し、認定を受けて初めて利用できるようになります。

【使い方】相談から利用開始までの流れ(6ステップ)

介護保険サービスを相談から利用開始まで6つのステップで示した図解

親の介護保険を使い始めるまでの手続きは、次の6つのステップで進みます。最初にすべきことは、申請書をいきなり記入することではなく、地域の相談窓口に足を運ぶ(または電話する)ことです。

介護保険サービスを使い始めるまでの流れ
  • STEP1
    窓口に相談する

    「何から始めればいいか分からない」という段階でまったく問題ありません。親が住む地域の相談窓口に連絡してみましょう。次のどちらの窓口でも、無料で相談に乗ってもらえます。

    • 市区町村の介護保険担当窓口:高齢者福祉課・介護保険課など
    • 地域包括支援センター:おおむね中学校区ごとに設置されている、高齢者の総合相談窓口
  • STEP2
    要介護認定を申請する

    市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む)を申請します。申請はご本人のほか、ご家族が代わりに行うこともでき、主な持ち物は次のとおりです。

    • 要介護・要支援認定申請書
    • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
    • 医療保険の資格が確認できる書類(40〜64歳の方。資格確認書や「資格情報のお知らせ」など)4
    • 主治医の氏名や医療機関名が分かるもの(診察券など)

    40〜64歳の方の医療保険の確認方法は自治体によって異なる場合があるため、STEP1の相談のときに確かめておくと二度手間を防げます。

  • STEP3
    認定調査を受ける

    申請後、市区町村の調査員などが自宅や入院先を訪ね、心身の状態を74項目にわたって聞き取ります5。並行して、市区町村が主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。※費用の自己負担はありません6。

    調査には、できるだけ家族が立ち会いましょう。「調子が良い日はできるが、できない日も多い」といった日々の波は、メモにして渡すと伝わりやすくなります。

  • STEP4
    審査・判定を経て、結果が届く

    調査結果をもとにコンピュータが行う一次判定のあと、医療・保健・福祉の専門家でつくる介護認定審査会が、主治医意見書や調査員の特記事項を踏まえて二次判定を行います。

    結果は非該当(自立)・要支援1〜2・要介護1〜5の8区分に分かれ7、認定されると、結果の通知とあわせて、区分が記載された介護保険被保険者証が返されます8。

  • STEP5
    ケアプランを作る

    どのサービスを、いつ、どのくらい利用するかをまとめた計画書が「ケアプラン(介護サービス計画)」で、介護保険のサービスは原則としてこの計画に沿って利用します。作成を担当するのは、認定区分によって次のとおりです。

    • 要支援1・2:地域包括支援センター
    • 要介護1〜5:居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)

    どちらに依頼しても、ケアプランの作成費用に自己負担はありません9。ただし、プランの中身は担当のケアマネジャーによって変わります。

    頼れるケアマネジャーの見極め方と探し方は、「ケアマネの選び方と探し方|良い担当を見極める7つの基準」で詳しく紹介しています。

  • STEP6
    事業所と契約し、利用を始める

    完成したケアプランに沿って、訪問介護やデイサービスなどの事業所とそれぞれ利用契約を結び、サービスの利用が始まります。

なお、STEP4の判定のうち「要支援2」と「要介護1」は、介護にかかる手間の目安(要介護認定等基準時間)が同じ範囲にあります。

両者を分けるのは、認知機能の低下で予防のためのサービスを理解するのが難しいか、心身の状態が短期間で変わりそうか、という2点です10。身体の介助量だけで振り分けられるわけではありません。

認定までにかかる日数と、急ぐときの暫定ケアプラン

申請から結果が届くまでの期間について、介護保険法は、申請のあった日から30日以内に結果を出すことを原則としています。※調査に時間がかかるなど特別な理由がある場合は延長できます11。

しかし、実際にはそれ以上かかることが珍しくありません。2024年4月〜2025年3月(令和6年度)に申請された分の全国集計では、申請から認定までの平均は39.9日で、30日以内に終わったのは申請全体の22.8%にとどまっています12。

親の退院日が迫っている場合、この約40日の待ち時間は家族にとって深刻な悩みになります。そこで知っておきたいのが、要介護認定の効力は申請日にさかのぼって生じるというルールです13。

そのため、認定結果が出る前でも、ケアマネジャーや地域包括支援センターが認定区分を見込んで「暫定ケアプラン」を作り、結果を待たずにサービスを始める方法があります。

ただし、実際の認定が見込みより軽かった場合は上限を超えた分が、「非該当(自立)」と判定された場合は利用した分のすべてが、自己負担になります。急ぐときこそ、最初の相談で見込みを聞き、外れても困らない範囲でサービスを始めると安心です。

非該当だった場合

もし認定の結果が「非該当(自立)」だったとしても、公的な支援がまったく受けられなくなるわけではありません。市区町村が行う地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業など)で、生活機能を保つためのサービスや生活支援を使える場合があります14。

申請のタイミングの見極め方や、非該当になったときの対応は、「とりあえず介護認定を取るのはアリ?申請タイミングの正解と落とし穴」で詳しくまとめています。

【一覧】介護保険サービスの種類|居宅・施設・地域密着型

介護保険サービスの種類を居宅・施設・地域密着型に分類した一覧図

介護保険で利用できるサービスは、自宅で暮らしながら利用する「居宅サービス」、施設に入所して24時間のケアを受ける「施設サービス」、住み慣れた地域で暮らし続けるための「地域密着型サービス」の3つに大きく分かれます(要支援の方には、それぞれに対応する介護予防サービスがあります)15。

在宅介護を軸に考える場合、主に利用するのは居宅サービスと地域密着型サービスです。

居宅サービス|自宅で暮らしながら使う

居宅サービスは、日々の暮らしのどの場面を支えてもらいたいかに注目すると選びやすくなります。利用の形は「来てもらう」「通う」「泊まる」「環境を整える」の4つです。

場面主なサービス内容
来てもらう
(訪問)
訪問介護/訪問入浴/訪問看護/訪問リハビリホームヘルパーや看護師、リハビリの専門職が自宅を訪問し、入浴・排泄・食事の介助や掃除・調理などの生活援助、医療的なケアやリハビリを行います。
通う
(通所)
通所介護(デイサービス)/通所リハビリ(デイケア)日帰りで施設に通い、食事や入浴の介助、機能訓練などを受けます。親の気分転換や孤立防止になるうえ、通っている間は家族が仕事や休息に時間を使えます。
泊まる
(短期入所)
ショートステイ(短期入所生活介護/療養介護)施設に短期間泊まり、食事や入浴などの介護や機能訓練を受けます。家族の出張や冠婚葬祭のほか、介護疲れを癒やす休息(レスパイト)にも使えます。
環境を整える福祉用具の貸与(レンタル)/特定福祉用具の購入/住宅改修介護ベッドや車いす、歩行器などを借りられるほか、入浴・排泄用品の購入や、手すりの取り付け・段差の解消などの工事に費用が支給されます。

居宅サービスのうち、「特定福祉用具の購入」と「住宅改修」の2つは、費用の支給のルールがほかのサービスと異なります。購入は同じ年度(4月〜翌年3月)で10万円まで16、住宅改修は20万円までが支給の対象で17、どちらも毎月の利用上限(区分支給限度基準額)とは別の枠で支給されます18。

住宅改修の20万円でできる工事の例と、上限を超えたときの選択肢は、「【結論】介護保険のリフォーム上限は20万円|実例と活用法を解説」で詳しく紹介しています。

また、福祉用具のレンタルには、要介護度による制限があります。手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえは要支援の方から借りられますが、介護ベッド(特殊寝台)や車いすなどは、要支援1・2と要介護1の方は原則として給付の対象外です。※心身の状態によっては、例外として認められる場合があります19。

介護ベッドや車いすの選び方と、借りるか買うかの判断は、「介護ベッド・車椅子の選び方|費用を抑える賢い借り方・買い方」で詳しく比較しています。

施設サービス|施設に入って24時間の介護を受ける

介護保険を使って入所できる施設は、次の3種類です。いずれも要支援1・2の方は利用できません20。

施設対象・特徴
特別養護老人ホーム(特養)常に介護が必要で、自宅での生活が難しくなった高齢者が長く暮らす施設です。新たに入所できるのは原則として要介護3以上で、要介護1・2の方はやむを得ない事情がある場合に限られます21。
介護老人保健施設(老健)病状が安定し、自宅への復帰を目指す方が、リハビリや医療的なケア、日常の介護を受ける施設です。
介護医療院長期にわたる療養のための医療と、日常的な介護の両方を必要とする方が入所する施設です。

施設サービスでは、介護サービス費の自己負担に加えて、居住費(部屋代)・食費・日常生活費がかかります22。

なお、有料老人ホームなどでも、「特定施設」の指定を受けている住まいであれば、入居したまま介護保険のサービス(特定施設入居者生活介護)を利用できます23。

地域密着型サービス|住んでいる市区町村の中で使う

地域密着型サービスは、認知症や重度の要介護状態になっても、住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるよう設けられたサービスです。原則として、事業所がある市区町村に住んでいる方だけが利用できます24。

サービス内容
定期巡回・随時対応型訪問介護看護24時間体制で、1日に複数回の短時間の定期訪問と、呼び出しに応じた随時の訪問(介護・看護)を組み合わせます。
夜間対応型訪問介護夜間の定期的な巡回訪問と、急な体調の変化などで呼び出したときの随時の訪問を行います。
小規模多機能型居宅介護1つの事業所と契約し、顔なじみのスタッフによる「通い」を中心に、「訪問」や「泊まり」を状況に応じて組み合わせて利用できます。
看護小規模多機能型居宅介護小規模多機能型居宅介護に訪問看護を加えたサービスで、退院直後の方や医療的なケアが必要な方にも対応します。
認知症対応型通所介護認知症の方を対象にした、少人数でケアを受けられるデイサービスです。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)認知症の方が、1つの住居に5〜9人で共同生活を送りながら、スタッフの支援を受けて暮らします(要支援1の方は対象外)25。

地域密着型サービスは自治体ごとに事業所の数が限られており、希望しても空きがない場合があります。親の状態に合うかどうかも含めて、ケアマネジャーに地域の空き状況を確認してもらいましょう。

費用と自己負担|原則1割・月の上限・払い戻し

介護保険の自己負担割合・要介護度ごとの1か月の上限・払い戻しの仕組みを示した図解

介護保険のサービスは、かかった費用の全額を支払うのではなく、決められた割合(1〜3割)だけを自己負担する仕組みです。そのうえで、使える量と支払う額に、それぞれ月ごとの上限があります。

自己負担は原則1割(所得により2割・3割)

たとえば1万円分の介護サービスを利用した場合、1割負担の方が支払うのは1,000円です。一定以上の所得がある方は、2割(2,000円)または3割(3,000円)の負担になります26。

負担割合は、市区町村が本人の前年の所得などをもとに毎年判定し、毎年8月1日までに交付される「介護保険負担割合証」(有効期間:8月1日〜翌年7月31日)に記載されます27。

どの所得で何割になるのか、手元の書類で確かめる方法は、「介護保険の負担割合はどう決まる?1・2・3割の判定基準と確かめ方」で詳しく整理しています。

1か月に使える量の上限(区分支給限度基準額)

在宅で利用するサービスは、要介護度ごとに決まった1か月の上限(区分支給限度基準額)の範囲内なら、1〜3割の自己負担で利用できます。ただし、上限を超えて使った分は全額(10割)が自己負担になります28。

上限は国の基準で「単位」として定められていて、2019年10月の改正以降、据え置かれています29。1単位あたりの単価は10円が基本で、人件費などの地域差に応じて最大11.40円まで上乗せされます30。次の表は、1単位を10円として計算した目安です。

区分支給限度基準額(1か月あたり・2026年10月時点/1単位10円で換算した目安)

要介護度1か月の上限の目安1割負担の目安
要支援1約50,320円約5,032円
要支援2約105,310円約10,531円
要介護1約167,650円約16,765円
要介護2約197,050円約19,705円
要介護3約270,480円約27,048円
要介護4約309,380円約30,938円
要介護5約362,170円約36,217円

実際の金額は、地域の単価やサービスごとの加算によって変わります。要介護度ごとの状態の目安や、受けられるサービスの違いは、「要介護度とは?8段階の違いと受けられるサービス一覧」で詳しく整理しています。

払い過ぎた分は戻り、保険の対象外の費用もある

1か月に支払った自己負担の合計が、所得に応じて決められた上限額を超えた場合は、市区町村に申請すると、超えた分が「高額介護サービス費」として後から払い戻されます。

上限額は段階的に決まっており、住民税が課税されている一般的な世帯(世帯内の65歳以上の方の課税所得が380万円未満)では、世帯の合計で月44,400円です31。

所得区分ごとの上限額と申請の流れは、「高額介護サービス費でいくら戻る?申請4ステップと2回目以降の手続き」で詳しく紹介しています。

ただし、介護にかかる支出のすべてが、高額介護サービス費の対象になるわけではありません。次のような費用は対象外です。

  • 施設やショートステイの居住費(部屋代・滞在費)・食費(介護保険の対象外)32
  • デイサービスの昼食代やおむつ代などの日常生活費(介護保険の対象外)33
  • 特定福祉用具の購入費(介護保険からは、年度10万円までの別枠で支給されます)34

毎月の実際の出費は、介護保険の自己負担額に、食費・居住費・日用品費といった保険の対象外の費用を足した金額になります。

在宅介護の費用の内訳と、負担を軽くする制度は、「在宅介護の費用|月5〜10万円の内訳と負担を減らす6つの制度」で詳しく整理しています。

在宅で支えるサービスの組み合わせ例

要介護2の親を在宅で支えるサービスの組み合わせ例(1週間の予定)の図解

介護保険を利用している方の多くは、施設に入所するのではなく、自宅などで暮らしながら居宅サービスを利用しています。厚生労働省の集計(2026年7月暫定版。主に5月の利用分)では、居宅サービスの受給者が452.0万人で、施設サービスの97.3万人を大きく上回っています(ほかに地域密着型サービスが94.3万人)35。

サービスを組み合わせて自宅で親を支えるのは、特別な選択ではありません。たとえば要介護2の親であれば、次のような組み合わせが考えられます。
※一例で、実際はケアマネジャーと相談しながら、生活のリズムに合わせて調整します。

  • 週2〜3回のデイサービス:入浴や機能訓練、人との交流
  • 週数回の訪問介護:排泄や着替えの介助、掃除や買い物などの生活援助
  • 月に数日のショートステイ:家族が介護から離れて休息をとる(レスパイト)
  • 福祉用具のレンタル:介護ベッドや手すりを入れ、家の中での転倒を防ぐ

こうしたプランは、毎月の区分支給限度基準額(要介護度ごとの1か月の上限)の範囲に収まるように組み立てます。まずは「入浴がつらい」「家族が留守の間の見守りが不安」など、最も切実な困りごとから優先順位をつけていきます。

サービスを活かすのは「住まい」|受けにくい家と整え方

介護サービスを受けにくい家と受けやすい家を対比した図解

どれほど手厚いサービスをケアプランに盛り込んでも、受け入れる住まいのつくりによっては、その効果を十分に引き出せないことがあります。

サービスを受けにくい家の例

たとえば、次のような家では問題が起きがちです。

  • 訪問入浴を頼みたいのに…
    専用の浴槽を運び込むスペースがなく、給排水のホースを這わせる動線も確保できない。
  • 入浴介助を頼みたいのに…
    浴室が狭くてヘルパーが体を支える場所がなく、介助中に転倒する危険が高い。
  • 介護ベッドを入れたいのに…
    置くと部屋が手狭になり、廊下も狭いため車いすで移動できない。

こうした問題は、サービスを使い始めてから気づくことも少なくありません。だからこそ、どのサービスを頼むかを考える段階で、住まいの整え方もあわせて考えておくことが大切です。

住まいを整える4つの方法

介護を受けやすい住まいに整える方法には、「介護リフォーム」「住み替えや建て替え」「施設への入居」「庭に別棟を設置する」の4つがあります。

手すりの取り付けや段差の解消くらいであれば、介護保険の住宅改修を使った介護リフォームで手軽に対応できます。ただし、住宅改修費の支給は20万円までなので、浴室を広げる、部屋を増やすといった間取りそのものの問題までは解決しにくいと考えられます。

介護リフォームの費用相場と補助金の使い方は、「介護リフォームの費用と補助金|4制度の使い方と申請の順序」で詳しく紹介しています。また、自宅か施設かで迷っている方は、「介護はどこで?自宅か施設か5択を4軸で比較【2026年版】」で、費用・プライバシー・家族の負担・将来性の観点から比べています。

【選択肢の一つ】庭に置く介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」

自宅の庭に設置する別棟介護C’ZBシニアリビングのイメージ図

母屋のリフォームでは間取りの問題を解決できないけれど、住み替えや施設への入所には踏み切れない。そうした家族の選択肢の一つが、株式会社アイデアの「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」です。自宅の敷地内(庭など)に設置する、介護専用の独立した別棟(離れ)です。

仕様

  • 工場で完成させたユニットの建物をクレーン付きトラックで運んで据え付けるので、母屋のリフォーム工事は必要ありません。基礎工事が終わっていれば、最短で搬入当日から暮らし始められます。
  • 冬の寒さや夏の暑さに配慮した高断熱の仕様です。
  • 給排水設備とつなげば、専用のトイレや浴室を設けられます。
  • 1ユニットは6.0m×2.4m(普通乗用車の駐車スペースよりひと回り大きい程度)で、必要に応じて連結し、広げることもできます。
  • 使い終わったあとは、建物の状態に応じて買い取りや移設の相談ができ、解体費用をかけずに済む場合があります。

比べるときの見方

介護リフォームや施設入所と比べるときは、次の6つの観点で整理すると、別棟の介護ハウスが家庭に合うかどうかを判断しやすくなります。

観点別棟の介護ハウスの場合
費用建物本体と基礎工事などの初期費用がかかります。一方、施設のような毎月の居住費や管理費はかかりません。
工期・手間母屋には工事の手を入れないので、家族の普段の暮らしを続けながら準備を進められます。
プライバシー母屋とは別の空間なので、ヘルパーや看護師が出入りしても、家族があまり気をつかわずに済みます。
介護のしやすさ介護ベッドの配置や車いすの向きを変える広さ、介助する人が両側から支えられるゆとりを、最初から設計に入れられます。
将来の扱い介護を終えたあとに使い道を変えるほか、不要になった場合の買い取りや移設を相談できます。
設置条件庭に一定のスペースがあることや、建築基準法などの法規制・搬入の条件を満たしている必要があります(自治体や敷地によって異なります)。

法令に適合する形で設置した離れは、母屋と同じく「居宅(自宅)」として扱われるため、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを利用できます。

対象となるサービスや手続きは、「介護保険は離れで使える?対象サービス・条件・費用を徹底解説」で詳しく整理しています。

向かないケース

一方で、別棟の介護ハウスがどの家庭にも合うわけではありません。次のような場合には向きません。

  • 敷地に設置できる庭のスペースがない、または用途地域などの法規制・搬入の条件を満たせない場合
  • ごく短期間だけの利用を想定している場合(初期費用に見合わないことがあります)
  • 24時間体制の医療的な処置が必要で、医療機関や施設のほうが安全な場合

これらに当てはまらず、「庭で適度な距離を保ちながら、介護保険サービスを使って親を支えたい」と考えている家庭にとっては、リフォームや施設と並ぶ候補の一つになります。

よくある質問

Q
介護保険の自己負担は、誰でも1割ですか?
A

いいえ、原則は1割ですが、一定以上の所得がある方は2割または3割になります。負担割合は前年の所得などをもとに市区町村が毎年判定し、毎年8月1日までに交付される「介護保険負担割合証」(有効期間:8月1日〜翌年7月31日)に記載されます。親の割合を確かめたいときは、手元の負担割合証を見るか、市区町村の介護保険の窓口や担当のケアマネジャーに問い合わせてみてください。

Q
申請してから、サービスを使えるまで何日かかりますか?
A

法律上は申請から30日以内が原則ですが、実際には平均で約40日かかっています。令和6年度(2024年4月〜2025年3月)に申請された分の全国集計では、平均39.9日でした。ただし、要介護認定の効力は申請日にさかのぼって生じます。そのため、退院などで急ぐ場合は、認定結果を見込んだ「暫定ケアプラン」を作ってもらうと、結果を待たずにサービスを使い始められる場合があります。

Q
認定で「非該当」になったら、何も使えませんか?
A

いいえ、非該当(自立)と判定されても使える公的な支援はあります。市区町村が行う地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業など)を利用すれば、運動機能の低下を防ぐ通所型のサービスや生活支援を受けられる場合があります。内容や利用の基準は自治体によって異なるため、まずは高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターに、親の暮らしの状況を伝えて相談してみましょう。

Q
介護ベッドや車いすは、介護保険で借りられますか?
A

原則として、要介護2以上の方であれば介護保険でレンタルできます。要支援1・2と要介護1の方は原則として対象外で、借りられるのは手すりや歩行器、つえなどに限られます。ただし、起き上がりが難しいなど、心身の状態によっては「例外給付」として認められる場合もあります。ベッドや車いすが必要なときは、あきらめずにケアマネジャーに相談してみましょう。

Q
庭に建てた離れ(別棟)でも、介護保険は使えますか?
A

はい、建築基準法などの基準を満たして適法に設置された離れであれば、母屋と同じく「居宅」として扱われるため、訪問介護やデイサービスなどを利用できます。介護専用の別棟なら、車いすの動線やベッドまわりの介助スペースを、最初から考えて間取りを決められる利点もあります。ただし、庭の広さや自治体の建築規制、給排水の接続条件などは、事前に確認しておく必要があります。

まとめ|介護保険サービスを使い始めるために

介護保険サービスは、決められた手続きを踏めば、親の困りごとに合わせてさまざまなサービスを組み合わせて利用できます。自己負担の割合や毎月の利用上限、払い戻しの仕組みが整っているので、使い始める前に費用の見当をつけておくこともできます。

最後に、押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。

Point
  • 手続きは窓口への相談から始まり、認定調査や審査を経てケアプランができるまで、1か月以上かかることが多い。
  • 在宅のサービスは、「家に来てもらう」「施設に通う」「短期間泊まる」「用具や工事で環境を整える」という4つの場面から選ぶ。
  • 自己負担は所得に応じて1〜3割で、要介護度ごとに月の利用上限があり、自己負担の合計が上限を超えた分は申請で払い戻される。
  • サービスを十分に活かすには、住まいの広さや間取りといった「受け入れる環境」もあわせて整えておきたい。

親の暮らしぶりや体調で少しでも気になることがあれば、まずは介護保険被保険者証とかかりつけ医の診察券を手元に用意して、親が住む地域の地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)に相談してみてください。

要介護認定には日数がかかるため、早めに動き始めるほど、ゆとりを持ってサービスを選べます。

また、在宅介護を無理なく続けるには、サービスを受けやすい住まいを早めに考えておくことも大切です。母屋のリフォームでは広さが足りない場合や、施設以外の方法を探している場合は、庭に置く介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」も選択肢の一つです。

どのような住まいなのか、まずは気軽にのぞいてみてください。

脚注

  1. e-Gov法令検索「介護保険法」第3条・第27条・第44条・第45条(2026年10月確認). https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ↩︎
  2. 厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/001512842.pdf ↩︎
  3. e-Gov法令検索「介護保険法施行令」第2条(特定疾病)(2026年10月確認). https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 ↩︎
  4. 厚生労働省老健局「介護保険最新情報Vol.1307 マイナ保険証への移行に伴う要介護認定事務等における医療保険の加入関係の確認方法について」(2024). https://www.mhlw.go.jp/content/001297990.pdf ↩︎
  5. 厚生労働省老人保健課「要介護認定の仕組みと手順」(2016). https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000126240.pdf ↩︎
  6. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービス利用までの流れ」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html ↩︎
  7. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービス利用までの流れ」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html ↩︎
  8. e-Gov法令検索「介護保険法」第3条・第27条・第44条・第45条(2026年10月確認). https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ↩︎
  9. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:居宅介護支援」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group1.html ↩︎
  10. 厚生労働省「介護認定審査会委員テキスト2009 改訂版」(2021). https://www.mhlw.go.jp/content/000819417.pdf ↩︎
  11. e-Gov法令検索「介護保険法」第3条・第27条・第44条・第45条(2026年10月確認). https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ↩︎
  12. 厚生労働省「認定審査期間等の公表(令和6年度分)」(2026). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51603.html ↩︎
  13. e-Gov法令検索「介護保険法」第3条・第27条・第44条・第45条(2026年10月確認). https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ↩︎
  14. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービス利用までの流れ」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html ↩︎
  15. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:公表されている介護サービスについて」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/ ↩︎
  16. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:特定福祉用具販売」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group22.html ↩︎
  17. 厚生労働省「居宅介護住宅改修費支給限度基準額及び介護予防住宅改修費支給限度基準額」(平成12年厚生省告示第35号)(2000). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0269&dataType=0&pageNo=1 ↩︎
  18. e-Gov法令検索「介護保険法」第3条・第27条・第44条・第45条(2026年10月確認). https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 ↩︎
  19. 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」(2026年10月確認). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html ↩︎
  20. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)/介護老人保健施設(老健)/介護医療院」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group26.html ↩︎
  21. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)/介護老人保健施設(老健)/介護医療院」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group26.html ↩︎
  22. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  23. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:特定施設入居者生活介護/認知症対応型共同生活介護」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group17.html/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group18.html ↩︎
  24. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:公表されている介護サービスについて」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/ ↩︎
  25. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:特定施設入居者生活介護/認知症対応型共同生活介護」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group17.html/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group18.html ↩︎
  26. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  27. 厚生労働省老健局介護保険計画課「介護保険最新情報Vol.1532 『介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて』の一部改正について」(2026). https://www.mhlw.go.jp/content/001737209.pdf ↩︎
  28. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  29. 厚生労働省「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」(平成12年厚生省告示第33号、最終改正 平成31年厚生労働省告示第101号)(2019). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0267&dataType=0&pageNo=1 ↩︎
  30. 厚生労働省老健局「地域区分について(報告)」社会保障審議会介護給付費分科会 第252回 資料2(2025). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001623470.pdf ↩︎
  31. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  32. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  33. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:通所介護(デイサービス)」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html ↩︎
  34. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」(2026年10月確認). https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html ↩︎
  35. 厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和8年7月暫定版)」(2026). https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m26/dl/2607a.pdf ↩︎